恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

2014年01月

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♂×♂好きさんに100の質問


 本日1月1日をもちまして、「恋三昧」は6周年を迎えました。
 いつもご訪問してくださるみなさを始め、拍手・コメント・ランキングクリックしてくださるみなさまのおかげです。
 本当にありがとうございます。

 ちょうど1年前に5周年の挨拶をし、前年はブログをお休みしたり、インフルエンザでダウンしたりで散々だったから、今年はそんなことのないようがんばっていく、なんて書いてましたが、最後の最後にお休みをしてしまいまして、誠に申し訳ありませんでした。

 ただ今年も、1月中旬から3月中旬にかけて、仕事が劇的に忙しくなるため、更新が遅くなることも予想されます。
 年の初めに情けないことを言って申し訳ありませんが、自分のペースでがんばっていきたいと思いますので、今年もよろしくお願いいたします。


 さてさて。
 毎年恒例の、誰も知りたくないだろうけど答えちゃう、私のことバトン。今年は原点に戻って「♂×♂好きさんに100の質問」です。
 配布元は「ボーイズラブ探求サイト-BL HEART-」様です。



1. この質問の解答日はいつですか?
 2014/01/01

2. HN(ハンドルネーム)もしくはPN(ペンネーム)を教えてください。
 如月久美子

3. BL(ボーイズラブ)という世界を知ったのはいつ頃ですか? また、きっかけは?
 20年くらい前。
 そのころはまだ、BLて言葉はなかったと思う。きっかけは忘れました。

4. BLにハマったのはいつ頃ですか? また、きっかけは?
 覚えてないです。
 知ったころにはハマったんだとすれば、20年くらい前?

5. BL歴何年ですか?
 これ、質問3,4と何が違うの?

6. 家族や仲の良い友達は、あなたがBLを好きなことを知っていますか?
 知らないと信じてます。
 昔は一緒にやってた友だちもいたけど、もう随分会ってないから、そうだってことも忘れてると思う。

7. BL好きの友達はたくさんいますか?
 いないです。

8. 周囲の人にカップリングなど、洗脳されることが多いですか?
 多くないです。
 自分の好みは自分の好み。

9. 知り合って間もない人に、BLが好きなことを打ち明けられますか?
 打ち明けるような場面がない。
 どういう展開で、知り合って間もない人に、BLが好きなことを打ち明けないといけないことになるの?

10. 「BL」は「やおい」「JUNE」などと表現されることは知っていますか?
 「やおい」「JUNE」は、言葉としては知ってるけど、「BL」を「やおい」「JUNE」て表現するかどうかは「???」
 それぞれ言葉の意味が違うから、そうは表現しないのでは?

11. 知っている方は「BL」「やおい」「JUNE」に違いがあると思いますか? その違いは?
 BL…Boys Love。男同士の恋愛。
 やおい…やまなし・おちなし・意味なし。
 JUNE…雑誌の名前。

12. 「ホモ」や「ゲイ」という言葉をどう思いますか? よく使いますか?
 特にどうも思わないし、日常生活では使う場面もないです。
 お話の中ではときどき使うかな。

13. 男性向BL(本物の男性同性愛者向け)の世界をどう思いますか?
 特にどうも思わないです。

14. 28年間出版されてきた「さぶ」が2001年末に最終号を発売したことについて一言。
 別に言うことはないです。読んだことないし。

15. 男性向のBLな物を買ったことありますか? 買いたいと思いますか?
 買ったことはなし、別に買おうとも思わない。
 どうせ男性向けなら、普通に女の子が出てくるヤツがいい。

16. 女性向BLが好きな男性をどう思いますか?
 どうも思わないです。

 この『♂×♂好きさんに100の質問』て、さっきから「~についてどう思いますか?」て質問が多いですけど、私、他人のこととか、どうでもいいんですよね。
 何かについて、他人がそれを好きか嫌いかなんて、私には関係ないことだから。
 それによって私に何か影響があるなら考えるけど、女性向BLが好きな男性がこの世の中に存在したところで、別に何がどうなるわけでもない。

17. 創作(オリジナル)BL作品と版権物作品(パロディ)のBL、どちらが好きですか?
 昔は版権にめっちゃハマってた。ジャンプ系とか。
 今はあんまマンガ読まないから、流行りの版権モノはよく分かんないけど、自分の好きなマンガとかだったら、版権のほうが好きかも。

18. 芸能人など、実際に存在する人をテーマにしたBL的妄想について、どう思いますか?
 どうも思わないです。
 これも、広い意味で考えたら、版権モノと同じようなことの気がするけど。実写か、生身の人間かの違い。

19. 二人組の男の子(年齢問わず)を見ると、妖しい妄想をしてしまうことはありますか?
 ありません。

20. 今、もっとも好きなBL作品やカップリングは?(原作にBLがなくてもOK)
 まぁいろいろあるんですけど、ちょっと言えないかな。ジャンル的に。

21. 今、密かにpushしているBL作品やカップリングは?(原作にBLがなくてもOK)
 それよりも、「プッシュ」だけ英語で書かれていることが気になる。
 何か中学生とかが、格好いいと思ってやってるのに似てるよね。

22. 過去にもっともハマったBL作品やカップリングは?(原作にBLがなくてもOK)
 スラムダンクとか、幽遊白書とか、るろうに剣心とか。

23. 今までで一番心に残るBL作品やカップリングは?(原作にBLがなくてもOK)
 絶愛とBRONZE。
 これが普通にマーガレットに連載されてたんだから、すごいことだと思う。

24. BLで同人活動していますか?
 同人誌を発行するという活動はしてないです。

25. 同人誌即売会によく参加しますか?
 年に3, 4回くらい?

26. 漫画と小説、どちらをよく読みますか?
 どっちも。

27. 同人誌と商業誌、よく買うのはどっち?
 同人誌。
 もう10年くらい商業誌なんて買ったことない。

28. 原作のあるパロディ作品の中で、オリジナルキャラが出てくる話をどう思いますか?
 脇役とか敵キャラとかならいいかな。

29. BLのオリジナル作品で、自分でBLな話を考えてしまうことはありますか?
 質問の意味がよく分かんない…。元のストーリーがあるのに、自分で違う展開とか結末を考えるかどうか、ということでしょうか。
 私だったら、こういう展開にするのに、みたいなことはある。それは別に「BLのオリジナル作品」に限らないし、考えるのも「BLな話」に限らないですが。

30. BL要素のない同人誌を買いますか?
 男性向けエロ同人誌(男×女とか女×女)をちょくちょく買ってる。

31. 愛読しているBL雑誌(漫画・小説など)はありますか?
 ありません。

32. 愛読しているBL以外の雑誌はありますか?
 いっぱいあります。
 というか、雑誌はBL以外しか買ってないです。

33. 人目を気にせずBL本を立ち読みできますか?
 出来ます。

34. 好きな漫画家さんを教えてください。(BL作家以外含む)
 ジャンル的にちょっと言えないです(同人作家さんなんで)。
 でも、こだか和麻さんとか真東砂波さんとか好き。
 BL以外なら、赤塚不二夫、青山剛昌、モンキー・パンチ、一条ゆかり、岡田あーみん、杜真琴、魔夜峰央、高橋留美子などなど。

35. 好きな小説家さんを教えてください。(BL作家以外含む)
 有栖川有栖、吉村達也、アガサ・クリスティー
 同人作家さんは言えないです。ジャンル的に。

36. 攻め立場と受け立場、どちらの立場で書かれた作品が好きですか?
 考えたことないけど…………受けかな。
 今、直感で思い付いたところによれば。

37. BL系の本を何冊くらい所持していますか?
 数えてないです。
 数えるのが怖いから。

38. BLゲームはプレイしますか?
 しないです。

39. BLゲームは何本くらいプレイしましたか?
 0本。

40. BL要素があれば男性向けの18禁ゲーム(美少女系)でもプレイしますか?
 BL要素がなければ、男性向けの18禁ゲーム(美少女系)をプレイしたいです。
 美少女系なのに、何でBL要素がないといけないの?? せっかくかわいい女の子盛りだくさんなら、男は顔が見えない状態でいい。

