恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

2013年04月

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手がいつも冷たいところ (4)


 睦月の買い物は、基本的には機能と値段重視……費用対効果なんて言葉は知らないだろうが、機能がよければ多少高くても買うけれど、そうでなければ安いもの、といった具合で、デザインとかは二の次なのだ。
 そして今、近い店を希望するのは、寒いから早く暖かいところに行きたい、ということなのだろう。

「睦月てさぁ、ホント寒がりだよな。そこまでてすごくない?」
「すごいでしょっ!」
「いや、別に褒めたわけじゃねぇけど」

 動いていないと寒いと思っているのか、わざとバタバタ歩きながら、睦月がいつにもなく亮に引っ付いてくる。
 こんなふうにかわいく寄り添ってくれるのなら、睦月には悪いけれど、毎日寒くたっていいのに、とか思う。

「もうさ、俺さ、手袋してたって手冷たいのに、ホントどうしようっ」
「早く手袋買えばいいんだよ」
「早く買おう!」

 早く早く! と、しかし急いで先に行くのではなく、睦月は亮の隣を離れない。
 そして、自分の手の甲を、亮の手の甲にくっ付けてくる。

「…何?」
「何が?」

 絶対に偶然ではないだろうと思って睦月を見たら、何となく惚けられた。
 これで本当に偶然だったら、亮はかなりの自意識過剰てことになってしまうけれど、素知らぬ顔で手の甲を当ててくる睦月は、絶対に確信犯だ。

「…睦月さん」
「何ですか」
「手が冷たいんですけど」
「気のせいじゃないっすか? うわっ」

 ニヤニヤしながら、なおも手の甲を当て続ける睦月に、亮は仕返しとばかりに、その指先を握った。…ホントに睦月の手、冷たい。

「ちょちょちょ、亮っ…!」

 先にいたずらを仕掛けて来たのは睦月のほうなのに、手を繋ぐみたいな形になったのが恥ずかしいのか、睦月は慌てて解こうとするけれど、亮はそれを許さず、自分のほうに引き寄せた。



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手がいつも冷たいところ (5)


「亮、ちょっ離…」
「何が?」
「手!」
「えー? 気のせいじゃないっすか?」
「嘘つけよ、このヤロウ!」

 あーあ。かわいい顔して、汚い言葉、使っちゃって。
 でもそのギャップが余計にかわいくて、亮は思わず笑ってしまう。

「だって睦月が手冷たがってるからさぁ」
「冷たくねぇよ!」
「えー? 俺たちこれから何しに行くの?」
「はぁっ? 手袋買いに…………あ、」

 素手でも冷たくないのなら、わざわざ手袋を買いに行く必要なんかない。現に亮は、冬でも手袋をしない人だ。
 自分の言動と行動の矛盾に気が付いて、睦月はおもしろくなさそうに口を尖らせた。

「俺の手、あったかいでしょ? 睦月が新しい手袋買うまで、あっためといてあげる」
「手袋買うまで?」
「ぅん? だって手袋すれば、あったかいじゃん?」

 とりあえず今のところは手を解こうとするのをやめたようなので、亮は調子に乗って、手袋を買うまでは、と切り出してみる。
 本当はもっとずっと手を繋いでいたいけれど、そういうわけにもいかないし、睦月も恥ずかしがるから。でもこのくらいの間ならいいかな、とい思って言ってみたんだけれど。
 なぜか睦月は、何か納得していない様子。
 やっぱり今すぐ手を離せって?

「…俺さっき、手袋してても手冷たい、て言った」
「は? え、」

 一瞬。
 ほんの一瞬だけ意味が分からなくて。
 でもすぐに睦月の言わんとすることが分かって、けれど、そんなの都合よすぎる解釈か? とも思って。

「えと、睦月…?」
「俺、手袋してたって、いっつも手冷たいのに、あっためてくれるの、手袋買うまでなの?」

 ピトッと亮に引っ付いて、ちょっとだけ睦月のほうが背が低いから、上目遣いになって。
 そんな状態でこんなかわいいこと言われて、『そうだよ、手袋買うまでだよ』と答えるバカな男なんて、この世に存在するわけがない!

「んーん、いつまでもずっとこうしててあげるよ」



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*end*
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もどかしいくらい無欲なところ (1)


 今、睦月の一番欲しいもの――――昨日発売された、マンガの新刊(学校の帰りに買うつもりが、買いそびれたから)。



「あー…………まぁ、むっちゃんらしい、つったら、むっちゃんらしいよねぇー……」

 カフェテリアで日替わり定食をつつきながら、亮から話を聞いた翔真が、何とも言えない表情でそう漏らした。

 クリスマスが終わって、年が明けて。
 冬休みが終わって学校が始まると、やって来るのが、亮と睦月がお付き合いを始めた日。

 亮は記念日好きでは全然ないし(そのせいで、昔付き合っていた彼女に、何度怒られたことか!)、睦月は亮以上にそういうのに興味がないから、お付き合いを始めた記念日、みたいのはいらないんだけれど。
 でも、たまにはそういうのもいいかな、とかちょっと思ってしまったわけで。

 でも、よくよく考えても、睦月の欲しいものが思い浮かばない。
 強いて言うなら、前述のとおり、買いそびれたマンガの新刊くらい? でもそれも、一両日中に手に入れてしまうだろう――――自分で買うことによって。

 おかしいな。昔の彼女は、普段一緒にいる中から、欲しがっているものが何となく分かって、プレゼントとかしていたのに……そう思ったところで、そういえば睦月って物欲が薄い子だった、と気が付いた。
 マンガの新刊買わなきゃ、とか、シャーペンの芯なくなったから買お、とか、アイス買ってー! とか、そういうのはあるんだけれど、そのくらい。
 ブランドやら贅沢品にはまったく関心がないし、お出掛け? 何か面倒くさいんだけど…だし、ご飯は亮が作ってくれたのでいいよ、おいしいし、とか言うし。
 睦月の中に、特別な日の何か、という概念はさっぱりないのだ。

「なのに亮くんは、むっちゃんに、付き合って2年目の記念日に、何かあげたい、と」
「…はい」

 いや別に、どうしても、と思っているわけではないが、何となく思い付いたからには、そうしたいな、と思ってしまって。
 こんなの、らしくない?

「むっちゃんの欲しいの、そのマンガの新刊なんだろ? だったら、それあげりゃーいいじゃん」
「記念日感、ゼロじゃね?」
「ゼロですね」

 しかも、さっきも思ったけれど、もしかしたらもうすでに自分で買っているかもだし。



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もどかしいくらい無欲なところ (2)


「じゃあ物でなくてもいいじゃん。何か…特別なデート? みたいな」
「…寒がって出掛けねぇよ」
「あー…それも一理あるね」

 睦月の寒がり具合なら、翔真も知っている。
 プレゼントとしてどこかすてきな場所に出掛ける提案などしようものなら、出掛けないでいさせてくれることがプレゼントだ、とか言いそうだ。

「でもさ、遊園地とかなら、寒くても行きたがるんじゃね? むっちゃん、絶叫系、超好きじゃん」
「俺が無理だっつの!」

 物でない贈り物だって、もちろんある。睦月は絶叫マシンが大好きなんだし、それに付き合ってあげるのも、相手を喜ばせたいという想いからすれば、アリだ。
 しかし、その気持ちはあっても、それを上回る勢いで、亮は絶叫マシンが苦手だ。それだけは無理!

「つか、絶叫マシンだけじゃなくて、むっちゃんが好きなのって、お前の苦手なモンばっかじゃね? ホラー映画とかも、めっちゃ好きじゃん?」
「分かってるよ! だからそういうのがダメだから、他に何かないかお前に聞いてんじゃん!」
「えぇ~そういうことなの~? 亮くん、情けなぁ~い。ホントにむっちゃんのこと好きなら、そんくらいのこと、付き合ってあげなさいよぉ~」
「ウゼェ!」

 オネェ口調の翔真の足を蹴っ飛ばす。
 睦月のやりたいことに付き合おうとすると、どうしても亮の苦手なものばかりになってしまうから、情けないとは思うけれど、プレゼントにしようとしているのに。

「じゃあさぁ、去年は何したわけ? 1年記念日?」
「何も」
「はぁ? 何もしなかったの? 何もあげなかったの?」
「何も」

 去年の冬は…………うん、何事もなく過ぎて行った。
 相変わらず睦月は寒がっていて、出来る限り外に出ないようにしていたし、特に付き合って1年だからどうとか話題にもならなかったし、そういえば亮も何も思っていなかった。

「なのに何で今年に限って、思い付いちゃうんだよ…」

 話を聞いた翔真は、溜め息とともに頭を抱えた。
 付き合って何年目かを祝おうが祝うまいが、知ったことではない。祝わないからといって、2人の間に何か蟠りが出来たとかならまだしも、何事もなくまた1年付き合えたのなら、それだけで十分じゃないか。



