恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

愛じゃない、恋でもない

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愛じゃない、恋でもない INDEX


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■18時3分に未知との遭遇 (tittle:赤小灰蝶さま)
 (1) (2) (3) (4) (5)

■果たして馬鹿で愚かでしょうか (tittle:約30の嘘さま)
 (1) (2) (3) (4)

■ハイカロリーハニー (tittle:約30の嘘さま)
 (前編) (後編)

■お空が泣くから (tittle:約30の嘘さま)
 (1) (2) (3) (4) (5) (6)

リネンの小鳥 (tittle:約30の嘘さま)

■Pinkie Syrup Kiss! (tittle:ロレンシーさま)
 (1) (2) (3)

■毒か蜜かも分からない (tittle:約30の嘘さま)
 (1) (2) (3)

カテゴリー:愛じゃない、恋でもない

18時3分に未知との遭遇 (1)


「あ、ミツ。お前、前言ってたDVD、いつになったら貸してくれるわけ?」

 就業時間近くなって光彰(ミツアキ)に声を掛けたのは、同僚であり幼馴染みの穂積(ホヅミ)だった。
 それに対しての光彰の反応といえば、『そんなん何か言ってたっけ?』みたいな顔で穂積を見ることくらいだったから、穂積はわざとらしく大きな溜め息をついた。
 もう長い付き合いの光彰が、時折すぱっと記憶力を欠如させてしまうことを、よく知っているからだ。

「え、何のAV?」
「いや、何でお前からエロDVD借りないといけないわけ? お前と兄弟になりたくねぇんだけど。ライブのヤツ! 前に貸してくれるつったじゃん」
「あぁ!」

 そう言われて、ようやく思い出したと、光彰は穂積を指差すから、穂積は嫌そうにその手を叩き落とした。

「ずっと待ってたのに持って来ないから、忘れてんだろうなぁとは思ってたけど」
「今思い出した」

 まったく悪びれたふうもなく、光彰はそう言ってのけるから、穂積は、今度こそ本気で溜め息をついた。
 もともと光彰とは音楽の趣味は合わない。
 なのに数週間前、穂積が欲しがっていた音楽DVDを、なぜか光彰が持っていると言い出して。それならば貸してくれ、という運びになったのだが。

「ホントにお前は……なぁ、今日取り行ってもいい?」

 このまま光彰が持って来るのを待っていたら、いつまで経っても埒が明かないと判断し、面倒くさいとは思いつつ、穂積はそう提案した。

「いいよ、おいで」

 光彰が了承したところで、就業のチャイムが鳴った。

 メシ食って帰る? と言った穂積に、光彰が、「ここんとこずっと外で食ってたから、今日は帰って来いって言われたし……やめとくわ」と、普通に返してきたので、穂積はギョッとした。

「…お前、1人暮らしじゃなかったっけ?」

 光彰が、とっかえひっかえ女の子と仲良くしているのは知ってるが、わざわざ家に来て夕食の支度までしてくる彼女がいたとは初耳だ。

「んー?」
「いや、彼女いんのに、俺行ったら迷惑じゃね?」
「あぁ、別に気にしなくていいし。何なら穂積もウチで食ってけよ?」
「え、いや…」

 極端なほど人見知りの激しい穂積にとって、知らない人がいる空間で食事なんて滅相もない、仕事のときだけで十分だ。
 DVDだって、光彰が1人暮らしだからこそ、家まで取りに行くと言ったのに。

 何となく憂鬱になりながらも、当初の予定どおり、穂積は光彰の家へと向かうことになってしまった。



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 ちょこっと新シリーズ。タイトルは赤小灰蝶さまより。

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18時3分に未知との遭遇 (2)


 光彰の住んでいるマンションの前まで来てもまだなお、穂積は心の中で渋っていた。
 だいたい、光彰も光彰だ。穂積の激しすぎる人見知りをよく知っているくせに、どうして彼女が家にいることを教えてくれなかったのか。
 確かにDVDは見たいけれど、知らない人がいる家に行くくらいなら、まったく頼りない光彰の記憶力に縋ったほうが、まだマシだ。

「穂積?」
「あー……うん」

 気乗りしない声で返事をしつつ、エレヴェータで8階まで上がる。

「なぁー、ミツー」

 やっぱりここで待ってるからDVD持って来て、と穂積が続けるよりも先、光彰に「ここじゃ暑いだろ? 入れって」と入室を勧められ、仕方なしに穂積は中に入った。
 もう6月も半ば。
 日が暮れてもまだなお、外の空気は蒸し暑い。
 入室を勧めたのは、光彰なりの気遣いなのだろう。

(でも、知らない人がいるんだったら、暑くても外で待ってるほうがマシ。汗だくのほうがマシ。でもマジ倒れそうなくらい暑いし。でもやっぱ、)

「リオ、ただいまー」

(リオ? リオて、彼女の名前か? 『ただいま』て言ったってことは、同棲してんのか。そんなトコに俺が上がり込んだら、めっちゃ気まずいじゃん。ミツのアホ)