41. BL要素のない女性向のゲーム(女の子が主人公のものなど)は好きですか?
 嫌いじゃないです。
 でもゲームを買ってまでやる気はない。ケータイで手軽に出来るヤツならやる。

42. BL要素のあるCDドラマは聴きますか?
 聴かないです。
 BL要素の有無にかかわらず、CDドラマを聴かない。

43. 性別問わず好きな声優さんを教えてください。
 高山みなみ、林原めぐみ、山口勝平、小林清志、日高のり子

44. どの声優さんの受けキャラボイスが好きor聴きたいですか?
 受けキャラったって、どの人かにもよると思うんですが。
 別に聞く気もないですけど。
 BLアニメもゲームもしないから。

45. どの声優さんの攻めキャラボイスが好きor聴きたいですか?
 さっき答えたとおりです。 

46. BLな本やゲームなど、堂々と購入できますか?
 購入できます。
 店員なんて、どうせ赤の他人だし。
 BL系だけじゃなくて、普通のアダルト雑誌とかも、平気で買っちゃう。

47. BLな物は部屋に堂々と置いてありますか? 隠していますか?
 一応箱に入ってるけど、出てるのもある。
 でも、その部屋には私しか入らないから、問題ない。
 入られたとしても、人のものを勝手に見るとは思ってない。

48. 理想のカップリングに巡り会えましたか?
 巡り会えました。

49. どのような設定が理想ですか?
 ヘタレ攻め×ツンデレ受け
 どんなにがんばって俺様になっても、最終的に受けに頭が上がらない攻めがいい。

50. 理想の攻めは?
 イケメンだけどヘタレ。
 女子にモテる。
 女好き(または女癖が悪い)。でも受けのことを死ぬほど愛してる。でも女の子に乗っかられると、拒めない。

 前も同じこと書いた。でも、そのときと何も変わってない。

51. 理想の受けは?
 ツンデレ。
 強気。
 お姫。
 自分ではしっかり者と思ってる天然。
 一生懸命。
 目には目を、歯に歯を。

 前も同じこと書いた。でも、そのときと何も変わってない。

52. 好きなキャラは受けと攻め、どちらが多いですか?
 受けかも。
 やっぱり何だかんだで、受けのほうが好きなのかも。

53. 好きなキャラに対して、抱きたいor抱かれたいといった感情はいだきますか?
 いだかないです。

54. 年下攻めOKですか?
 OKです。

55. 誘い受けOKですか?
 大好物です。

56. 1つの物語中でのリバーシブルは認めますか?
 認めます。

57. 好きになったカップリングが王道カップリングの逆だった場合、どうしますか?
 どうもしないです。
 自分の好みは自分の好み……て、さっきどっかで書いた気がする。

58. 二股など、浮気は許しますか?
 どういう意味で?
 現実世界にしろ、お話の中でのことにしろ、言葉どおり「浮気すること」についてなのか、好きなキャラクターとか芸能人とかの好みがコロコロ変わることなのか。
 前者だとすると、必ず、「どこからが浮気なのか」問題が出てくるからなぁ…。
 遊びくらいなら、いいんじゃないですかね。ダメですかね。

59. あなたにとっての「ショタ」といえば、何歳以下? また、ショタ好きですか?
 小学生。
 ショタ好きではないです。

60. あなたにとっての「オヤジ」といえば、何歳以上ですか? また、オヤジ好きですか?
 40歳以上。
 オヤジ好きではないです。

61. 受けキャラの幼児化や女性化はOKですか?
 OKです。
 でも何で受けキャラに限定して聞いてるんでしょうかね、この質問。攻めの幼児化とかだって、全然いいですよ。

62. 受けキャラのセーラー服、ブルマ姿、ナース、裸エプロンなどのコスプレ姿に萌えますか?
 萌えます。
 でも、さっきの質問と同じで、何で受けキャラ限定? 攻めがコスプレしたっていいじゃない。
 というか、この質問に出てるコスプレの例だったら、男じゃなくて、普通に女の子にやってほしい。

63. 鬼畜やSM、大歓迎ですか?
 鬼畜とSMを一纏めにすること自体、どうかと思いますけど。
 SMは大歓迎ですけど、鬼畜はNGです。
 鬼畜て、そんな軽い意味の言葉じゃないと思う。

64. 甘々ラブラブとダークな話、どちらが好き?
 甘々ラブラブ。

65. ハッピーエンドとバッドエンド、どちらが好き?
 ハッピーエンド。

66. アンパンマンとバイキンマン、どっちが攻めでどっちが受け?
 カップリングとして成立しない。

67. 父子や兄弟といった近親相姦モノは好きですか?
 兄弟ならよし。
 父子だと、年齢的にオヤジかショタになるから無理。

68. 苦手な設定のカップリングは?
 軍人系とか、身分差とか、その立場を利用して、相手と関係を結ぶ系。

69. 優等生キャラと不良キャラ、どちらが好き?
 ここで言っている「優等生キャラ」は、やっぱりクールメガネで、同級生にも敬語を使っちゃう系ですかね。
 だとしたら不良キャラのほうがいいかな。
 でも普通に頭がいいだけなら、優等生キャラでもいい。

 というか、どっちもそんなに萌えないんですけどね。
 優等生とか不良とかって、高校生までのことのような気がするから。高校生に萌えはない。

70. 攻めキャラと受けキャラ、どちらが美形が良いですか?
 どっちでもいいです。
 てか、どうせ妄想の世界だし、どっちも美形がいいじゃないですか。

71. 根っからの男好きキャラについてどう思いますか?
 どうも思わないです。
 女好きの攻めが好きだという立場からして、その対象が女から男になっただけだと思えば、どっちかていうと好きかも。
 でも私的に、女好きは攻め、男好きは受けのほうがいい。

72. 「どうして同じ男を好きになってしまったんだ…」という葛藤は必要ですか?
 どっちでもいいです。
 今までに自分が書いたお話の中では、特にそんな葛藤を生じたキャラはいないかな。
 自分はゲイだから、ノンケは好きにならない、どうせフラれちゃうから…とか、そういう葛藤とかならあったけど。

73. 男同士で結婚する話をどう思いますか?
 どうも思わないです。
 でも、日本じゃ結婚できないから、舞台は外国ということになるけど、私、登場人物が日本で、舞台が現代日本じゃないと入り込めないから、読まないかなぁ。

74. BL系の本にHシーンは必須ですか?
 エロのみでも、エロがなくても、どっちでもいいです。

75. ひたすらHがメインだったり、「ペ○ス」や「ア○ル」など具体的表現を使う作品についてどう思いますか?
 どうも思わないです。
 てか、『「ペ○ス」や「ア○ル」など~』て、わざわざ伏字にするほどの言葉でもないと思うけど。
 むしろ、そういうの、はっきり書くほうが好きかな。

76. 男女のHシーンがある作品(レディコミやAVなど)も好きですか?
 大好物です。
 でもレディコミは読まないな。ストーリーはいらないから。AVがいい。

77. 実在する同性愛者に興味はありますか? またそういった人たちのHシーンを見たいですか?
 興味があるとか、興味がないとか、そういう言い方はどうなの? とは思いますが。
 男同士の実写エロは見たくないです。AVだったら男女モノか、女の子同士がいい。

78. ニューハーフもBLの対象として見ることができますか?
 考えたことがなかったです。今初めて、そういえばそうだ! て思った。
 完全手術済みだと、やっぱ女の子?
 まだ手術してなければ、女装子てこと? それならそれで、かわいくていいですね!