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もどかしいくらい無欲なところ (3)


「でも1年目に何もなかったからこそ、今年何かやったら、すげぇ喜ばれそうじゃね!?」
「女子か!」

 そりゃ、何か喜ばれるようなことをしたら、睦月は素直に嬉しがるだろうけど、思い付きもしないくせに、やりたい気持ちばかり募らせたって…。

「でも記念日て、お互いが覚えてて、祝いたいとかそういう気持ちがあってこそじゃね? お前1人が盛り上がってても…」
「そうなんだけど…」

 亮は今になってようやく、昔の彼女が、亮が記念日を忘れたことを怒っていた理由が分かった。
 確かに自分1人だけが盛り上がっていたって、そんなの空しいだけだ(でも、お付き合いを始めた日、ならまだいいけど、あんまりよく分からないのは、やっぱりちょっと…)。

「なら、そんなに拘んなくても? むっちゃんにも、そんな気ないんだろ?」
「まぁ…」
「つかお前、前もそんなこと言ってたよな? 旅行のときだっけ?」

 学園祭の女装コンテストで和衣が賞品のお零れに預かって、亮たちも旅行券を手に入れたため、2人で旅行に行ったはいいのだが、その行先を決めるまでには、今と同じような苦労があったのだ。
 無欲すぎる恋人というのも、ちょっと大変。

「その点、真大は何でもハッキリ言うもんなぁ」
「まぁ…そういう意味では楽だけど、むっちゃんだって結構、嫌なことは嫌て言うし、好きなのは好きて言うじゃん?」
「言うけどさぁ、特別感はない。言わなくてもそうするよ、てレベルのことが多いんだよね…」

 グリーンピース嫌いだから入れないで! …とかはよく言っているけれど、確かにそれはしてほしいこととかハッキリ言っているけれど、全然記念日関係ない!

「俺が思うにさ、むっちゃんがそこまで無欲の人なら、プレゼントとかは誕生日とかそういうときのために取っといたほうがいいんじゃね? 今張り切ると、ネタが尽きそう」
「あー…」

 付き合って何年目の記念日とか、誕生日とか、クリスマスとか。
 本当は相手を想う気持ちが大事なのであって、プレゼントなんて二の次なんだけれど、でも相手の喜ぶ顔が見たいとか、プレゼントを選んでいるときとか、全部全部、それを形にしたものだから。
 そうした行事に捕らわれすぎないで、いつだってそんな気持ちで、それを表していったらいいんだろうけど。

(そういえば睦月に、こないだバングル貰った…)

 それは別に誕生日のプレゼントでもなければ、何かの記念日だったというわけでもない。でも、そうやって自分のことを思ってくれたことが、嬉しかった。
 そういう意味では、睦月のほうがずっと上手(うわて)かも。きっと何も意識してはいないんだろうけど。

「ま、よく分かんねぇけど、がんばれ亮」

 結局何の役にも立たなければ、何の慰めにもならない言葉しかくれなかった翔真に、亮は溜め息を零した。



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もどかしいくらい無欲なところ (4)


 お風呂から戻って来た睦月は、頭からブランケットを被ったまま(またそんな格好でお風呂に行った…)、ストーブの前で暖まっている。うんと温まってからふとんに潜り込んで、すぐに寝てしまおうという作戦なのだ。
 ふとんの上には、件のマンガの新刊。やはり自分で買っていた。

「睦月ー」
「はーい?」

 亮が声を掛けると、目のところだけちょこっと出して、すっぽりブランケットに包まっている睦月が、首だけ捻って亮のほうを振り返った。
 しかし、亮が『来い来い』と手招きしても、睦月は『イヤイヤ』と首を振って拒否する。寒いから、ここを離れたくないのだ。仕方なく、亮のほうが近づく。
 ちょうど亮の位置が睦月の背後だったから、睦月は当たり前のように寄り掛かって来て、亮は後ろからブランケットごと睦月を抱き締めた。

「あのさ、いや…、もうすぐ付き合って2年だなぁ、て思って」
「うん」
「ぅん?」
「え、うん。2年経つね」

 だから何? という顔をしている睦月に、あぁやっぱり全然興味ないよね、と亮は少し落胆する。昔の彼女の気持ち、今さら実感なんかしたくないのに。

「去年は、何もしないで、スルーしちゃったよね」
「そうだっけ? あ、えっと……記念日的な?」

 そこまで言われて、ようやく睦月は、亮がそういう話をしたいのだということに気が付いたようだ。キョロキョロと落ち着きなく、視線を動かす。
 きっと、今の今まで、そんなこと考えてもいなかったのに、急にそんな話を振られて、どう答えたらいいか分からずに悩んでいるのだろう。

「あの、ゴメ……俺、忘れ…」
「いや、そうじゃなくて。去年忘れてたのは、俺も一緒だから! つか、今までも、そういうの全然気にしないほうで…」

 申し訳なさそうな顔をする睦月に、亮は慌てて、そういうことではないのだと説明する。
 記念日に興味がないのはお互いさまで、別にそのことを責めたいわけではない。

「じゃなくて、いや、だから、」
「…何?」
「去年は何もしなかったし、今年は何かしちゃおっかなぁ、とか思っちゃったわけですよ」
「え、うん。何すんの?」

 よく分かっていない様子の睦月は、亮の腕の中で首を傾げている。
 亮としては、本当はサプライズ的な、こっそりプレゼントを用意して渡す、みたいなことを思っていたけれど、結局何も思い浮かばなかったし、翔真の言うとおり、亮が1人で盛り上がっていても仕方がないので、直球で睦月に言ってみることにしたのだ。



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もどかしいくらい無欲なところ (5)


「睦月、何したい?」
「そんなの……急に言われても。別に何でもいいけど。つか、普通て、そういうとき何すんの? 俺、あんまそういうのしたことないから、分かんないんだけど…」

 睦月は困ったように、眉を下げた。
 睦月の欲しがっているものとか、したいことが思い付かないから、直接聞いてみたのに、本人もよく分かっていないとか…。

「じゃあ、欲しいものは?」
「えぇー? それはやっぱ、記念日的な?」
「まぁ…。いや、そうじゃなくても、睦月が欲しいものとかあれば、あれだけど」
「別に今は、そんなにないかなぁ。マンガも買っちゃったし」

 聞けば睦月からは、予想どおりの答えが返ってくる(というか、付き合って2年目の記念日に、マンガの新刊は…)。

「ねぇねぇ亮」

 こういうときは、ベタに指輪とか? 睦月はそんなにしょっちゅう指輪をしているわけではないけれど、だからこそ、こういうときに贈ったものとか、何だかよさそう。
 そんなことを考えていたら、睦月に声を掛けられて、意識を戻る。

「じゃあさ、亮は何が欲しいの? 何したい?」
「え、俺?」
「亮が俺のために何かしてくれる、ていうなら、俺だって何かする。何かあげる」
「えっと…」
「ダメなの? でもそういうことでしょ? 2人の記念日なんだから、2人でお祝いするんでしょ?」
「そりゃまぁ…」

 至極尤もなことを言う睦月に、亮は頷く。
 まさかこういう場面で、睦月がそんな説得力のある言葉を吐くとは。

「俺は記念日とかぜーんぜん興味ないけど、亮が何かしたいなら付き合うし、何かくれるなら喜んでもらうけど…、でも、亮がいてくれれば、それだけでいいかなぁ」

 亮の胸に背中を預けたまま、睦月は何でもないことのように、そんなこと言う。
 ともすれば、照れて言葉には出来ないようなことなのに。でも、こんなふうに普通に言えるのは、それが本心であって、何も特別なことだとも思っていないから。

「そんなこと言って……俺のこと、そんなに喜ばしてどうすんの?」
「え、何が? 何か変なこと言った? 俺?」
「んーん。もっと睦月のこと、好きになっちゃうなぁ、て思っただけ」

 振り返ろうとする睦月をもっと強く抱き締め、かわいいつむじにキス。
 どんなに思っても足りないくらい、睦月のことが好きだ。1年とか2年とか……もう何年一緒にいるのか分からなくなるくらい、ずっと長く、いつまでも側にいたいよ。



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*end*
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楽をするのが下手なところ (1)


 そういえば、睦月が風呂に行ったきり戻らないなぁ、と亮はふと気が付いた。
 すぐに逆上せてしまうから、長く風呂に入っているのが苦手な睦月は、しかしなぜか、お風呂大好き、長風呂上等! の和衣を毎日誘って風呂に行くわけだが、いつもそんな和衣を置いて、さっさと戻って来るのに。

 …まさか、また何かしているとか?
 前に、風呂に行くと言って部屋を出て行ったはずの睦月は、実はそうではなくて、亮のために翔真と外に出掛けていた、ということがあったのだが。
 しかし今日は、外出用の上着を着ては行かなかったので、やっぱり本当に風呂に行ったのだろう。

