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 BL小説取扱中。男同士の恋愛・性描写を含みます(一部R18)ので、ご理解のあるかたのみ、閲覧ください。 *詳しくは、aboutをご参照。各作品目次は、contentsよりどうぞ。
new!! ラブラブデート編スタートです!
check it out!! 生意気にも「創作者バトン」に答えてます〜。
 あと、みんなのエチについて考察中。

2009.11.07 (Sat)

01. 決まらない服 (5)

「で、今日どこ行く? 映画、何かおもしろいのあったっけ?」
「…………」
「和衣?」
「祐介、俺、ダメな子でゴメン…」

 何かもうホントに情けなくて、申し訳なくて謝ったら、少しの沈黙の後、祐介が思いっ切り吹き出した。
 何で? 全然笑うとこじゃないのに…。

「祐介? うー…んむ」

 ちょっと拗ねて唇を突き出せば、片手で頬を挟まれて、顔を覗き込まれる。

「んーぁ、にゃに?」
「和衣、あんまかわいいこと言わないで」
「ふぇ?」

 困ったような顔になる祐介に、何? と首を傾げれば、祐介は苦笑いする。

「ゆーすけ?」
「…まだ朝なのに、襲いたくなっちゃうから」
「………………、ッッッ…!!!」

 コソッと耳元で囁かれた言葉を理解するのに数秒、した途端、和衣は顔が熱いどころではない、耳まで真っ赤にさせた。
 普段、祐介はこの手の冗談は言わない。和衣が恥ずかしがるし、祐介のキャラでもない。
 けれど祐介だって、健全な肉体に不健全な精神を宿した男の子だから、かわいい恋人と一緒にいて、そういう気持ちになることなら、いくらでもあるのだ。

「冗談だよ、早く片付けよ?」

 顔を赤くしたまま固まっている和衣の頭を撫でると、祐介は畳み掛けの服を手に取った。

「…」

 まだ余韻でホワホワしている和衣は、いつの間にか手にしていたシャツを、クシャクシャに握り締めていることに気が付いた。

(はわわ…)

 両手で自分の頬をパンパンと叩いて、和衣は気を落ち着かせようとする。

「何してんの?」
「うぇっ!?」

 何枚か畳んだ服を重ねた祐介が振り返り、和衣の挙動を見て、不思議そうな顔をした。

(何してんの、じゃなくて!)

 和衣1人をこんなにドキドキさせておいて、その張本人である祐介に、そんなこと、言われたくない。
 それこそ中学生じゃあるまいし、こんなことでいちいちドキドキしている和衣も和衣だけれど。

「和衣? どこ行くか決まった?」
「……」
「和衣? うわっ!」

 さっき、からかいすぎたかな? と少し心配になった祐介に、ガバッと和衣が抱き付いてきた。
 勢いで祐介は後ろに引っ繰り返り、いやベッドの上だったので痛くも何ともないが、これではまるで和衣が祐介を押し倒しているみたいだ。

「え、ちょっ和衣?」
「…どこも行かない」
「え?」
「今日はずーっとここで、祐介とイチャイチャしてるの」

 祐介の上で不敵に笑う和衣に、今度は祐介が顔を赤くする番だった。





 出かけないまま終わった…。お家デートだから(てことにした)。



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2009.11.06 (Fri)

01. 決まらない服 (4)

「和衣、どこ行きたい?」
「んーそうだなぁ…」

 考えながら服に手を伸ばそうとして、和衣はふと気が付いた。

(そういえば俺、結局、服決めてなかった!!)

 ――――ガーン…。

 結局、寝坊はするわ、服は選べてないわで、まったく本当にダメダメな自分に、浮上しかけていた和衣のテンションも、すっかり落ち込みモードに戻ってしまった。

「どうしたの、和衣」
「結局、服、決まんなかった…」
「えぇ? これだけ広げて?」
「うぅ…だって。何着てこうか、超迷ったんだもん」

 さすがにこれには祐介も驚いたらしく、ポカンと口を開けていて、和衣はさらに居た堪れなくなる。
 絶対に、とっても面倒くさい子だって思われたに違いない。

「ま…服選びもそうだけど…」
「ぅ?」
「その前に、この大量の服、片付けないとまずいんじゃない?」
「…………、あ」

 服が決まらないと慌てるよりも、この散らかし放題にした大量の服をどうするかで悩むほうが先だと思う。
 祐介のもっともな指摘に、和衣はピシッと固まった。

「俺らが出かけてる間に部屋の人帰ってきたら、絶対ビビると思うんだけど…」
「…うん、だよね」

 だいたい、どの部屋の収納スペースは同じで、殆どあるとは言い難いのに、和衣は一体どうやってこれだけの服をしまっているのだろうかと、当然の疑問が湧く。
 和衣に聞けば、うーん、何かがんばって? と、よく分からない返事をされた。