79. もし1日だけ男になれるとしたら、何をしますか?
 医者にかかるなどして、女に戻る方法を必死に探す。

80. 「18禁」などの年齢制限の基準は何だと思いますか?
 セックスシーンの有無。
 過度な暴力・残虐なシーンの有無。
 反社会的行為を容認・賛美する内容かどうか。

81. BLゲームのように、BL本(同人誌含む)も年齢制限の基準をはっきり定めるべきだと思いますか?
 どっちでもいいです。
 私はもう年齢制限に引っ掛かるような年齢じゃないし、他人の子どもなんてどうでもいい。

82. BL系のHPはよく閲覧しますか?
 今自分の好きなジャンルのサイトは閲覧します。

83. インターネットを利用することによって、BL本を買う冊数が減りましたか?
 特に変わらないです。
 好きな作家さんがwebで公開してない本を出すなら買うし。

84. ネット通販は月にどれくらい利用しますか?
 『♂×♂好きさんに100の質問』ていうことからして、そういうものを買う場合について聞いてるんでしょうかね。
 だとしたら、利用したことないかな。
 一般的な買い物なら、ちょくちょくしてる。

85. 自分のパソコンの壁紙はBLチックな絵のものを使用していますか?
 してないです。

86. なりチャやなりメなどの、なりきり系のコミュニケーションをどう思いますか?
 どうも思わないです。

87. また、参加したことがありますか? 楽しかったですか?
 参加したことはありません。

88. BLのために学校や会社を休んだことがありますか?(イベント参加などで)
 仕事がカレンダーどおりの休みなんで、特に休む必要がないです。

89. あなたの頭の中は、何%くらいBLに侵されていますか?
 計測したことがないです。

90. BL系な物がない世界にまぎれこんでしまった場合、あなたは生きていけますか?
 生きていけます。
 退屈な毎日かもしれないけれど、それを理由に自殺までするとは思えないから。

91. 脱BL宣言をしたことがありますか?
 ないです。

92. 今が一番BLの世界にどっぷりひたっていると思いますか?
 もう20年くらいやってるから、今がピークかどうかは分からないです。

93. あなたのBL的環境は恵まれていると思いますか?
 それなりに。
 でももう年齢的に、自分の好きなことばかりをやっていられなくなるのかと思ったら、そうでもないのかも。
 寄る年波には勝てっこない。

94. 今後もBL好きで居続けますか?
 恐らくは。

95. BL系で同人活動されている方(される予定の方)は、何歳位まで活動を続けますか?
 ネタが枯渇するまで。

96. 自分の子供に女の子が生まれたら、BL好きになるよう洗脳したいですか?
 自分の子どもに対して「洗脳」なんて言葉を使うような親にはなりたくないです。

97. 最近のBLブームをどう思いますか?
 どうも思わないです。
 ブームなの?

98. 今後、BLは更に普及すると思いますか?
 知らないです、そんな大それたこと。

99. お疲れ様です。残り後一問ありますが、この100の質問に対して何かあればどうぞ。
 何で残り1問残して、こんなこと聞くの?
 というか、どうせなら最後までBLについての質問にしてほしかったです。

100. 最後に。あなたにとって、BLとは何ですか?
 特に何でもないです。
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カテゴリー:notes

萌えに関する100の質問


 年末年始企画、年始編第2段は、「萌えに関する100の質問」です。
 明日は更新お休みして、1/4からお話を更新します!



この質問の回答日はいつですか? 2014/01/02
HNを教えて下さい。 如月久美子

1. 平凡は萌えですか?→△
 シチュエーションとか設定とかで「普通」であることが、私のお話を書く中での絶対条件ですが、「平凡」ていうことに関して、特に萌えはないです。
 それなりに個性のある子がいい。

2. 富豪は萌えですか?→△
 嫌いではないけど、萌えはない。

3. ツンデレは萌えですか?→受け◎ 攻め×? △?
 もうしつこいくらい言ってますけど、ツンデレは大好物です。
 ツンデレ受け!
 でも、ツンデレ攻めとかどうだろう…。挑戦してみたい気もするけど、鬱陶しくなりそう。

4. ヘタレは萌えですか?→受け× 攻め◎
 ヘタレ攻めね!
 受けのヘタレは萌えない。強気なお姫様でなくちゃ!

5. 健気は萌えですか?→△
 好きな子のためにお料理がんばる! とか、そのくらいのレベルの健気さなら萌え。
 相手にどんなに冷たくあしらわれても、涙を堪えて耐え忍ぶ…とか、そういうのは萌えない。しっかりしろ! て言ってやりたくなる。

6. 俺様は萌えですか?→受け◎ 攻め△
 受けで、かわいいのに俺様とか! 萌え!
 攻めだったら、俺様ヘタレなら。ただの俺様は面倒くさい。

7. 女王様は萌えですか?→◎
 女王様受け! かわいすぎる!
 でも、真大タンとか考えると、女王様攻めもかわいいかも。

8. ヤンデレは萌えですか?→×
 キャラとしても萌えないし、「ヤンデレ」ていう言葉自体が嫌い。
 実際に精神疾患を抱えている人はたくさんいるのに、それを理解するためにお話や漫画にするならともかく、そうでなく「病む」という言葉をこのように扱うことがイヤ。

9. 鬼畜は萌えですか?→×
 この場合の鬼畜は、ちょっとした鬼畜キャラ、てことでしょうかね。
 だとすれば△くらいかもだけど、本当の鬼畜だったら、絶対に×ですね。
 前も書いたけど、鬼畜て、そんなに軽い意味の言葉じゃないと思う。

10. ドSは萌えですか?→×
 私の友人に、正真正銘のドSの人がいるんですけど(女子)、萌えないですよ。女の子だからかな。
 その子のこと嫌いじゃないけど、萌えたことない。

 キャラとして、ドS男子はどうかといえば……私の想像力が貧困なのかもしんないけど、私がよく言ってる、「同級生にも敬語を使うようなキャラ(メガネ付き)」て感じがして、だから嫌だ。

11. 腹黒は萌えですか?→○
 すっごく萌える、てほどでもないですけど、そういうキャラは好きです。

12. ピュアは萌えですか?→×
 どのくらいピュアかにもよるけど、かまととぶってんじゃねぇよ! てなる気がする。

13. アホっ子は萌えですか?→?
 アホっ子て言葉、今初めて聞いたから、どんな感じかよく分かりません。

14. DQNは萌えですか?→?
 DQNて言葉は知ってるけど、実際、どんな感じのことを言うのかが分かんないです。

15. ショタは萌えですか?→×
 萌えないです。
 幼児化はネタとして好きだけど、最初からショタの年齢の子は全然萌えない。

16. 素直クールは萌えですか?→?
 何、素直クールて。
 素直はいいけど、クールは萌えないから、素直クールは萌えないかなぁ。

17. 不器用は萌えですか?→○
 手先が不器用なのは、何気に萌える。
 不器用な性格、ていうのは、うーん、どうだろ。萌えはないかな。

18. 寡黙は萌えですか?→×
 どっちかっていうと、お喋りなほうがいい。

19. 不細工は萌えですか?→×
 普通にかわいかったり、イケメンだったりするほうがいい。

20. ヤンチャは萌えですか?→受け◎ 攻め○
 やんちゃな受けはかわいいね!
 攻めがやんちゃでもいいけど、受けのほうが、よりやんちゃであってほしい。

21. ドMは萌えですか?→受け◎ 攻め×
 ドM攻めのお話も読んだことあるけど、どうもしっくり来なかったので。
 昼はSで、ベッドの中ではドMていう受けがいい。

22. ワンコは萌えですか?→受け△? 攻め◎
 好きなわりに、ワンコな攻めをあんまり書いてない私。でも好きなんですよ!
 受けでワンコはあんまりピンと来ないかも。

23. オカマは萌えですか?→△
 萌えはしないけど、そういうキャラは好きです。

24. トラウマは萌えですか?→△
 萌えじゃないくせに、書いてはいるけどね。むっちゃん。
 まぁ、嫌いじゃないですよ、ていうレベル。

25. 年下は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

26. 年の差は萌えですか?→△
 嫌いじゃなけど、萌えはない。

27. 遠距離は萌えですか?→×
 付かず離れずくらいの距離が萌え。

28. ロミジュリは萌えですか?→×
 2人の関係を周囲がすごく反対してる、ていうシチュエーションが、まず萌えない。

29. 主従は萌えですか?→×
 仲のいい関係でも、険悪な関係でも、どっちも萌えない。
 対等な立場がいい。

30. 下克上は萌えですか?→×
 そもそも、立場に上下関係があることが萌えない。

31. リバは萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

32. リーマンは萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

33. オヤジは萌えですか?→×
 萌えないです。
 てか、前も書いたかもだけど、「オヤジ」ていう言い方、何か小汚いオッサンみたいな感じがして、余計に嫌だ。

34. 近親相姦は萌えですか?→△
 兄弟なら、萌えはないけど、嫌いじゃないです。
 でも親子はいや。年齢的にオッサンかショタになるから無理。

35. ヤクザは萌えですか?→×
 萌えないです。
 関係的に主従関係な感じになりそうだし。

36. 医者は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

37. 先生は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

38. ホストは萌えですか?→○
 お話を読んだり書いたりする中での職業としては、結構萌えるほう。
 実際のホストに対しては、そんなに萌えはない。だったらキャバ嬢のほうがいい。