 だとしたら、確実に遅い。今度こそ本当に、風呂で逆上せて倒れてしまったとか?
 でもそれなら、和衣辺りが、慌てて部屋に駆け込んできそうだが。

「た…ただいまぁ…」

 様子を見に行くべきか、それはいくら何でも過保護すぎるか、と亮が迷っていたら、部屋のドアが開いて、フラフラと睦月が入って来た。
 何だか妙に疲れた様子なのは、やはり長風呂しすぎたせいだろうか。

「何か……どうした?」
「も…カズちゃんがっ…」

 一緒に風呂に行ったであろう友人の名を挙げ、睦月はクッタリと亮の腕の中に倒れ込んできた。
 どうやら相当お疲れのようだ。

「カズがどうした? また長風呂させられた? ちゃんと100まで数えて?」
「違……そのほうがまだマシ…」
「じゃあ?」

 睦月に、長風呂のほうがまだマシ、と言わしめるほどのこと、て一体何だろう。ちょっと亮にも想像が付かない。

「カズちゃん、明日ゆっちとデートなんだって…。前から超行きたかったトコ行くんだって」
「ふぅん? アイツがそんなに行きたいトコってどこだ?」
「知んない。つか、そんなの、全っ然興味ないっ!」
「あ、そう…」

 別に亮もそんなに興味があるわけではないが、そんなに力いっぱい言わなくても…。
 これは、和衣に相当ヒドイ目に遭わされてきたな。

「でもさ、カズちゃんにとっては、それが超楽しみでしょうがないわけっ、超特別なことなわけっ」
「う、うん…」
「別にさぁ、それはいいんだよっ。カズちゃんが何を楽しみにしようと、そんなのは別にどうでもいいんだけどっ! それに俺を巻き込むな、つーのっ!!」
「ちょっ、睦月、落ち着いてっ」

 亮に抱き締められたまま、睦月がジタバタと暴れ出すから、その手足が当たって結構痛い。
 しかも、あんまり大きな声を出すと、隣の部屋の人にうるさがられる…!



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楽をするのが下手なところ (2)


「なな何があったの、何されたのっ?」
「はぁ~~~~っ!」
「むっ…睦月さんっ…?」

 溜め息と言うには大きすぎる声で息を吐いた睦月に、亮もビクビクしながら声を掛ける。
 何というかこう…睦月の怒り方というのは、『プンプンッ!』という言葉が最もしっくり来る感じで、今もそうなんだけれど、それはかわいくもあるものの、やはり怒った子を相手にするのは、結構大変。

「明日のデートは特別だから、服選ぶの手伝ってー、て!」
「あー……」
「ったく、毎日会ってんだから、服なんか今さらどうでもいいだろ、っつの!」

 怒り過ぎて、すっかり柄が悪くなっている睦月を抱き直し、よしよしと頭を撫でてやる。
 亮も以前、和衣のファッションチェックに付き合わされたことはある。あのときは、和衣のテンションが上がり切っていて、翔真と一緒に大変苦労したのだ。

「大体さぁ、カズちゃんてば、プレゼント選ぶときもそうなんだけど、いろいろ悩んで迷うくせに、最終的に、最初に『いい』て言ったヤツ選ぶんだもんっ。俺いなくていいじゃん、て思わねっ!?」
「そ…そうね…」

 祐介のことになると、和衣はとことん優柔不断になるのだ。プレゼントを選ぶのも、服を決めるのも、何から何まで迷いっ放し。自分では決められなくて、頼りにする先は大体が睦月。
 同い年の幼馴染みとして、それもどうなの? とは思うが、人の恋人を独占してしまう嫉妬よりも、自分がその標的にならなかったことに、ホッとするほうが大きい。

「はあっ、もぅっ! カズちゃんのバカッ!」

 この間、祐介へのプレゼント選びに散々付き合わされたばかりの睦月は、和衣への不満を露わにして、バシバシと亮の背中を叩く(だから痛いってば!)。

「…でも睦月はさぁ、カズのこと、嫌いになれないんだよね」
「なっ…、ッ、はっ? な何言ってんの、亮っ」

 図星を突かれて、あからさまに動揺する睦月に、亮は思わず笑ってしまう。
 こうやって文句を言いまくっても、亮は和衣のことを嫌いにはならないし、一緒にプレゼント選んで、と言われれば、嫌だ嫌だと言いながらも、付き合ってあげる。
 亮だったら、面倒くさいから…て、5回に3回くらいは断るのに、ホント、楽するのが下手なんだから。

「しょっ…だってしょうがないじゃんっ、カズちゃん、1人じゃ全然ダメなんだもんっ」

 アタフタしながら睦月は、「カズちゃんは俺がいないとさ、ダメなのっ」なんて、今度こそ本当に嫉妬してしまいそうなことを言っている。…まぁ、嫉妬なんかしないけど。

「お疲れさま、むっちゃん」
「…あい」

 コクンと頷いた睦月の頬に、キスを1つ落とした。



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*end*
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嬉しそうに見つめてくれるところ (1)


 特にこれといった名目はなかったが、最近みんなで飲んでないし飲み行こうよ~、という声から始まったゼミの飲み会に、亮と睦月も参加していた。
 今日はバイトもないし、別にどっちでもいいかも…だった睦月は、亮が行くと言うから、くっ付いてきたのだ。

 …が。

「結局むっちゃんて、すぐ寝ちゃうんだよね~」

 亮の隣に寝転がって、気持ちよさそうに眠っている睦月を見つけ、眞織が笑いながらそう言った。
 アルコールの量に限らず、ある程度の時間になると、睡魔に勝てずに睦月が眠ってしまうのは、いつものことだ。

「だってさぁ、ここ来てから、起きてる時間より、寝てる時間のほうが長くない?」

 壁に掛かっている時計を見て、愛菜も笑う。
 相変わらず仲のいい愛菜と眞織は、今日もかわいく2人セットだが、アルコールの摂取量は底なしというか、かわいい女子には程遠い量となっているのに、まだまだ元気だ。

「でも、ちゃんと飲み会来てくれるんだよね。で、二次会も出るの」
「そうそう。でも結局、二次会もずっと寝てんの」

 睦月は限りなく面倒くさがりだし、人見知りもするから、最初のころは飲み会もあまり出たがらなかったのだが、さすがにゼミのメンバーともなると見知った顔なので、予定が合わない場合を除けば、大体出るようになった。
 それでも、亮がダメなときは出たがらないから、若干人見知りは発揮しているのかもしれないが。

「今日はどうする~? むっちゃん、行く~?」

 一次会の精算をしながら、愛菜が寝ている睦月に声を掛けるが、睦月はまったく反応しない。
 これだけ賑やかな店内で、酔って潰れたわけでもないのに、よくもまぁこんなに爆睡できたものだ。

「…つか、こないだみたいに、アイスで釣るなよ? 二次会で食えねぇと、また次に行くはめにから」

 前の飲み会のとき、アイス食べよ? と睦月を二次会に誘ったはいいが、寝ている睦月以外はみんなお酒を飲んでいて、結局アイスを食べる間もなく精算したのだが、実は睦月はアイスが出てくるのをずっと待っていたのだと分かり、愛菜と眞織、そして亮と睦月の4人で次の店へと移動したのだ。
 そこで睦月はようやくアイスにあり付いたのだが、3人はそこで飲み直すこととなり、翌日亮は二日酔いで散々だったのだ。愛菜と眞織のペースで酒を飲むと、まったくロクなことがない。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (2)


「大丈夫大丈夫、今度こそ食べるから!」
「嘘つけよっ、この間お前ら、結局食わなかっただろっ!」
「キャハハハ」

 亮の突っ込みに、眞織が屈託なく笑う。
 今日だって絶対にアイスなんか食べないに決まっている。だってこの間だって、後から『アイスよりお酒のほうがいい』とはっきり言ったのだから。

「いいじゃん。じゃあ亮帰れば?」
「うん。だって亮なんて別にどうだっていいし。むっちゃんさえ来れば」
「バカッ、睦月だけで行かせるかっ。だったら俺も行くわっ」

 勝手なことを言っている愛菜と眞織に、亮がすかさず突っ込む。
 別に愛菜と眞織を(ましてや睦月を)疑っている、なんてことは全然ないのだが、酔った2人に睦月を預けることは、いろんな意味で心配すぎる…!