「おー、光彰、お帰り」

(うーわ、いたいたいた! いや、そりゃいるだろうけど! 光彰て呼んでんだ。そりゃ彼女だもんな、そう呼ぶよな…………て、)

「男じゃん!」

「…………は?」

 思わず穂積が声を上げてしまったので、光彰と、光彰に『リオ』と呼ばれた男が同時に穂積のほうを見た。
 2人の視線をいっぺんに集めた穂積は、その場に固まってしまう。

「お客さん?」

 ソファの上で丸くなっていたリオが、光彰に尋ねた。

「あぁ、会社の。ていうか、ガキのころからの知り合いだけど」
「ふぅん。名前は?」

 今度は、穂積に向かって聞いてくるが、初対面の人間にそんなに気易く声を掛けられても、すぐには答えられない。
 穂積が戸惑っていると、見兼ねた光彰が、「穂積」と、助け舟を出した。



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18時3分に未知との遭遇 (3)


「へぇ、穂積っていうの。よろしく~」

 持っていたリモコンとクッションを適当に放って起き上がると、リオは屈託のない笑顔を浮かべた。
 見たところ、同年代だろうなと思えるリオだったが、その表情や仕草からは、ずいぶん幼い印象を受けた。

「俺のことは、リオって呼んでいいよ?」
「リ、オ…」

 何とか声を絞り出す。
 その『リオ』という呼び名が本当にこの男の名前なのか、あだ名か何かなのか、それは知らないけれど、いかにも人懐こそうな顔をして、前にもう何度も会っているかのように声を掛けてくるあたり、自分とは根本的な性質が違うのだろうと穂積は思った。

「なぁそれよりリオ、お前、あのライブのDVD、どこやった? 穂積が借りてぇんだって」
「えー? 知らないよぉ」
「あんなん、お前しか見ねぇだろ」
「うぅー…」

 テレビ下のラックを適当に漁っている光彰に言われ、リオは困惑したように眉を寄せた。
 やはり光彰の趣味ではない音楽のDVDは、どうやらこのリオという男のためのものらしい。

「じゃあ、ちょぉあっち見てくる」

 ソファを降りて、リオは奥の部屋に消えた。ドアを開けたとき、ベッドが少し見えたから、おそらく向こうは寝室なのだろう。

「ミツ、ミツ!」

 2人きりになった隙に、穂積は声を潜めて、慌てたように光彰を呼んだ。

「んー? 何?」

 やっぱないなぁ、なんて言いながら、光彰が振り返った。

「何? 何なん、アイツ。お前、彼女と同棲してんじゃねぇの?」
「彼女て……アイツが女に見えるか?」
「見えないから聞いてんじゃねぇか! 何だ、アイツ」

 光彰とは古くからの付き合いで、下に2人の弟がいることは知っているが、まるで顔が違うし、名前も違う。第一、光彰の弟なら、今さら穂積のことを紹介するまでもないわけで。

「養ってんの」

 ……………………。

「………………は?」

 たっぷりの間を置いてから、穂積はようやくそう聞き返した。



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18時3分に未知との遭遇 (4)


「やしな……は? 何? 養う?」
「うん」
「…えっと……親戚の子か、何か?」

 いくら昔からの顔馴染みとはいっても、別に光彰の親類関係をすべて把握しているわけではない。
 自分の知らない、誰か親戚の子でも預かっているのだろうか、いやそうに違いない、と半ば無理やり穂積は結論付けようとしたが。

「あー。そういう関係で言ったら、赤の他人かな」

 …………………………。

 いやいやいやいや、それ、ないから。
 赤の他人とか。
 しかも養ってるて!

「…赤の他人を、養ってらっしゃるの?」
「らっしゃるの。あー、やっぱここないわ!」

 ラックの中身を全部出して、それでも見つからなかったDVDに、光彰はお手上げ状態で引っ繰り返った。
 ひどい散らかしようだな、と穂積が思っていた矢先。

「何してんだよ、光彰! お前、散らかし過ぎ!」

 寝室から戻って来たリオが、光彰が引っ張り出したDVDのパッケージを目敏く見つけて、その額にペチンと突っ込みを入れた。

「穂積、あった。これだろ? デッキの中に入れっ放しになってた」

 リオが穂積に見せたのは、確かに穂積が借りたがっていた音楽のDVDではあったけれど…………なぜか、それはパッケージに入っていない、DVDディスクのみ。
 リオは中心の穴になっている部分に人差し指を入れた状態で、穂積にそれを見せているけれど、もしかしてこのまま貸す気でいるのだろうか。

「リオ、お前パッケージは? 何でディスクだけ持ってきてんだ」
「あ、ない。もっかい見てくる。穂積、これ持ってて」

 光彰に言われてようやく気が付いたのか、リオはディスクを穂積に預けると、再び寝室に行ってしまった。
 もう勝手に呼び捨てで呼ぶようになっているリオに、穂積はわずかに苦笑する。こうもすんなりと人の懐に入っていけるヤツなら、光彰に同居(いや、光彰の言うところの、『養う』)を頼むのも難しくはなかっただろう。

「あった。ベッドの下にあったよ。はい」

 少しして戻って来たリオが、穂積の持っていたディスクをパッケージの中に収めた。



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