39. 当て馬は萌えですか?→×
 この場合、本当の意味の当て馬じゃなくて、当て馬キャラのことですよね。
 まぁ、どっちの意味だとしても、萌えはないですが。
 当て馬キャラのほうだとすると、そのキャラに同情しちゃって。

40. 三角関係は萌えですか?→△
 結局は誰か1人が切ないことになっちゃうから、萌えないです。
 すべて丸く収まるなら、まぁ嫌じゃないけど、てことで△

41. 幼なじみは萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

42. 先輩後輩は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

43. 同級生は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

44. 生徒会は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

45. 軍人は萌えですか?→×
 私が最も嫌いなジャンルの1つ。

46. 貴族は萌えですか?→×
 西洋の貴族にしろ、平安貴族にしろ、萌えはない。

47. 男娼は萌えですか?→○
 街角に立ってる系もいいし、デートクラブ的なのもいい。

48. メガネは萌えですか?→◎
 しつこいかもしんないけど、メガネは萌えですわ。
 メガネ男子ラブ!
 でも、これもしつこいかもだけど、同級生に敬語系の眼鏡キャラは嫌。
 普通におしゃれメガネがいい。

49. ライバルは萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

50. 女装は萌えですか?→◎
 さまざまなコスプレを楽しみたい。
 でも、リアルの女装は、よっぽどちゃんとやらないとかわいくならないから、萌えないんだよね。
 女装への萌えは、飽くまでもお話や漫画の中のことだけです。

51. 執事は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。
 執事ごっことかなら、萌えるかも。

52. 触手は萌えですか?→△
 男性向けのエロマンガでなら萌えるけど、BLとして考えたら、萌えはない。
 男相手の触手は萌えない。
 触手×女の子!

53. 人外は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

54. 媚薬は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

55. 痴漢は萌えですか?→○
 意外と好き。
 もちろん、創作の中だけのことですよ。実際にやったら犯罪です。

56. 絶倫は萌えですか?→○
 いいね、絶倫。
 絶倫萌え。
 受けが絶倫だったら、さらに萌える!

57. 言葉責めは萌えですか?→○? △?
 ○と△の中間ぐらい。
 でもやっぱ萌えるかな。

58. 青姦は萌えですか?→×
 せめて室内で!

59. 暴力は萌えですか?→×
 まったく萌えないです。
 この世で暴力ほど不要なものはないと思います。

60. 体毛は萌えですか?→×
 いや…、どの辺に萌えていいか、さっぱり…。

61. 方言は萌えですか?→×
 全然萌えない。

62. アラブは萌えですか?→×
 日本がいい。

63. 学園は萌えですか?→×
 前も言ったかもですが、学園ていうと、普通の学校じゃなくて、お金持ちのご子息が通ってるような学校とか、魔法学校とか、何かそんな雰囲気で、言葉自体も何か恥ずかしい…。

64. 遊郭は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。
 明るい雰囲気なら萌えるけど、ただただ悲しくて報われないのは無理。

65. すれちがいは萌えですか?→△
 最後に待ってるのがハッピーエンドなら。

66. 風邪の看病は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

67. 前世からの恋人は萌えですか?→×
 萌えないです。
 そもそも、前世ということを信じてない。

68. 拉致監禁は萌えですか?→×
 犯罪の匂いがする感じなのは無理。
 ただ、拉致監禁された恋人を助けに行く的なお話だったら、いい。

69. 行きずりの関係は萌えですか?→○
 それだけで終わってもいいし、そこから関係が発展してもいい。

70. 801妊娠・出産は萌えですか?→×
 ニョタはいいけど、妊娠・出産は萌えない。

71. 女体化は萌えですか?→○
 実は好きなのですよ。
 女の子萌え。

72. 色素の薄い美形は萌えですか?→?
 何、色素の薄い美形て。

73. 料理上手・下手は萌えですか?→上手△ 下手○
 料理上手は特に萌えないけど、料理下手は萌える。
 むっちゃんに限らず、料理が究極下手くそなキャラは、意外とたくさん生み出してる。

74. バリトンの美声は萌えですか?→?
 実はバリトンの意味を知らない。
 声なんて別に興味ない。

75. 精神崩壊は萌えですか?→×
 そもそも、精神崩壊て何。
 萌えるとかいう以前に、そういうことを軽々しく取り扱っていいのかと思う。

76. マイフェアレディ(紫の上計画)は萌えですか?→×
 マイフェアレディの意味が分かんないんだけど(言葉の意味は分かるけど、ストーリー知らない)、紫の上と同義??
 そういう意味だとしたら、全然萌えない。好みの女性になるように育てるとか、キモい。
 つか、これってBL的なお話になるのかしら。

77. ノンケを強引に、萌えですか?→△
 ノンケ×ゲイは萌えるけど、強引は萌えない。
 つか、ノンケ×ゲイは萌えるけど、ゲイ×ノンケはそんなに萌えないな。

78. 起きたら見知らぬ男が裸で同じベッドに、萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。
 書きやすい設定だから、書くけど。

79. 記憶喪失、萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

80. 好意が暴走してレイープ、萌えですか?→×
 好意が暴走の時点で萌えない。
 ストーカーは、お話の中の世界でも、現実世界でも嫌だ。

81. 酔って前後不覚、萌えですか?→○
 前後不覚まで行かなくてもいいけど。
 酔っ払いは萌える。

82. 準備室プレイ! 萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。
 そもそも、準備室プレイてどんなことすんの? ただ準備室でやるだけ?

83. 擬似ファミリーは萌えですか?→○
 結構萌える。
 いつか書きたいとか思う。

84. パラレルは萌えですか?→?
 何に対してのパラレル?

85. スーツは萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

86. 白衣は萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

87. 半ズボンは萌えですか?→×
 スポーツのユニフォームとかならともかく、普通の服で、大人の男の半ズボンなんてキモい!
 子どもだとしたら、一般的に半ズボンを穿く年齢なんてショタだから、無理。

88. 学ランは萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

89. 和服は萌えですか?→○
 普段着ない人が着る和服が萌える。
 時代設定が和服の時代ていうことには萌えない。現代がいい。

90. 全寮制で総ホモ、萌えですか?→×
 全寮制に萌えない。
 イメージ的に、自由がない感じがして。
 でもお話を書く中で、総ホモになるのは、萌えはないけど嫌いではない。

91. 幼い頃に一度出逢っていた、萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

92. 実は兄弟だった、萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

93. 男同士でこんなこと・・っ! 萌えですか?→?
 質問の意味が分からない。
 こんなこと…て、どんなこと?
 セックスをすること? 質問文の雰囲気からして、男同士でセックスするなんてあり得ないのにやっちゃうなんて…! 感じちゃうなんて…! みたいなことでしょうか。
 別に萌えないなぁ。

94. ツンデレが風邪を引いて弱っている、萌えですか?→×
 ツンデレは好きだけど、風邪引いて弱ってるから、だから何? て思う。

95. 初エチーでも感じまくり、萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。
 別にいいじゃん、て思う。

96. メガネを外したら美形、萌えですか?→○
 ストーリー的には定番ですけどね。
 嫌いじゃない。

97. ホモに理解のある女、アリですか?→○
 お話の中によく登場させちゃう。
 完全なる腐女子でもいいし、ただ単に、「別にいいんじゃない? 男同士でも」的な感じでもいい。

98. お姫様だっこ、萌えですか?→△
 嫌いじゃないけど、萌えはない。

99. 無機物は萌えですか?→?
 無機物の言葉の意味は、もちろん分かります。
 でも、萌えかどうかを聞く、てことは、そこに何かしらBL的なこととか、腐的なこととか、オタ的なこととかが関わってくるかと思うんですけど…………そういうジャンルがあるの?