「えー? 亮も来るのぉ? むっちゃんと飲みたいのに~」
「やっぱ飲む気じゃねぇかっ、アイスはどうした、アイスはっ」

 2人は、どこまでも睦月優先らしい。
 けれど睦月はきっと、アイスだったら乗るだろうけど、飲むだけの二次会なら眠いから帰ると言うに決まっている。…決まっているけれど、睦月が寝惚けている間に、本気で2人が拉致っていきそうで、ちょっと怖い。

「愛菜ー、眞織ー、先行くよー?」
「はーい」

 一緒に飲み会に参加していた別の女の子たちが、まだ席を立つ気配のない2人に声を掛けてくる。
 愛菜が元気に返事をするが、手はバイバイの仕草をしているので、二次会には行かないつもりだろうか。

「…行かねぇのかよ」
「亮こそ帰んないの?」
「つか、だったらここでもっかい飲み直さない? まぁアイスでもいいけど」

 他のメンバーが二次会へと向かい、4人だけになった席で、牽制し合う亮と愛菜に、眞織がメニューを差し出す。
 それが最善策だとは言い難いが、まぁそこそこの妥協案だと、亮も愛菜も仕方なく納得した。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (3)


「とりあえず、むっちゃん起こさないと。またウチらだけで先に飲んでると、むっちゃん、アイス食べ損ねる」
「…だな」

 アイスが食べたいと言ってから寝たわけではないが、睦月は多分アイスにしろ何かしらのデザートを食べて帰るつもりになっているだろうから、睦月のためにも仕方がない、ここは起こしておこう。

「むっちゃん、むっちゃーん、アイス食べよぉ~」
「…ぅ、んー…」

 愛菜に肩を揺すられて、睦月はむにゃむにゃと目をこする。その横で亮が、『ちょっそれ俺の役!』と言いたげな顔で愛菜を見たが、それには気付かない振りだ。

「んーんーんーっ…」
「むっちゃん、アイスだって? 食べる?」
「ん~~~~~っ」

 起きたいけれど、目が開かない。
 そんな様子で、睦月はうんうん唸りながら足をバタつかせ、目をゴシゴシしている。

「起きないと食べれないよ~?」
「ぅぬ~~~……」

 眞織の甘い誘惑と睡魔が、懸命に闘っているらしい。そんな姿もかわいすぎて、もしここが寮の一室で2人きりだったら、亮は絶対に睦月のことをギュッとしている。
 それから、ただ寝惚けているだけだが、声だけ聞けば何とも色っぽい声を上げながら、ようやく睦月が目を開けた。

「………………、ぅん…? 何で…?」
「え、何が?」

 モソモソと起き上がった睦月が、なぜか辺りを見回す。
 どうも、今自分の置かれている状況が、よく分かっていないらしい。

「何で、ここ…。俺、さっきカズちゃんと一緒に帰った…」
「は? いや、今日カズちゃん来てないし」

 予定があるとかで、祐介と和衣は今日の飲み会には参加していない(恐らくデートだろうが、そんな無粋なことは誰も聞かない)。
 なのに、和衣と一緒に帰ったとか言い出す睦月に、愛菜と眞織も頭の中を「?」でいっぱいにしながら、それでも一応突っ込んであげた。

「夢の中でお家に帰ってたの?」
「んー…」
「つか、その相手が、亮じゃなくてカズちゃんとか」

 睦月はまだ寝惚けているのか、何となく眞織の言葉に返事をしているが、次に続く愛菜の言葉に、亮は顔を顰める。そんなこと、今さら言われなくたって、亮も若干傷付いている。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (4)


「睦月、まだ家には帰ってないんだよ。これからデザート頼むって。ホラ、どれにすんの?」
「んー…」

 せっかく起きた睦月がまた寝てしまわないうちに、亮はメニューを広げて睦月に渡す。
 寝起きで、ここが人前だということを忘れているのか、分かっていて、愛菜と眞織しかいないからいいと思っているのか、睦月はコテンと亮に寄り掛かって、メニューを覗き込んだ。

「あたしはねぇ、抹茶パフェとー……キウイサワー!」
「ティラミスと……じゃあ、原点に返って、生中で」

 2人で1つのメニューを覗いていた愛菜と眞織は、元気よく、デザートとアルコールを注文しようとする。
 亮は2人の底なしの胃袋を知っているから驚かないけれど、眞織が同時に欲しているティラミスと生ビールの組み合わせは、果たして相性がいいのだろうか。

「睦月は? どうする?」
「んー……チョコアイスとー…………」

 やはりアイスは食べたかったようで、睦月はメニューのチョコレートアイスを指差しているが、まだ他にも頼みたそうに、言葉を続けようとしている。
 まさかとは思うが、愛菜や眞織につられて、アルコールを頼むつもりだろうか。

「マンゴー…、プリン」
「えっ…」

 だが、睦月が続けた言葉に、それはそれで亮は言葉を失った。
 今日も睦月は最初の1杯しかお酒を飲んでいないから、あまり強くないものなら、もう1杯くらい飲んだって構わないと思っていたけれど、よもやデザートonデザートで来るとは…!

「アイスとマンゴープリン、2つ食べるの…?」
「食べゆ…」

 それでも念のために亮が確認すれば、舌足らずながらも、睦月はしっかりと頷いた。

「むっちゃん、食べ過ぎ~!」
「いや、飲み過ぎのお前らに言われたくねぇだろ」

 どっちもどっちな気はするが、とりあえず亮は睦月の味方なのだ。
 結局、愛菜と眞織はデザートとアルコール、睦月はデザート2つ、そして亮はアルコールだけを注文した。

「あ、これ、おいしそうっ」

 もうすぐデザートが来ると分かって、もう眠気は覚めたのか、亮の肩に頭を預けたまま睦月は、目を輝かせてメニューのデザートページを眺めている。
 睦月が指差したのは、ベリーソースの掛かったアイスだ。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (5)


「ちょっ睦月、今さらこれにするとか言わないでよ?」
「今度来たとき」
「今度、これにするの?」
「これとこれ」

 ベリーソースのアイスと、その隣のカスタードプリンを指差しながら、睦月は嬉しそうのほうを向く。どうやら睦月は、スイーツなら、メニューを見ているだけで幸せな気分になれる人のようだ。
 そんな睦月に、つられて亮も笑顔になった…………まではよかった。

「…なーんか妙にイチャイチャしてる人たちがいますけど、どうしましょうかねぇ、眞織さん」
「あたしたちの存在を忘れちゃってるんでしょうかねぇ、この人たちは」
「許せないですねぇ」

 睦月のかわいさに気を取られていたら、前方からそんな声が聞こえて、亮は慌てる。眞織の言葉どおり、つい亮まで愛菜たちのことを忘れ掛けていた。

「むっ…睦月、ホラ、ちゃんとしないとっ」

 亮的には、睦月とくっ付いていられて嬉しいんだけれど、それを彼女たちにジロジロ見られるのも嫌だし(絶対にそういう表情になっているから)、いちいち突っ掛られるのも嫌だ。
 アワアワしながら睦月の姿勢を正してやれば、何のことやら分かっていなかったのか、睦月は特に気にするふうもなく座り直した。
 亮だって、人前でカップルがいちゃついていたら、鬱陶しいなぁ…とは心の中で思うタイプなので、愛菜と眞織の気持ちはよく分かるし、その言葉に言い返すつもりなんかない。

「お飲み物お持ちしました~」

 亮たちと同世代くらいの店員が、先ほど注文したドリンクを置いていく。
 気まずい空気が流れるかと思った矢先のことだったので、このタイミングには、亮も感謝する。だが同時に、どうして亮が、愛菜や眞織に、睦月のことで気を遣わなければならないのかとも思うが。

「…俺のは?」
「え、だって睦月、お酒頼まなかったじゃん。何か飲みたかったの?」
「亮、何飲んでんの? これ何?」
「ハイボールだけど……飲む?」

 興味を示す睦月にジョッキを差し出せば、睦月は亮の腕にしがみ付きながら、鼻を近付けて、クンクンと匂いを嗅ぎ出す。
 見た目からしても、変なものではないのだから、そんなにおっかなびっくりしなくたって。

「一口…」

 亮からジョッキを受け取って、睦月は恐る恐る口を付けてみるが、途端に、何とも言えない表情になった。
 どうやら睦月は、あまりお気に召さなかったようだ。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (6)


「何? ヤダった?」
「何か………………ん」

 ハッキリとは言わなかったが、睦月はおずおずとジョッキを亮に返して来た。
 飲み会で、睦月は最初の1杯か2杯しかアルコールを飲まないけれど、大体いつも甘めのカクテルを頼んでいて、後はコーラを飲みながら、時々、今みたいに亮から一口貰っているのだが、その一口の後、結構こんな顔をしていることが多い(亮が甘いものがそんなに好きではないこと、いい加減、学習したらいいのに)。