「全部畳んでいいの? ハンガー?」
「えっ、いいよ祐介、そんなことしなくて! 俺がするし」
「でも2人でやったほうが早いじゃん」

 勝手に散らかして、勝手にそのままで寝てしまった和衣が悪いのだから、祐介にそこまでさせるつもりはなかったのに、祐介は当たり前のように服を片付け始めた。

「あぅ…あのね、祐介、適当でいいから! グチャグチャーて丸めて、そこ入れていいから!」
「でもそれじゃ、全部入んなくね?」
「…ぅ、」

 丁寧に服を畳んでいく祐介に申し訳なくて、アタフタしながらそう言えば、当然のことを切り返された。
 確かにきちんと畳んでしまわないと、この小さいクロゼットには入り切らない。それは和衣自身、身を以って経験しているから、言われるまでもなく知っている。

「早く片付けて、早く出かけよう?」
「…ん」

 あわあわするばかりで少しも手を動かしていなかった和衣は、あっ! と服を手に取った。

(祐介のほうが畳み方、キレイ…)

 自分の服で、自分なりには精いっぱいの丁寧さで畳んでいるつもりなのに、どう見ても祐介のほうが丁寧でキレイだ。
 俺って不器用…? と和衣はいらないところで、またちょっと落ち込んでしまった。



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06:48  |  Baby Baby Baby Love  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.11.05 (Thu)

01. 決まらない服 (3)

「和衣、かーずーい」
「……ん…」

 幸せな夢の続きを、揺すり起こされる。

「ヤ…」

 それでも体を揺すられ続けて、やっと重たい瞼をこじ開ける。

「あ、れ…?」
「やーっと起きた。おはよ」
「え…祐介…?」

 何で祐介、ここにいるの?
 俺、まだ夢見てるの?

「何でちゃんとふとん入って寝ないの? 風邪引いたらどうすんの。それにこの服……何でこんなに散らかして…」
「え…?? …………、あっ!!」

 祐介の言葉に、和衣は一気に目が覚めて、飛び起きた。
 そうだ、和衣は祐介とのデートのために服を選んでいたのだ。確か睦月には振られてしまって、風呂上がりに1人で服選びを…、……………………で、どうして祐介が?

「え? え? 何で祐介…」
「いや、約束の時間になっても和衣、来ないから」
「え、ウッソ!」

 祐介の言葉に驚いて時計を見れば、確かに約束の時間…………10分過ぎ…。
 その時刻が本気で信じられなくて、もしかして前日の夜なんじゃ…? なんて思ってみたけれど、祐介が開けてくれたのだろう、カーテンの開いた窓の向こう、外の景色は完全に昼間の風景だ。

「下で待ってたけど、全然降りて来ないから」

 同じ建物の同じ階に住んでいるというのに、デートのときは寮の集合玄関で待ち合わせ。
 だって待ち合わせとか、そのほうがデートぽいし、と亮や睦月たちにはいまいち理解できない乙女感覚の和衣の言い分で、祐介とのお出掛けのときは、ずっとそうしている。
 それなのに。

(信じらんない、俺…)

 ちゃんと昨日のうちに服を選んで準備して、朝だってバッチリ起きて祐介のこと待ってるつもりだったのに!

「何、服選びながら2度寝?」
「……違う」
「違うの?」
「2度寝…………ではない」

 だって昨日の夜から、ずっと寝てしまってるし。
 2度寝どころか、起こされるまで普通に爆睡だし。

(この前の祐介とのデート思い出して、幸せだーってなってるうちに、そのまま寝て、気が付いたら朝…………って、俺のバカ!)

 激しい自己嫌悪に陥りながら、和衣はショックのあまり、頭を抱えたまま固まっている。

「え、昨日の夜から、このまんまで寝たての?」

 コクリ。
 もう今さら何の言い訳も出来なくて、和衣は素直に頷いた。

「よく風邪引かなかったな。熱とか、ない?」

 服をよけてベッドに座った祐介が、和衣を抱き締めながら、おでこをコツンと押し当ててきた。

「ッ…」

 風邪は引いていないけれど、今すぐにでも熱が上がりそう…!
 もう顔なんて何遍でも見ているし、キスもその先もしているくせに、今さらこんなことでとは思うけれど、ものすごく近い位置に祐介の顔があって、和衣は顔が熱くなるのを感じる。

「へーき…」
「出かけられそう?」
「…うん」

 答えれば、祐介はホッとしたように笑った。



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2009.11.04 (Wed)

01. 決まらない服 (2)

「あ、むっちゃん、お風呂上がったら、一緒に服選んでよ。どれがいいか」

 ホラ来た!
 過去に何度も和衣のファッションチェックに付き合わされている睦月は、こう言われることを予想していたら、案の定、思ったとおりのことを言われてしまった。

「たまには自分の力で選びなさい」
「いっつもは自分で選んでるよー。今日だって自分でちゃんとしようとしたもん。でも無理だったから。ねぇむっちゃん、お願ーい?」
「ヤダ。俺おねむなの。お風呂上がったら、もう寝るの」
「亮はー?」
「飲み会? バイトの」

 睦月の場合亮がいたって、眠いときはさっさと寝てしまうから、その辺はあまり関係ない。
 大体、昨日の夜遅くまで、ラブホでイチャイチャしていたのが、睦月の寝不足の原因だ。亮がいたって、さっさと寝てやる! と睦月が思っても仕方がない。