100. 最大の萌えは何ですか?
 ヘタレ攻め×ツンデレお姫受け


お疲れさまでした。
萌えライフをこれからもお楽しみ下さい。
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気まぐれシュガー (1)


 気付いたときにはもう、遅かった。

 ドアも窓も閉め切っているのに、外から聞こえてくる、楽しげな笑い声と奇声。
 それが耳に入った瞬間、まさかと思いつつ、亮はふとんを跳ね除けてベッドから飛び降り、窓を開けて外を見た。
 寮の周囲を囲む、庭と呼べるほどでもない狭さの芝生のスペースに睦月はいた――――降り積もった雪に、テンションを上げてはしゃいでいる睦月が。

 そういえば昨日の天気予報で、普段は雪など降らないこの辺りでも雪になるなんて言っていたっけ。
 そのときちょうど夕ご飯の支度をしていた亮は、何の気なしにそれを聞いていたのだが、その予報に睦月が心をときめかせるのは、火を見るより明らかだった。
 しかし、以前雪が降ったときは、寒いのも朝起きるのも苦手のくせして、朝っぱらから亮を叩き起こして外に出たから、今回だって、亮を起こすと思ったのだ。
 それなのに、まさか1人で外に出て、騒ぎまくっているなんて。

「むっちゃん!」

 外はもう明るいから、そこまで早朝ということではないだろうが、朝が早いことに違いはない。いや、朝でなくても、あんなに騒いでいたら、他の部屋の住人に大迷惑だ。
 慌てて亮が睦月を呼べば、それはどうにか睦月の耳に届いたのか、手を止めてキョロキョロし出す。

「むっちゃん、むっちゃん!」
「あ、亮ー!! ひゃっはー!」
「シーッ! シーッ!」

 亮の存在に気付いた睦月が、楽しげにブンブンと腕を振ってくるから、亮は焦って、静かにするよう訴える。
 しかし睦月はすっかりテンションが上がっていて、「雪、雪ー!」と、地面の雪を手で掬って階上にいる亮に見せ付けては、空中に撒き散らしている。

「むっちゃん…!」

 亮は、スウェット姿であるにもかかわらず、引っ掴んだ上着を羽織っただけで、部屋を飛び出した。
 とにかく、一刻も早く睦月を取り押さえて、身柄確保しないと。

「きゃははっ、あはっ! あはっ!」

 ダッシュで睦月のところにやって来てみれば、睦月は雪玉を作っては、ブロック塀に投げ付けているところだった。

「むっちゃ…」
「亮、亮ー!」
「うわっ! イテッ、冷てっ」

 息の整わない亮のもとに駆け寄って来た睦月は、その高いテンションのまま、亮に飛び付いた。
 もちろん何も構えていなかった亮は、その勢いのまま後ろに引っ繰り返り、雪の上に尻もちを突いてしまった。



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気まぐれシュガー (2)


「亮、雪、雪ーーーー!!!」
「いや、分かっ……むっちゃん、お願い、静かに……てか、退いて…」

 睦月を静かにさせるためにやって来た身としては、早く睦月を大人しくさせなければとは思うのだが、雪の上に座り込み、かつ、睦月に乗っかられた状態では、それをどうにかするほうが先だと思ってしまう。

「きひひひひ……ひーひっひっ!」

 あぁっ、もうわけが分からないっ!
 睦月を抱き上げる形で体を起こした亮は、濡れてしまったスウェットのズボンに溜め息を零した。

「むっちゃん、お願いだから、もうちょっと静かに! ね?」
「にゃあっ!」
「ぶっ」

 楽しくなりすぎて、自分でも何を言っているのか分からなくなっているのだろうが、急に『にゃあ!』とか言われたら、かわいすぎて、すべてを許してしまいそうになる。

「うひゃひゃ」

 亮の腕を抜け出した睦月は、新たな雪を求めて、また駆け出していく。
 けれど、もともと数センチしか積もっていなかった雪は、睦月が駆け回ったおかげで殆ど解けてしまっていて、だいぶなくなってしまっている。

「むっちゃん、むっちゃん。もう雪なくなるし、部屋戻ろう? ね?」
「きゃっはー!」

 もう亮の声も届かないのか、睦月は建物の角を曲がって、姿を消してしまった。
 仕方なく亮が走って睦月を追い掛ければ、雪の上に残る足跡が、今睦月が駆けて行ったものだけではないことに気が付いた。
 まさか、睦月と同じように、この雪にはしゃいでいる輩が、他にいるというのだろうか。しかし、先に付いている足跡は、今の睦月のものと同じだ。
 …ということは。

「むっちゃん、すでに一周してんの…?」

 寮の周囲を一周するなど大した距離ではないけれど、わざわざ(しかも朝っぱらから)走りたいものではない。
 けれど睦月は、非常に面倒くさがりな性格をしているわりに、体力自慢で、しょっちゅう走っているから、こんなの大したことではないようで、あっという間に亮との距離を離していってしまった。

「あーもう…」

 こんなことなら追い掛けたりなんかしないで、睦月が一周して戻って来るのを待っていればよかった。
 亮は肩を落として、足を止めた。ここからだと、先へ進むのと来た道を戻るの、一体どっちが早く元の場所に戻れるだろう。亮がそんなことを思った瞬間だった。

「どーーーーんっ!!」
「だぁ~~~!!」

 背後からの突然の襲撃に、亮は驚きのあまり大きな声を上げ、前につんのめりかけた。



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カテゴリー:Baby Baby Baby Love

気まぐれシュガー (3)


 すっかり油断していた亮は、まさか睦月がもう一周を終えて、自分に追い付くなど想像していなかったうえに、そのまま背中に飛び掛かって来られるとも思っていなかったのだ。

「むっちゃん…」
「きゃははっ」

 亮が、あーもうっ! となっているなど思ってもいないのか、睦月は亮の背中に引っ付いて、楽しそうに笑っている。
 もう好きにして…。

「亮っ、早くっ」
「ちょっ!」

 このまま睦月を負ぶって部屋まで連れて帰ろうと思ったのも束の間、睦月は亮の背中から降りて、再び走り出してしまった。まさかもう一周する気だろうか。
 今度こそ捕まえなくては…と、亮は睦月が先へ行かないうちに、後を追い掛けた。

「に゛ゃあっ!!!」

 次の角を曲がって、睦月の姿が見えなくなった、次の瞬間。
 何とも言い難い睦月の悲鳴が聞こえて来て、亮は足を速めた。

「むっちゃん!?」

 これでいつも騙されて、亮が角を曲がった瞬間に雪玉をぶつけられるとか、また飛び付かれるとかされるのに、まったく学習しない亮は、角を曲がってからそれに気が付いたのだが。
 しかし、そこに待っていたのは、亮が予想だにしていない光景だった。

「ちょっむっちゃん!」
「にぃ~~~~…」

 髪の毛も肩もびちょびちょに濡らし、ところどころに雪を付けた睦月が、情けない顔でそこに立っていたのである。

「何、どうしたの?」

 わけが分からないまま、亮は睦月に駆け寄る。
 それでも、雪玉を隠し持っているのではないか…なんて思ってしまうのは、日ごろの睦月の行いのせいであって、決して亮の、睦月に対する愛が足りないせいではないだろう。

「ゆっ…雪がぁ~…」
「え? あっ!」

 泣きそうな声で訴えてくる睦月に何事かと思えば、まだ雪の残っていた木の下に駆けて行った睦月に、その木の枝から滑り落ちた雪が直撃したらしいのだ。

「ううぅ…、冷たぁ…いっ! うわあぁぁ~~~!」
「むっちゃん、むっちゃん、部屋戻ろう? 着替えよう? ね?」



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カテゴリー:Baby Baby Baby Love

気まぐれシュガー (4)


 本気で泣き出してしまいそうな睦月をあやしつつ、部屋に戻るべく手を引く。
 睦月は、濡れた犬がそうするように、ぶるぶると頭を振って水を飛ばすが、そうすると、亮にも思い切り水が掛かるんですが…。