「…なーんか、2人の世界に逃避行しちゃってる人たちがいるんですけど、どうしましょうかねぇ、眞織さん」
「ホント、どうしてくれましょうかねぇ、愛菜さん」

 …学習しなければならないのは、亮もなのかもしれない。つい先ほど、この2人の目だけは気にしなければ、と思っていたのに、もう忘れて、睦月にかまけてしまった。
 しかし睦月は、夢の中で和衣と一緒に帰宅したせいなのか、ここが居酒屋ではなく、自室だと思っているかのごとく、遠慮なく甘えてくるものだから、亮は天国と地獄の狭間で彷徨い続けるしかない。

 亮が居た堪れなくなっていたら、先ほどとは違う店員が、デザートを4つ持って登場したので、亮はひとまずホッとした。

「プッリン、プッリン、マンゴープッリ~ン♪」
「アイスもでしょ、はい」

 スプーンを握り締めた睦月が、変なリズムを付けて歌い出すのに、亮は今度こそつられないようにしながら、マンゴープリンとチョコアイスを渡してやる。

「亮、食う? アイス」
「いいよ、睦月、食べなよ」
「スプーン、もう1個あるから」

 4人いて、4つデザートを頼んだのだから、店員がスプーンを4つ用意するのも無理はない。
 亮は別にデザートを食べるつもりなどなかったけれど、睦月にスプーンを手渡され、とりあえずアイスをつついてみる。睦月のほうから勧めて来てくれたけれど、食べ過ぎたら拗ねそうだから。

「んん~~~~」
「むっちゃん、おいしい? これ一口食べる? ティラミス」

 また嫌味でも言ってやろうとしていた2人だったが、マンゴープリンを食べる睦月があまりに幸せそうで、その顔を見ていたら毒気を抜かれたのか、苦笑しながら眞織がティラミスを差し出した。
 睦月は笑顔のまま、ティラミスを口へ運ぶ。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (7)


「でもむっちゃんて、しょっちゅう甘いモン食ってる感じするけど、全然太んないね。お酒飲まないせい?」
「お酒飲まなくたって、あんだけアイスとかプリン食ってたら、太るでしょ普通。学校のカフェでむっちゃん見ると、絶対アイスとかプリン食ってるじゃん」

 お酒も大好きだが、甘いものだってやっぱり大好きな女子としては、しょっちゅうアイスやらプリンやらクレープやら…とにかく甘いものばかり食べているくせに、少しも体形の崩れない睦月は羨ましいようだ。
 とはいえ、彼女たちだって、スタイルはまったく悪くないのだけれど。

「俺、食い過ぎたとき、走ってるもん、無駄に」
「無駄に? いや、無駄じゃないでしょ」

 料理が作れないだけでなく、亮がいないと、食生活もめちゃくちゃになってしまう睦月は、食べ過ぎたと思ったときは、結構ランニングに出ているのだ。
 もともと走るのは好きだから、気付くとかなりの距離を走っていたりする。

「亮、アイスー」

 マンゴープリンを食べ終えたところで、睦月は今度はアイスのほうに手を伸ばしてきたから、亮はそれを睦月に渡そうとしたけれど、そのまま食べてていいと言うから、2人で1つのアイスをつつく。
 夢中で食べている睦月がかわいいと思って、つい見つめていたら、その視線に気付いたのか、睦月がスプーンを銜えたまま顔を上げて、「えへへ」とも「うへへ」ともつかない声で笑った。

「うっうん」
「あ、」

 わざとらしい咳払いに、亮がハッとすれば、愛菜がジト…と2人を見ており、眞織はあからさまに視線を逸らしていた。
 相変わらず、学習能力、ない。

「このアイス、おいしー!」

 しかし、いかんいかん、と亮が手を引っ込めようとしたところで、睦月の何とも平和な声がして、気が抜ける。

「ね、これおいしいね、亮」

 おいしいものを食べているときの睦月に、空気を読めというのは無理な話なのだ。
 すっごく嬉しそうに亮を見つめてくるから、そんな場合ではなかったかもしれないが、亮も思わずヘラッと表情を崩してしまう。だって、そんな顔を見せられたら。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (8)


「んん~っ、おいしいねー」
「あー…そうね…」
「うん…」

 何か言いたげだった愛菜と眞織も、睦月には敵わない。
 もともと2人とも、睦月のことはお気に入りで、かわいくて仕方ないのだから、これ以上何か言えるわけがないのだ(それに、今の睦月に何を言っても無駄なことは分かっている)。

「ごちそーさまでした!」

 お行儀よく両手を合わせた睦月は、非常に満足げに笑っている。
 何かもう……いろいろあったけれど、まぁいっか。

「ふぁ…」

 デザートを食べ終えて満足した睦月は、憚りもせずに大きな欠伸をする。
 あぁ…お腹が満たされたから、眠くなったのね…。3人とも、もう睦月に突っ込むことをやめ、早く(本当に)家に帰って寝かせてあげられるよう、急いでグラスを空けた。

「むっちゃんてさぁ…、どこまでも自分の欲求に忠実なんだね」
「まぁ、それがいいトコなんだけど…」

 愛菜と眞織は顔を見合わせて苦笑した。
 幼稚園児を相手にしていると思えば、腹も立たないし、疲れもしない。

「睦月、帰るよ?」
「んんー…」

 4人だけの、健全でささやかな二次会を終え、愛菜によって手際よく会計が済む。
 睦月は眠そうに帰り支度を始めるが、マフラーを首に掛けたところでコートを羽織り、その前を閉じないうちに帽子に手を伸ばす……といったことをしているから、すべてが中途半端なままになっている。

「睦月、手袋の前に財布片付けなよ。落とすよ?」

 先ほどデザート2つ分のお金を払った睦月は、まだ財布すら片付けていなかったのだ。
 すでに支度を終えた眞織が、はぁ~…と溜め息を零す。もしかしたら、睡魔に襲われている睦月は、幼稚園児よりも手が掛かるかもしれない。

「ホラ、マフラー巻いて」

 亮は、モタモタと財布をしまっている睦月の前に屈むと、首に掛けただけになっている睦月のマフラーを巻いてやり、ついでだから、コートの前も閉めてあげる。
 睦月はその間、別に照れるでもなくニコニコと亮を見つめていて、甘やかしているとは思いながらも、亮はなかなか『自分でやれ』とは言えない。
 そして、手に持ったきり被っていなかったロシア帽を、睦月の頭に被せてあげて、準備完了。



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嬉しそうに見つめてくれるところ (9)


「亮、ありがと~」
「ちょっ」

 ようやく帰り支度をみんな終えて、睦月も立ち上がるのかと思いきや、そのまま前にいた亮に抱き付いた。
 さすがにこれには亮も慌てたが、睦月はなぜかコクンと頷いた後、亮のももや肩に掴まりながら立ち上がった。

「今の何よ。どういう意味のハグなのよ」
「いや、それは俺も…」

 呆れたとかそういうことでなく、本当に意味が分からなくて愛菜が尋ねれば、睦月に抱き付かれた亮もまたわけが分からなかったので、首を傾げた。
 そしてその困惑の原因である睦月は、何事もなかったかのように、手袋をはめている。

「亮、帰ろー」

 ずっと睦月の支度待ちだったのに、手袋を着け終えた睦月は、みんなの頭に謎を残したまま、さっさと帰ろうとしている。
 どこまでもマイペースで、どこまでも理解不能だが、とりあえず睦月がかわいいのでよしとすることにして、亮は睦月の後を追った。

「亮、早くお家帰ろうね?」
「あぁ、寒いもんね」

 店の外に出て、冷たい空気が吹き付けて来たから、寒さのあまり睦月がそう言ったのかと思ったら、「…じゃなくて、」と亮の腕を引いた。亮に耳打ちしたいらしい。

「ん? 何?」
「早く、亮と2人になりたいのっ」
「ちょっ…」

 まさか睦月がそんなことを言うとは思っていなかった亮は、あまりに突然のことに驚いて、言葉を詰まらせた。
 まだ寝惚けているの? それともそれは亮のほう?