「むぅー…」
「あ、ショウちゃーん」

 浴場に行けば、ちょうど翔真がそこにいて、睦月は1人で拗ね拗ねになっている和衣を置いて、翔真のところへ駆けて行った。

「むっちゃんのバカ…!」



*****

 結局睦月に振られてしまった和衣は、風呂から上がって部屋に戻ると、散らかり放題になっている自分の部屋に、うんざりしたように溜め息をついた。

「あーあ…」

 本当のことを言えば、和衣だってもう眠い。
 明日はデートだし、早く寝たいのに。

 祐介は和衣が何を着てもかわいいと言ってくれるし、いつも学校や寮で、私服なんて嫌と言うほど見せているのだから、今さらという気はするのだが、やはりデートなのだから、それなりにオシャレはしたい。
 けれど、普段から私服を見せているだけに、決め決め過ぎたら、妙に気合が入り過ぎていると思われるから、それも嫌だ。
 まったく、乙女心は何かと大変なのだ。

「はぁ〜…」

 和衣はドサリと、服の散らばるベッドに身を投げた。
 この間は海まで行ったから、わりとカジュアルな感じの服装だったことを思い出す。時期的にはもう海水浴なんてころではなくて、人も疎らだったけれど。

(海……ちょっと肌寒かったけど、楽しかった…)

 祐介と季節外れの海に行ったことを思い出し、ヘラリと和衣の表情が崩れる。

「……うへ」

 誰もいない海でキスをした。
 電車の中、人が少ないのをいいことに、ずっと手を繋いでいた。

「うーん、うぅ〜ん、」

 ジタバタ、ジタバタ。

「はぁ〜…」

 …………幸せ…。



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2009.11.03 (Tue)

01. 決まらない服 (1)

*このお話は、「君といる〜」シリーズの番外編です。本編を読んでいなくても意味は通じますが、カップリング等のネタバレにはなりますので、ご注意ください。

 お題配布サイト「heaven's」さんからお借りしました「ラブラブデートで10のお題」です。
 まずはゆっちさんとカズちゃん編から。




「もーどうしよ…」

 ベッドに投げ散らかされた服の山。
 和衣は疲れ果てて、その上に身を投げた。

 同室者が、彼女のとこに泊まりに行くと言って部屋を出て行ったのが2時間前。
 和衣はドアの隙間からそぉーっと、その背中が階段を降りて行くのを確認すると、すぐに部屋に備え付けのクロゼット(と呼ぶほどオシャレなものではないが)から服を取り出しては、あれこれ組み合わせてはみたものの。

「あぅ…決まんない…」

 明日は久々に祐介とデートなのに、服が全然決まんなーい!!

 もう2時間も服選びに専念しているというのに、少しも着ていく服が決まらない。
 亮や翔真あたりからは、どこの中学生? と呆れた突っ込みを入れられそうだが、決まらないものは決まらないのだから、仕方がない。

『カズちゃーん、お風呂行こー』
「ひゃっ!」

 ベッドの上でうにゃうにゃしていた和衣は、突然のノックと、のん気な睦月の声にビックリして、ベッドから跳ねるように飛び起きた。
 睦月には亮という同室者がいて、しかも恋人という関係にありながら、お風呂の時間はこうやって和衣を誘いに来る。
 別に恋人同士だから一緒にお風呂、とかはないし、寮の風呂は他にも入る人がいるから、あれこれなんて出来ないのだけれど、もう大学生になった男子だし、わざわざ別の部屋の友人を誘うまでもないような気もするが、睦月は相変わらずだ。

「ゴメ…今行く……ギャッ!」

 慌ててベッドを降りようとした和衣は、散らかし放題だった服に足を取られ、バランスを崩してベッドから落っこちてしまった。

「イッター…」
『カズちゃん?』

 ドアの向こう、和衣のドタバタが聞こえたのだろう、睦月の訝しげな声がする。

「今い……うわっ!」
『カズちゃん? 大丈夫?』

 急いで行こうとするのだが、慌て過ぎていて、足に服が絡まったままであることに気付かず歩き出すものだから、今度は床で思い切り転んでしまった。

「い…ぅ…」

 強かに膝をぶつけた和衣は、恐らく明日の朝には青く痣になっているだろう膝に、膝の出るズボンはダメだ…と痛みに泣き出しそうになりながら思った。

『カズちゃーん、ねぇー、お風呂行かないのー?』
「あっ今行く! ゴメン!」

 ドタバタしていて、うっかり睦月のことを忘れかけていた。
 今度はちゃんと足元に気を付けて、お風呂の道具を持って部屋を出た。

「カズちゃん、何バタバタしてんの? 部屋の模様替え?」
「んーん、服選び。明日何着てこーかな、て思って」
「??? 服選ぶのに、そんな大がかり?」

 実はもう2時間も服選びをしていながら、全然決まってはいないのだと告げれば、睦月は心底呆れた顔をして、和衣から目を逸らした――――その後に続く言葉を、何となく想像できたから。



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