「あうっ…」

 しかも、頭を振り過ぎてクラッとなっているから、亮は睦月の頭をポンポンしてあげる。
 まったく、どこまでも手の掛かる子だ。

「亮ー…」
「ぅん?」
「背中冷たいぃ~~~…」

 どうやら髪の毛から伝った水や解けた雪が、背中へ回ったらしい。
 そういえば睦月は、コートを着て手袋をしているけれど、マフラーは巻いていないし、ふわふわもこもこの帽子も被っていない。それで雪を被ったのだから、冷たさもより一層だろう。
 そもそも睦月は大の寒がりで、雪が降らなくたって完全防備なのに、今日は早く雪を構いたいばっかりに、その辺がおざなりになってしまったようだ。

「はい、着きましたよー」

 さっきまであんなに元気よく駆け回っていたのだから、部屋までも走って戻ればいいようなものだが、のろのろと歩く睦月にそんな気がないのは分かっていたので、亮もあえて走らなかったせいで、ようやく部屋に到着した。

「ただい…………さむっ!」

 雪が降ったのだから、外が寒いのは分かる。当たり前だ。
 けれど、一体全体どうして部屋の中まで寒くなければならないのだ。いや、確かに亮は、ストーブを点けることもせずに部屋を飛び出しはしたけれど、それにしたって寒すぎる。

「あ~~~窓っ! 窓開いてるっ!」
「あ、ヤベ」

 睦月はずっと繋いでいた亮の手をあっさり解き、靴を脱ぎ散らかして窓辺に駆け寄る。
 その間に亮は、急いでストーブを点けてやるけれど、こんな古くて小さいストーブが部屋を暖めるのに、一体どのくらい時間が掛かるのやら…。

「バカッ、バカッ、亮のバカっ」
「ゴメンゴメン、むっちゃんゴメンて」
「に゛ゃ~~~~」

 あのときは、早く睦月を止めなければ、という気持ちが先に立って、窓のことなど何も気に留めていなかったのだ。

「ゴメンね、むっちゃん」
「ん゛ん゛ん゛~~~~」

 濡れて気持ち悪いのと、冷たいのと、寒いので、すっかりへそを曲げてしまった睦月は、せっかく亮がバスタオルを持って来て拭いてあげようとしているのに、ジタバタと暴れて逃げ出そうとする。
 機嫌の悪い猫みたいだ。



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カテゴリー:Baby Baby Baby Love

気まぐれシュガー (5)


「服も濡れたんでしょ? 着替えよ?」
「寒いから、服拭のヤダッ」
「風邪引くってば」

 濡れた服を着ているほうが、寒くて気持ち悪いと思うのだが、その辺りの矛盾に、睦月は気が付いているのだろうか。
 睦月は暴れるが、亮は心を鬼にして睦月の濡れた服を引っぺがすと、ズボッと新しいセーターを頭から被せてやる。

「う゛、んぅ~~」
「はい、終わり。むっちゃん、頭乾かして」
「やぁっ!」
「あ、コラッ」

 着替え終わった睦月は、亮の言うことを聞かずに、ひょいっと自分のベッドの上に逃げてしまう。
 元から、風呂上がりにも、しっかりと髪を乾かして来ない睦月なのだ。今だって、そう簡単に髪を乾かすわけがなかった。

「むっちゃん、風邪引いても知らないからね?」
「引かないもんっ」

 風邪を引いても知らない、だなんて口ではそう言ってみても、実際に睦月が風邪を引いて寝込んだら、絶対にあれこれ世話を焼くに決まっているし、睦月もそれが分かっているから、あえて反抗的な態度を取るのだろう。

「あっそう。せっかく昨日買ったココア入れてあげようと思ったけど、やめる」
「えっ! 何で! 飲みたいっ」
「言うことを聞かない子には入れません」

 そう言って亮は、プイッと横を向いた。
 ココアくらい自分で……というのは、睦月のような究極不器用ではない人間の発想であり、睦月にしたら、ココアを飲むのだって、亮がいなければまともに出来ないのだ。

「乾かすから、亮、ココアっ!」
「はいはい」

 現金な睦月を笑い、そして睦月がちゃんと髪を乾かし始めるのを見届けてから、亮はキッチンに立った。

「亮ー」
「ぅんー?」
「お砂糖、多めでね?」
「はいはい」

 どこまでも睦月に甘い自分に苦笑しつつ、亮はココアを作り始めるのだった。



*END*



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タイトルはmajolica様からお借りしました。ありがとうございました!
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カテゴリー:Baby Baby Baby Love

純度100%下心 (1)


s i d e : h i b i k i


 今日はシフトが直央くんと一緒だったから、仕事も楽しく出来たし、終わった後も一緒に帰れるしで、最高の1日。
 大好きな直央くん。
 でも、直央くんには徳永さんていう恋人(男)がいるんだよね。まぁ俺、ゲイじゃないから、徳永さんのこと、恋敵とか思ってるわけじゃないんだけど。
 直央くんは恋愛対象ていうより、こう…もきゅもきゅってしたい感じ!

 ――――でも。

「……ねぇ直央くん、何で耳押さえてんの?」
「んー?」

 コンビニを出て歩き出した途端、なぜか直央くんは、手袋をした手で両耳を押さえてて。
 もしかして、俺の話、聞きたくないてこと?
 そう思ったら、理由を聞くのが怖かったけど、このままでもいられない! て思って聞いてみた。

「え? 耳?」
「うん。何で押さえてんの?」
「耳冷たいから」
「…………」

 あー……なるほど。
 いや、なるほど、て思っていいのかな。
 確かに外の空気は冷たくて、耳もすっごい冷たくなっちゃうけど、だからって両手で耳を押さえるとか…………耳を塞いでるようにしか見えないんだけど。
 俺は今、理由聞いたから分かるけど、すれ違う人とか、みんな、何してんの? て感じで直央くんのこと見てるよ? いいの?

「蓮沼さんは、耳、冷たくないの?」

 直央くんは、俺が何度『響て呼んで』て言っても、相変わらず俺のことを『蓮沼さん』て呼ぶ。
 俺のほうが仕事の先輩だから、ていうのが理由らしいけど、年は俺のほうが3つも下なのに。

「いや、冷たいっちゃー冷たいけど…。ずっとそうやってんの、大変じゃない?」
「うぬ…。でも、耳の冷たさには代えられないっ!」
「そ…そう…?」

 どうしよう、直央くんがかわいすぎる。
 本気でそんなこと思って、力説して来るなんて! あーもう、かわいいっ!

「あ、じゃあ、アレしたら? イヤーマフ」
「え、何?」
「イヤーマフ」
「いやー…?」

 直央くんに聞き返されて、耳を押さえてて聞こえないんだと思ってもう1回言ったら、どうも聞こえてなかったんじゃなくて、『イヤーマフ』て言葉がピンと来てなかったみたい。
 今はもう結構一般的な言葉だよね?

「ホラ、あの耳当てのヤツだよ。耳のトコこうやって押さえるヤツ。それしたら、手で耳押さえなくてもいいじゃん」
「あ、何か分かる! こういうヤツね」
「まぁ……うん」

 こういうヤツね、て言うのはいいけど、やってる格好はさっきと何も変わってない。
 まぁ、今直央くんが自分の手でやってることがまさにそうだから、いいんだけど。



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カテゴリー:借金取りさん、こんにちは。

純度100%下心 (2)


「じゃあ、これから買いに行こっか?」
「これから?」
「だって直央くん、耳冷たいんでしょ? 早く買ったほうが、早くあったかくなるよ?」
「そっかぁ」

 バイトの後は、まっすぐお家に帰るのが直央くんの日課だから(これも徳永さんのためかと思うと、ちょっと悔しい)、断わられる前に尤もらしいことを言ったら、単純な直央くんはあっさりとオッケーしてくれた。
 ホント、こんなかわいい子が、こんなに素直でいい子だったら、徳永さんが惚れちゃうのも無理はないし、必要以上に心配するのも無理はないと思う。
 直央くん、自分じゃ気付いてないだろうけど、いろんな人をその気にさせちゃってんだろうなぁ…。



*****

 イヤーマフなんてどこにでも売ってるだろうけど、とりあえず大型の雑貨店に来てみた。
 ここならいろいろあるだろうしね。

「どれにする?」

 後ろから着けるタイプと、カチューシャみたいに上から着けるタイプがあるけど、俺的には上から着けるヤツがいいな、て思う。ふわっふわのファーのヤツ。
 あ、自分で着けるんじゃなくて、直央くんが着けるのね。
 絶対にかわいいと思う!