「むつ…」
「えへへー、早く帰ろー」

 驚いたままの亮が睦月を見ると、嬉しそうに見つめてくれる睦月がそこにはいて。

「はぁ~…やっぱりむっちゃんだけ連れて、二次会行けばよかった」
「行かせぇよ、バーカ」

 背後から聞こえた愛菜の声に、亮は振り返ってベーと舌を出した。



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*end*
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......とりあえずこんなところかな。


「まぁ、とりあえずこんなところかな」
「はぁ~っ?」

 話を聞き終えた潤は、これでもかと言うくらい嫌な顔をして、そしてそれと同じくらい嫌そうな感じで、声を上げた。
 そんな、あからさまに不機嫌を丸出しにした潤に、話を終えた亮は、不思議そうに首を傾げた。

「何、どうしたの、潤くん」
「どうしたの、じゃねぇよっ。何で酒飲みながら、お前のそんな惚気話、聞かなきゃなんねぇだよっ!」
「イテッ」

 何も分かっていない様子の亮にイラッと来て、潤はその頭を思いっ切り引っ叩いてやった。

「え、だって潤くんが聞いて来たんじゃん、睦月の何がいいの、て!」
「聞いてねぇよ、そんなこと。つか聞きたくねぇよっ」
「聞いたじゃん、こないだ! 風呂で!」
「…………」

 亮は今日、潤の部屋で彼と2人、酒を飲んでいた。たまたま潤の同室者が不在で、睦月もバイトだったから、どちらが先に声を掛けたのか、そういうことになっていた。
 そして酒も入り、くだらない話で盛り上がったところで、亮はふと、先日風呂で潤に睦月の何がいいのか聞かれたことを思い出したのだ。睦月が風呂場で滑って転んだときだ。
 だから、それについて答えてやったというのに、一体どうして彼はこんな反応なのだろう。

「聞いた、ていうか……」

 亮に言われて、潤もそのときのことを思い出していた。確かに潤は、それらしきことを亮に聞いたと言えば、聞いた。『お前、アイツの何がいいわけ?』とか言った。
 しかしそれは、呆れから来る嫌味で言ったまでで、亮が睦月の何がいいと思っているかを、本気で聞きたかったわけではないのに。

(コイツて、本気のアホなのか…!?)

 あまりの驚愕に、潤が酔いが醒めるのを感じた。
 亮は、酔って口が軽くなるほどの量を飲んでいないから、本当に真剣に、睦月について思っていることを、潤に語ってくれたのだろう。

「そっか……そんなに好きか、アイツのこと…」

 もはや突っ込む元気も、皮肉を言う気力もなくなって、潤はただそれだけ返すと、缶ビールを煽った。
 そんな潤を不思議に思いつつも、亮は、そろそろ睦月が帰って来る時間だなぁ、と時計を気にしていた。





 恋は盲目、などと申しますので。
 2人の世界に口出しは無用なようであります。



*END*



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 最後はおまけですが。一応、縦読みお題なので、このお話を載せないと、締まりがないかな、と思ってアップです。
 むっちゃんの好きなところ編、これにて終了です。
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HA-HA! 僕らマッチ箱みたいな世界で生きてる INDEX


■残念ながら、あなたのことは何も分かってあげられないようです
 (1) (2) (3)

■アルデンテには向かない夜
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)

■この街は、今日もメイドで溢れている
 (1) (2) (3) (4)

■オムライスまでの道のりは、果てしなく険しい
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

■パニエの下の誘惑
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)

■どこにも帰れない
 (1) (2) (3) (4)

■愚かだということは分かっている
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)

■世界の危機を救うヒーローにはなれない
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)

■あなたの思うがまま
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18)

■絶望ルーレット
 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)

■love&kiss&hate
 (1) (2) (3) (4) (5)

■何も知らないふりで生きることだって出来るの
 (1) (2) (3) (4) (5)
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残念ながら、あなたのことは何も分かってあげられないようです (1)


(point of view : manaho)



 三木本(ミキモト)先生は、変な先生だ。
 文学部の先生なのに、いっつも白衣を着ている。噂によると、本当は保健の先生になりたかったのに、なれなかったから、気分だけでも…てことで着ているらしい。
 関係ないのに白衣を着ているのもアレけど、保健の先生と文学部の先生じゃ、なるためにやるべき勉強だって違うのに、どこでどう方向転換したのか、意味不明な人だ。

 でも、話を聞くだけで変だとしか言いようがない先生でも、若くて格好いいうえに、授業もおもしろいとかで、女の子たちからは人気があるらしい。
 学部の違う俺は、三木本先生なんて構内でちょこっと見掛けるくらいだし、友だちからそんな噂を聞くくらいでしかないんだけれど。

 ――――それなのに。

「マナくん、マナくん。何してんの?」

 構内のベンチでメールを打っていたら、急に声を掛けられて、ビビって顔を上げると、相変わらずの白衣姿の三木本先生が、俺の前にしゃがんでいた。
 そんなに集中していたわけじゃないと思うけれど、全然気配に気付けなかった。
 …ていうか、携帯電話を弄ってる人に向かって、『何してんの?』て聞くのは、多分すごくバカげていると思うけど。

「ねぇねぇマナくん」

 川瀬真歩(カワセ マナホ)、だからマナ。
 友だちからも、確かにそう呼ばれてる。
 でも、俺のことをあだ名で呼ぶ先生なんかいないし、いや、別にそう呼んでくれたっていいんだけど、三木本先生とは、そこまでの面識なんか、全然ない。
 なのに三木本先生は、まるで昔からずっと知り合いみたいに、『マナくん』なんて呼んできた。

「声掛けたとき、ちょっとビクッてした、てことは、少しは後ろめたい気持ちがあるのだね」

 三木本先生は、俺の前にしゃがんだままそう言って、「グフフ」て、変な笑い方で笑った。
 何だっけ、あの猫に似てる。アリスに出てくるヤツ。

「違うよ、サボってたんじゃないよ、お腹痛いの」

 今は授業時間中だけど、この時間に何も取っていなければ、元から授業なんてないわけで、別にサボりでも何でもない。
 だから、俺が今ここにいるからって、サボってるとは限らないのに、先生がそんな言い方をするから、俺は思わず、高校生みたいな言い訳をしてしまった。
 まぁそれは実際、俺がまさに、ただいま授業をサボっている真っ最中で、先生の言ったことがあながち間違いじゃないからなんだけど。
 でも、ビクッてなったのは、先生が変な登場の仕方をしたせいでもあるから、そう言えばよかった。



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残念ながら、あなたのことは何も分かってあげられないようです (2)


「マナくん、お腹痛いの?」

 先生はしゃがんだまま、小首を傾げてる。
 まさか本気にしてるわけじゃないとは思うけど、とりあえず「うん」て返事をして、携帯電話に視線を戻す。
 腹痛いなら、こんなとこでケータイ構ってないで、医務室か病院行けよ、とは突っ込まないんだな、なんて思ってたら、なぜか先生の腕がこちらに伸びてきた――――次の瞬間。

「ギャッ!」
「…グフ」

 何だ? と思う隙を与えずに、先生の手が俺のシャツの裾を捲り上げたから、お腹が丸出しになってしまい、俺は慌てて先生の手を振り払った。
 勢い余って、先生のことを突き飛ばしそうになったけど、反射神経がいいのか、先生がサッとよけた。

「何すんだよっ!」

 シャツの裾を直しながら睨み付けてみても、先生はニヤニヤしているだけだ。

「マナくんがお腹痛いて言うから、診てあげようと思って」
「…先生が見て、何になんの? 何かそういう…医学的な知識持ってんの?」

 本当は保健の先生になりたかったらしいから、ちょっとはそういう勉強をしているんだろうか。
 だとしても、こんなところで人のシャツを捲り上げるなんて、どうかしている。

「お医者さんごっこ」
「…………」

 …こんなところで人の腹を丸出しにする、とかいう以前の問題だった。
 やっぱりこの人、普通じゃない(いいほうの意味でなくて)。

「…バッカじゃねぇの」
「何だとぅ! 俺はちゃんと高校も大学も卒業して、学校の先生になったんだぞ! 授業サボってるヤツに、バカ呼ばわりされる筋合いはないっ」
「……」

 思わず口を突いて出た言葉に、先生はすぐさま反論してきた。
 確かにそういう意味では、先生はバカじゃないし、俺はバカ呼ばわりできる立場じゃない。でもやっぱり三木本先生は、ちょっとどころでなく変だと思う。

「分かったよ、行けばいいんでしょ、授業――――――――何?」

 学校にまで来てるわけだし、授業に出るに越したことはないし、何よりも、この人とこれ以上係わりたくなくて、てベンチから立ち上がれば、なぜか手を掴まれた。
 本当は今から教室に行く気はない、て分かっちゃったんだろうか。

「まぁいいじゃん、もうすぐ授業終わるし」
「…先生がそんなこと言っていいの?」
「ウヒヒ」

 予想とは違う先生の言葉に、俺はちょっと戸惑ったけど、先生は笑いながら、俺の手を離した。
 俺はそのままこの場を立ち去ることも出来たけれど、そのままベンチに座り直した。…待ち合わせもあるし。



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残念ながら、あなたのことは何も分かってあげられないようです (3)


「マナくん、1人で授業サボってて、寂しくない?」
「うっさいよ。先生こそ、何してんだよ」
「ウロウロ」
「何で」

 まさか先生が授業をサボるわけがないから、今は授業がないんだろう。
 でもそれにしたって、何でウロウロする必要があんの? ホント、意味分かんない。

「でも、俺がウロウロしていたおかげで、マナくんは俺と出会えた!」
「何それ」

 出会ったのが嫌なわけじゃないけど(いや、何か思った以上に面倒くさいから、やっぱ嫌かな…)、でも別に出会いを望んでいたわけでもないし、そんな恩着せがましく言われても…。

「…変なの」
「変じゃないよ。俺は、1人で寂しく授業をサボっているマナくんの心の支えになろうと…」
「うっせぇよっ」

 確かに授業はサボってるし、今は1人でいるけど、友だちが来るのを待ってるだけで、別に寂しくしてるわけじゃない。
 勝手に一人ぼっちキャラにすんじゃねぇよ。

「マナくんは、怒ると、口が悪くなる」
「知るかよ。先生が怒らすんじゃん」
「グフフ」

 俺が怒ってるって分かってるくせに、何でわざわざそんなこと言うんだろう(しかも、また笑ってるし)。
 本気で怒ってるわけじゃないけどさ。

「…ていうか、何でそこにしゃがんでるんですか?」

 三木本先生が俺の前にしゃがんだままだから、気になって仕方ない。
 何なの、この体勢。どっかに行ってくれるのが一番いいけど、せめて立つとか、隣に座るとかしてくれたらいいのに。

「マナくんをジロジロ見るため」
「キモいです」

 ジロジロ見られるのも嫌だが、100万歩譲ってそれを許したとして、それでも、そこにしゃがんでいる理由になんかならない。
 人がベンチに座ってる前にしゃがんでるなんて、どう考えても変だし、いや、先生が勝手に変だと思われてる分にはいいんだけど、この状況だと、俺までそう思われるから、それが嫌だ。

 しかも、ウチの大学は理学系の学部がないから、構内で白衣を着ているのはこの人くらいで、ちょっと見れば、しゃがんでいるのが三木本先生だとすぐに分かる。
 学生が先生をしゃがませて……て、あんまりいい感じじゃない。

「どっか行って…」
「あ、チャイム。じゃあね、マナくん。またね」
「は? え、はい」

 テコでも動かないつもりなんじゃ…と一瞬心配になったのに、終業のチャイムが鳴ったかと思うと、先生はいきなりそう言って立ち上がるから、俺は呆気に取られた。
 そして先生は、あの変な笑い方をしながら、バイバイて手を振って、あっさりと立ち去っていってしまった。

「何だったんだ…」

 あまりに唐突で衝撃的な出来事に、俺は結局友だちにメールを送りそびれてしまったが、それにすら気付けずにいた。




残念ながら、あなたのことは何も
  分かってあげられないようです



(…てか、三木本先生、何で俺の名前、知ってんだ?)



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アルデンテには向かない夜 (1)


(point of view : mikimoto)



 俺様が疲れて、腹を空かせて仕事から帰って来たというのに、ご飯が出来ていないという事実。


「腹減ったー、あー腹減ったー」
「…………」
「腹減ったよー」
「…うるさいなぁ」
「何だとぅ!」

 ご飯が出来るまで、することがないから、ソファの上で今の心情をぶちまけていたら、台所に立っていた森下が、ボソッと反論してきやがった。
 森下のくせに生意気な。

 森下は、俺のセフレ 兼 下僕だ。
 俺は大学の講師で、森下はリーマンだけど、まぁいろいろありまして、俺らは一緒に暮らしている。でもって、俺はまったく家事が出来ないから、ご飯を作るのは森下の役目だ(下僕なんだから、当然)。

「早く食べたかったら、ミキくんもちょっとは手伝ってよね」
「ヤダー」
「だったら文句言わない」

 森下は振り返りもしないで、そんなことを言う。
 大体、お前が前に手伝わなくていい、て言ったんだろ。俺が手伝うと、かえってメチャクチャになるから、つって。

「………………」

 俺はソファから降りると、森下の背後に近付いた。
 …メニューはパスタか。変わり映えしねぇなぁ。

「何、ミキくん。もうすぐ出来……――――うわあぁっ!!」

 俺のほうをチラリと見た森下の視線に気付かないふりで、俺は菜箸で鍋の中のパスタを掻き混ぜている森下の股間に手を伸ばすと、むぎゅとズボンの上からチンコを握った。

「ちょちょちょっ、何すんの、ミキくん!」
「声デケェよ、バカ」

 森下は大げさなくらいに反応して、俺の手を払い落とした。

「だって、することねぇし」
「意味分かんねぇ。あっち行ってよ」
「……」

 シッシッて、俺のことを追い払うような仕草をする森下に、何となくムッ。
 ちょっとした、俺のかわいいいたずら心を踏みにじりやがって。

「……」

 ジト…と嫌そうに俺を見つめる森下に、俺はソファのほうに戻った…………ふりで、一瞬の隙を突いて、森下の背中に飛び付いた。



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アルデンテには向かない夜 (2)


「ちょっ、何!? ミキくん! ざけんなっ、危ねっ…」

 俺様の瞬発力に敵うはずもない森下の腰を、背後からホールド。
 森下は俺より10㎝も背が高いけれど、無駄にひょろいだけで腕力ないから、ジタバタしたところで逃げられやしない。それをいいことに、俺は森下のズボンのファスナーに掛けた。

「危ねぇって。火! お湯かけてるっ!」
「黙れ森下、大人しくしやがれ」
「ギャー、ミキくんに犯される~!」

 黙れ、つってんのに、森下は無駄口ばっかり叩いていやがる。別に悪いようにはしないのに。
 でも火の点けっ放しは危ないから、俺は片手でサッと火を止めて、森下のズボンの前を寛げた。

「ミキくん、ちょっ、メシはどうすんの!」
「うるせぇ。メシ作んのと、俺にしゃぶられんのと、どっちがいいんだよ」
「………………。後者でお願いしまーす」
「よしよし」

 最初から素直になればいいんだ。
 俺は森下から手を離すと、その足元に跪いて、森下のズボンと下着を下ろした。…さっきちょっと弄ったのに、全然勃ってねぇな。

「いただきまーす」
「…その言い方やめてよ、ミキくん。怖ぇ」

 腹減ってるからって、別にそこまでバカじゃねぇよ。
 ムカつくから歯でも立ててやろうかと思ったけど、とりあえずそれはやめておいて(本気で勃たなくなったら困る)、俺は森下のモノを口に含んだ。

 何つーか…、長ぇのかな、コイツの。
 本気で根元まで銜えようとすると、ウェッてなっちゃうんだよね。でもそれは、デカいて言ってるみたいで、言ったら調子に乗りそうだから、黙ってんだけど。
 だから、銜えられるトコまで銜えて唇と舌で愛撫しながら、根元のほうを擦ったり、陰嚢を揉みしだいたりする。

 俺ね、別に自慢できることでもないけど、フェラテク、すごいかんね。すぐに勃たせてやれるし、どんな遅漏ヤロウも、あっという間にイカせちゃうもんね。
 あ、講師辞めたら、そういうので食ってこうかな。

「はぁっ…」

 頭上で森下の熱い吐息が聞こえて、銜えたまま視線を上げたら、結構ギラギラした目でこっちを見てた。
 んふふ、だってもう、口の中の、ガチガチだもんね。

「イひたい?」
「チッ…」

 森下なんか、すっかり俺の手の中だぜ、て思ったら、何か優越感。
 楽しくなってきて、上目遣いのまま聞いたら、森下は舌打ちをしやがった。あ、イカせてやんねぇぞ。



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アルデンテには向かない夜 (3)


「ンぐっ…」

 森下のを口から出してやろうと思ったら、それより先に頭を押さえられた。
 いきなり喉の奥のほうまで森下のが入って来て、思わず俺はえずいちゃったけど、森下はそんなことお構いなしに、俺の頭を押さえたまま、腰を動かして来た。
 苦しくて、涙が浮かんでくる。でも何かゾワゾワしてきて、ヤバい、勃ちそう。変態か。

「ンッ…」

 喉の奥に精液が当たって、森下が射精したんだと知る。
 昔は喉射されると、それこそオェッちゃってたんだけど、今はもうコツを掴んでっから、そうはならない。でも、精液がいきなり胃に流れ込んでくるから、変な感じだなぁ、とは思う。

 …つか、誰が口ン中に出していい、つったよ(口ていうか、胃の中だけど)。
 でも俺様は優しいから、森下のチンコに吸い付いて、最後まで精液を吸い出してやって、全部飲み干してから口を離した。

「はぁ…、ごちそうさまでした」
「ちょっミキくん! 人のズボンで口拭かないでよっ! きったなっ!」
「テメェの精子だろうが。責任持てよなっ」

 大体、汚いて何だ、汚いて。
 お前それを俺の口に出したんだぞ!

「もぉ~何なのミキくん」
「何なの、て何だよ。つか森下テメェ、勝手にイラマとかしてんじゃねぇよ。続きさせねぇぞっ!」

 今日はもう突っ込ませねぇぞ! 1人でオナってろっ! て思って言ってやったら、なぜか森下は、ちっとも焦った様子がない。ていうか、何かちょっと余裕な感じ?
 あれ?