「どれが一番あったかいかな…。あ、このおもしろい形のにしよう」
「えっ!?」

 直央くんが手に取ったのは、後ろから着けるタイプのヤツだった。
 どうやら直央くんは、カチューシャタイプのものしか知らなかったみたいで、後ろから着けるタイプのを初めて見て、しかもそれが丸めた状態になってたのがおもしろかったみたい。
 いや、直央くんが気に入ったんなら、それでもいいけど、やっぱふわっふわのカチューシャのがよくない?

「直央くん、こっちにもあるよ?」
「それ、女の子のじゃないの?」

 俺が、ふわっふわのファーの付いたカチューシャタイプのを勧めたら、直央くんはそれを手に取ったものの、コテンと首を傾げた。あ、かわいい。
 …じゃなくて。
 商品のそばにあった広告用のパネルに写ってるモデルが女の子だったせいで、女の子用だってバレちゃったみたい。確かにこのタイプて、男は着けないよね。
 でも、直央くんに着けてほしいんだよなぁ。
 でも俺は諦めない!

「でも直央くん、一番あったかいの、探してんでしょ? だったらこっちのがよくない?」
「こっちのがあったかい?」

 直央くんの心をこっちに惹き付けるにはこれしかない! て思って、口から出任せだけど言ってみる。
 もちろんどっちのだって十分あったかいだろうし、手で押さえただけで満足してる直央くんなら、このふわっふわのじゃなくたっていいんだろうけど。

「それにこれ、ふわっふわで気持ちいいよ?」
「んー…」
「ホラ!」
「ひゃははっ、蓮沼さん、くすぐったいよ!」

 耳当てのふわっふわの部分を直央くんの頬に押し当てたら、擽ったそうに首を竦める。
 だからもう、かわいいってば!



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カテゴリー:借金取りさん、こんにちは。

純度100%下心 (3)


「もふもふで気持ちいいでしょ?」
「うん」
「試しに着けてみたら?」

 素直な直央くんは、言われたとおりにイヤーマフを試着してくれる。
 ピンクとか黄色とかもあるけど、渡したのはグレーミックス。こういうのは、あんまり奇抜な色より、落ち着いた色のほうがかわいいと思うんだよね。

「これでいい? どう?」
「ぶっ!」

 ちょっ、何このかわいさ!
 直央くん×イヤーマフの破壊力、ハンパねぇっ!

「蓮沼さん? え? 変? やっぱ女の子用だから?」
「違う違う違う違うめっちゃかわいいっ!!」
「は?」

 こんなにかわいいのに、直央くんは全然分かってないのか、不思議そうな顔をしてる。鏡がなくて、自分が着けたトコ見てないからかな。
 あーもう、かわいいかわいいかわいい、どうしようっ!

「蓮沼さん、大丈夫?」
「はぁーーー……」

 俺があんまりにも悶えていたせいか、直央くんが首を傾げながら、俺の顔を覗き込んできた。いやもう、その仕草さえかわいすぎて、どうにかなりそうなんだけどね。
 とりあえず、不審に思われないように、深呼吸して気持ちを落ち着ける。

「つか、かわいい、て…。俺もう24歳だよ? かわいいとかじゃないから」
「だってかわいいんだもん。これにしよ? ね?」

 直央くんに『かわいい』て言うと、直央くんは、『俺もう24歳なのに、かわいいとかないから』て言うんだけど、年齢とか関係ないよね、このかわいさは。

「あったかいでしょ? これ」
「うん…」
「じゃあこれで」
「んー…」

 あと一押し、てトコまで来てるのに、直央くんはなかなか決定してくんない。
 どうしよう、やっぱ女の子用だから迷ってんのかな。

「じゃあ、俺もこれの色違いにする!」
「え、蓮沼さんも買うの?」
「うん。直央くんがしてるの見てたら欲しくなっちゃった」

 ホントはそこまでイヤーマフが欲しかったわけじゃないけど(本当に買うならメンズのにするし)、でも直央くんをその気にさせるためだと思って言ってみる。
 それに、もし直央くんも買って、俺も買ったら、たとえ女の子用だとしても、お揃いじゃん!?

「ね?」
「んー…じゃあ、これにする」
「やった!」
「え?」
「ううん、何でもない何でもない」

 いかんいかん、つい喜びが口から…。
 お会計してお店を出るまでは、気を抜かないように気を付けないと。
 本当に買って着けちゃえば、お金にシビアな直央くんは、他のを買うとは絶対に言わないはずだから大丈夫だけど、お店の中にいるうちは、気が変わって返品しちゃうかもしれないからね。



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カテゴリー:借金取りさん、こんにちは。

純度100%下心 (4)


「じゃ、お会計しよっか」
「はいっ!」

 こんなかわいい直央くんが見れるなら、イヤーマフくらい買ってあげるんだけど、直央くんて意味もなく人に奢ってもらうのを嫌がるから、自分の分は自分で。
 あー、そのふわふわもこもこのイヤーマフ持ってるだけでかわいいんだけど!

 レジで、袋に入った新しいものと交換してもらって、でも、買ったらすぐに着けます、て言って、値札を取ってもらって、お会計を済ませる。
 直央くんがまたそれ着けるの、早く見たい!

「直央くん、着けてあげる」
「ん?」

 お店を出て、直央くんの手からイヤーマフを勝手に取ると、直央くんに着けてあげる。
 さっきの試着のときも自分でやってたんだから、1人で出来ないわけがないんだけど、何かやってあげたくなっちゃって。

「これでオッケ。直央くん、かわいい」
「だからー、かわいいじゃないってば。はい、貸して?」
「え?」

 相変わらず、『かわいい』は即行で否定してくる直央くんだけど…………貸して、て何が?

「蓮沼さんの。着けてあげるから」
「えっ!?」

 ちょっ、待って!
 直央くんが着けてくれるの? 俺に、イヤーマフ!?
 俺が着けてあげたから!?

「? 蓮沼さん、着けないの? せっかく買ったのに?」
「いや、着けっ…着ける!」

 超ド天然の直央くんは、俺がイヤーマフを着けてあげたのをおかしいとも思わず、逆に、お返しに着け返してくれるという、とんでもないことを平気で遣って退けようとするんだから、こっちの下心が恥ずかしくなっちゃう。

「はい」

 ドキドキしながら待ってると、直央くんが俺にイヤーマフを着けてくれた。
 何ていうかもう……バカップルて、こういうこと!? いや、カップルじゃないし、バカでもない(はずだ)けど、もう心臓が壊れちゃうそうなくらいバクバク言っててヤバい。

「あったかいねー。これで冬を乗り切れるね」
「う、うん…」

 俺のドキドキなんて全然気付いてない直央くんが、隣で無邪気に笑ってる。
 徳永さん、ズルいよ。こんなかわいい直央くんを独り占めにしてるなんて!

「直央くんっ!」
「ん?」
「明日からも、絶対にこれ着けてきてね! 俺も絶対してくるから!」
「え、うん。してくるよ? せっかく買ったんだし」

 直央くんは、単なる寒さ対策としか思ってないかもしんないけど。
 でも、俺の中では、徳永さんへの密かな対抗心。

「直央くん、あったかいね」
「うんー」

 ぜーったいに負けないんだから!