「別に俺は、それでもいいけど? 今、ミキくんが抜いてくれたし。それよりも、ミキくんのほうがツラいんじゃない?」
「ぁっ…」

 床に座ったままの俺の前に屈んで、森下がズボンの上から俺のチンコに触ってきた。
 森下の余裕の理由はそれか。
 あー…ヤベェ。フェラしてて勃っちゃうとか、俺ホント変態じゃねぇの? つか、布越しに触られんのって、何かじれったくてダメだ…。

「ホントに続きしないの?」
「…………する…」

 森下に顔を覗き込まれて尋ねられ――――陥落したのは俺のほうだった。



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アルデンテには向かない夜 (4)


 騎乗位て好き。あと、座位とか。
 何かさ、すげぇ奥まで突っ込まれてる感がするじゃん?

「はぁ…ん、ぅん…」

 ――――で。
 ただいま、その真っ最中なわけで。

 最初は騎乗位でやってたんだけど、森下が上体を起こしたから、対面座位の格好になってる。
 つか俺、さっきフェラしてから口ゆすいでないのに、よくキスできんな、コイツ。

「んっ、んっ、んっ…」

 唇を塞がれたまま、下からズンズン突き上げられて、頭ぶっ飛んじゃいそう。
 体位のせいで、チンコがお互いの腹で擦れるから、それも気持ちいい。

「あっ、あっ……あ、そういえばさ」
「…え?」

 突っ込まれて、アンアン喘いでる最中だけど(いや、そんな女みたいな声は出さねぇけど)、何か急にマナくんのこと、思い出した。いやホント、こんなときにゴメン。
 だって何か、一生懸命俺のことを気持ちよくしてくれようとしてる森下が、やっぱ年下だよなー、かわいいなー、とか思ったら、かわいい繋がりで、つい。
 でも、マナくんのほうが、かわいいけどね!

「何、ミキくん」
「ん…」

 耳の後ろんトコに舌を這わされて、ゾワッて来る。
 感じてるコイツの声、好きだな。

「…何も言ってないし」
「いや、今思いっ切り話し掛けたっしょ、何?」

 まぁ、はい。話そうと思ったんだけどね。
 でもね、さすがに森下でも、ヤッてる真っ最中に他の男の話されたら怒るかなぁ、と思って、何も言ってないことにしたんですけどね。

「ねぇ、何?」
「ぅん…」

 しつこく聞いてきながらも、腰動かすのはやめねぇのな、お前。
 さっき抜いたし別に、みたいなこと言ったくせに、全然別にじゃねぇじゃんかよ。

「ガッコに……かわいい子、いんの」

 答えるまでしつこそうだから、さっさと白状する。
 ずっとかわいいと思ってたマナくんと、今日偶然にもお知り合いになれたから、嬉しくてしょうがないんだよね、俺。



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アルデンテには向かない夜 (5)


「かわいい子? 学生に手出すと、いろいろ面倒なんじゃねぇの?」
「ん、んぁ…、手なんか出さねぇし…」
「そうなの? ミキくんのことだから、気に入った子がいたら、すぐ手出すのかと思った」

 コイツ…、俺のこと、何だと思ってやがる。
 そこまで節操なしじゃねぇよ。

「マナくんは、手出すとか、そういうんじゃねぇのっ…」
「マナくんていうの? でもかわいいんだろ? 手出さねぇんだ?」
「手出す、つーより、ッ…、悪戯しちゃいたい…」
「…そっちのがヤバイよ」
「ヒッ、あぁっ…!」

 森下は呆れたように言って、ズン、と奥まで突き上げて来た。その、急な強い刺激に、思わずイッちゃいそうになったけど、何とか堪えて、やり過ごす。
 でも、森下の腰に足を絡めて、ギュッとしがみ付いたら、気持ちいいトコばっか刺激してきやがるから、我慢はそう長く持ちそうもない。

「あーもぅバカッ、激しっ…」
「でも好きでしょ? 激しいほうがっ…」
「あっ、あぁっ、イッ…、ああぁっ!」

 頭ン中真っ白になって、イッちゃって、でも森下はまだみたいで、ガクガク揺さぶられる。
 イッてる最中に突かれまくると、もう何が何だか分かんなくなっちゃって、変になっちゃいそう。

「ッ…」

 耳を掠める、森下の息を詰めた声に、森下もイッたんだと知る。
 ゴム着けてっからね。中に精液が流れて来て…みたいのはないわけ。

「ん…」

 イッたばっかで息も整ってないのに、唇を塞がれる。
 ダメ、苦しい……て、森下の上から退こうとして、ふと気が付いた。コイツ、萎えてなくね?

「…おい、」
「あ、ゴメン。全然萎えないわ。もっかいヤッていい?」
「バッ…ざけんなっ! あンッ!」

 どういうつもりだと問い詰めようとしたら、森下はまったく悪びれた様子もなくそう言って、腰を動かして来た。
 ガキか! 思春期か! 抜かずの連発とか、どういうつもりだ、コンチクショウ!
 でもケツにチンコ突っ込まれて、腰を掴まれたままじゃ、逃げるに逃げられなくて、俺は森下にいいように揺さぶられてしまう。



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アルデンテには向かない夜 (6)


「あっ、あっ、あっ…」

 もう、声も抑えらんない。
 上擦った、変な声だと思う。こんなの聞いて、よく萎えないよな、コイツ。

「あっ、ああっ!」

 グラリと世界が反転して、森下の顔の向こうに天井が見える。
 ベッドに押し倒されて、足の、膝の裏っ側ンところを抱えられて、ズンズンと奥を突かれる。

「あぁやぅんっ、んっあッ」

 自分でも気付かないうちに俺は、気持ちよすぎてボロボロと泣いていて、そのままわけ分かんなくなって、意識を飛ばしていた。



******

「…テメェ、よくも2回もやりやがったな」
「あはは、だってー」

 意識を取り戻した俺は、涼しい顔をしている森下を睨み付けてやったが、全然堪えていない(コイツ、ちょっとMだもんな)。
 つか、マジ若いよな、抜かずの2発とか。
 絶倫すぎてキモい。

「でもミキくんだって、よかったでしょ? イテッ」
「お前、ぶっ飛ばされたいのか!?」
「ぶっ飛ばしてから言わないで!」

 ぶっ飛ばしたんじゃねぇよ、蹴り飛ばしたんだよ!
 あー、森下のくせにムカつく!

「てか森下ー」
「何?」
「腹減ってんだけど、メシはどうなったわけ?」
「えええぇぇぇ!」

 そういえば俺、腹減らして帰って来たんだよ、俺。
 なのに、まだ食ってないんだけど。

「ちょっ…、今このタイミングでメシの話とかする!?」
「何が?」
「ミキくんてさ、ホント、デリカシー…」
「おめぇに言われたくねぇよ。つか、パスタ茹でてたじゃん、食おうぜ?」

 ただでさえ腹減ってんのに、こんな激しい運動しちゃって、どうすんだよ、まったく。
 でも森下は、何か微妙な顔してるし。



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アルデンテには向かない夜 (7)


「ンだよ」
「ミキくん、本気でパスタ食いたいの? さっき茹でてたアレ」
「ぅん?」

 森下の言ってる意味が分からなくて、俺はとりあえずパンツだけ穿いて、森下にくっ付いて台所に向かう。
 あ、電気点けっ放しだった。そんな余裕なかったんだっけ?

「何? ゲッ」

 森下が嫌そうに鍋を指差すから、何なんだと思いながらそれを覗き込んだら、そこには大惨事が広がっていた。
 うわー、茹でかけのパスタ、お湯に浸しておくと、こうなるんだー。ぶよっぶよ。
 ギャグだ。でも全然笑えねぇ。

「…森下ー」
「何」
「試しに食ってみて」
「ヤダよ。ミキくん腹減ってんでしょ? 食いなよ」
「ぜってぇヤダ」

 地球上にこれしか食うモンがなくなったら食うかもだけど、そうじゃなかったら、ぜってぇ食わねぇ。

「もう冷蔵庫の中、空だよ。どっか食いに行く?」
「今さら服を着んの、面倒くせぇ」
「ミキくん…。人間としての尊厳を、ちょっとは保ちなよイテッ」

 言い終わる前に蹴っ飛ばそうとしたのに、つい最後まで聞いてしまった。
 まったく、森下はロクなことを言わない。

「出前取ろうぜ、出前」
「はいはい」

 コンビニに行くんだとしても、服は着なきゃだから、こうなったら、それしか手段はない。
 俺は森下を台所に置いて、出前メニューのところへと向かった。




アルデンテには向かない夜


「ミキくん、結局何頼んだの?」
「寿司。あ、俺風呂入ってくっから、届いたら金払っといてね」
「えぇっ!?」



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