*END*



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タイトルはoperettaさまからお借りしました。ありがとう!
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ラブゲームには程遠い (1)


 年末年始となれば、働く者にとっての年中行事は忘新年会とくるわけだが、一伽の働くセレクトショップ「oz」には、残念ながらその習慣がなかった。
 ozは、航平・一伽・志信の他に、バイトの子たちがいるのだが、いくら年がそれほど離れていないとしても、若いバイトの子たちは今どきの若者の例に漏れず、やはり職場の上司と一緒に飲むのを好まない傾向にあるので、わざわざ企画していないのである。
 かといって、バイトの子以外で飲みたいかと言えば、一伽は即行で拒否するし、志信も「どうしても、て言うなら…」というスタンスなので、それもない。
 もちろん航平は、声が上がればやるつもりでいたが、今年もそんなことのないまま、1年は終わりそうだった。

 ――――のだが。

「何でこんなことになってんだ…」

 チェーンの居酒屋の一角。
 向かいの席でフニャフニャになっている一伽を見つめ、航平は頭を抱えて溜め息を零した。

 先のとおり、ozは職場としての忘年会は企画されていない。
 そして、航平と一伽が2人きりで飲みに行くなど、まずあり得ない。

 にもかかわらず、年末のこの時期に、2人が仕事の後に一緒に飲みに来たのは、ひとえに侑仁のせいだった。
 いや、それを侑仁に言えば、『何で俺のせい!?』となるだろうが、そうだとしても、一伽の性格を考慮すれば、原因は侑仁にあるとしか航平には思えなかった。

 一伽と侑仁は違う業種の仕事に就いているが、年末にかけて忙しくなるのはお互いさまで、ここ最近はなかなか会えずにいたらしい(もちろん航平は、そんなガールズトーク、一伽とも侑仁ともしないのだが、一伽が愚痴ってくるので、嫌でも耳に入るのだ)。
 そうした中、聞きもしないのに一伽が、『久々に侑仁に会える!』と、数日前から話していたので、航平はとりあえず、『よかったな』と言っていたのだが、その約束が、今日になって反故にされたというのである。

『うわぁ~~~~ん、侑仁のバカぁ~~~!!!』

 閉店後の店内。
 いつものようにダラダラと……ではなく、侑仁との約束のためにキビキビと掃除を終えた一伽は、カバンの中からスマホを取り出して、受信していたメールを見た瞬間、喚き出したのである。
 これには航平も『うっさいねん!』と突っ込むことも忘れ、何事かと心配して声を掛けたほどだった。

 メールを見れば、侑仁は、取引先との忘年会と称した接待に急きょ駆り出されることになり、一伽に会えなくなったとのことだった。
 ドタキャンされていい気はしないが、仕事の都合でプライベートの予定を変更せざるを得ない事情は、ある程度年齢を重ねると、少なからず出てくることだ。
 それも仕方がないと納得するのが大人だとは言わないが、我慢せざるを得ないのは事実なので、諦めるほかないのだが、そうはいかないのが一伽である。
 『何で? 何で?』と航平に詰め寄り、『何それ許せん!』と大いに憤慨し、『もう侑仁なんか知らないっ!』と拗ねまくった挙げ句、『そっちがその気なら、こっちだって!』と、航平を忘年会と称したヤケ酒に付き合せたのである。



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ラブゲームには程遠い (2)


 接待とヤケ酒、一体どちらに付き合うほうがマシなんだろう…なんてことが航平の頭を一瞬よぎったが、あっという間に一伽が酔い潰れてしまったので、深く考えることは出来なかった。

「うにゃぁ~…」

 頭をフラフラと揺らしていた一伽は、とうとう力尽きてベンチになっている椅子の上に横になってしまった。
 一伽が酔い潰れたら大変なことになるのは分かっていたので、航平もそれなりに気を付けて見ていたはずなのだが、航平自身がとても酒に強いため、同じペースで飲めば、結局は一伽のほうが潰れてしまうのは当然だった。
 しかも一伽は、航平の再三の注意にもかかわらず、ガブガブとえげつない飲み方をしていたのだから、酔いが回るのも早かっただろう。

 つまり、ヤケ酒+航平と一緒に飲む、という時点で、一伽が潰れるのは必至だったのである。

「あーもうっ、これもみんな侑仁のせいだっ!」

 侑仁が一伽との約束をキャンセルしたのは仕事の都合であり、好きでそうしたわけではないのだが、酔った航平の頭では、侑仁が約束さえ守っていれば、こんなことにはならなかったのに…! としか思えなかった。

「つーか、どうすんだ、コイツ…」

 侑仁は、恋人という関係になる前から、よく酔い潰れた一伽を自宅に連れて帰るなどしていたようだが、悪いが航平は、そんなこと絶対にしたくない。
 別に、恋人である侑仁に気を遣って、ではない。
 この傍若無人な吸血鬼を、自宅に上げたくなどないからだ。

 こうなったら一伽を自分の家に送り届けるしかないとは思うものの、一伽の家がどこなのかが分からない。店に戻れば分かることだが、この時間に、そのために店を開けるのも大変だ。
 それならば、一伽と同居している雪乃に連絡して住所を聞こうかとも思ったが、余計な心配を掛けそうなので、よろしくない。
 とすれば、やはり航平が一伽を連れて帰る…?

「いやいやいやいやいや、それはないな。絶対ない」

 酔いに任せて究極の選択をしてしまいそうになったが、それは絶対にない。
 よし、こうなったら、侑仁に連絡して、一伽を迎えに来させよう。その接待とやらが何時に終わるかは知らないが、何時になったとしても、そうしよう。
 何しろ、そもそも悪いのは侑仁なのだから。

 そう思って、航平が自分のカバンからスマホを取り出していると、一伽がモソモソと動き始め、椅子の上から落ちるのではないかと、航平は慌てて一伽の隣に行った。

「何してんだ、大人しく寝とけ」
「ん~…侑仁~…」
「侑仁じゃねぇよ。ちょ、おいっ!」

 半分ほど体を起こした一伽が、何を思ったのか、突然航平に抱き付いてきたのである。
 侑仁の名前を呼んでいたところからすると、酔ってなのか、寝惚けてなのかは知らないが、側にいるのが航平ではなく、侑仁だと思ったようだ。



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ラブゲームには程遠い (3)


「バカ、ちょっ、離れろ! 一伽!」
「に~…」

 航平の腰をがっしりとホールドした一伽は、そのまま再び夢の世界へと旅立ってしまった。
 何だ。
 何なんだ、これは。
 どうして航平は、一伽に抱き付かれているのだ。

 せめてもの救いは、この店のテーブル席が、みんなここに仕切られていて、皿などを下げに店員が来ない限り、誰にも見られないということだろうか。
 男同士2人きりで飲んでいるだけならともかく、酔っているとはいえ、抱き付かれている姿は、どう考えてもおかしいから。

「とにかく侑仁に電話…」

 先ほどは、何時になったとしても、なんて思ったけれど、そんな悠長なことは言っていられない。
 とにかく、一刻も早く侑仁に来てもらわないと。

「侑仁、絶対出ろよ、出なかったら殺すっ」

 物騒なことを口走りながら、航平が侑仁に電話を掛けると、意外にもワンコールで侑仁は電話に出た。

『航平!? よかった、航平、』
「よくないわっ」
『ねぇ航平、一伽知らない!? さっきから電話してんだけど、全然出ねぇんだけど! 仕事の後、どっか行くとか言ってなかった!?』
「…………………………。はぁ~~~~~!!??」

 航平の突っ込みを聞くか聞かないかのうちに喋り始めた侑仁が、まさかのことを口走るので、航平は、いくらに居酒屋の店内が騒がしいとはいえ、そこまでの大声は…というほどの声を上げてしまった。

『ちょっ…何航平、どうしたの!? 何かあったの!?』
「おま…侑仁、お前なぁっ!」

 侑仁は事情を知らないのだから、もちろん航平の苛立ちなど分かるはずもない。
 しかし、色々な思いの込み上げてきた航平は、とりあえず侑仁を怒鳴らないことには気が済まない。今まで散々、侑仁が悪いのだと思い続けて来たのだから。

「一伽なら今一緒にいるから、さっさと迎えに来んかいっ!」

 航平は侑仁の、『何で航平と一緒にいんの!?』という文句など聞く耳持たず、店の名前と場所を告げると、さっさと電話を切った。

 それにしても、侑仁が来るまでの間に、抱き付いてくる一伽の腕は、果たして解くことが出来るのだろうか。
 航平は、もう何度目になるか知れない溜め息をついた。



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ラブゲームには程遠い (4)


 侑仁が一体どこで飲んでいたのかは知らないが、それほど経たないうちに、侑仁が店へと飛び込んで来た。
 しかし残念ながら、一伽はまだ、航平にしがみ付いたままだった。

「ちょおっ! 何これ!」
「うっさい、侑仁」

 航平一伽の状態を目にした瞬間、案の定、侑仁は頭を抱えて喚いた。
 何度かその腕の中から抜け出そうと試みた航平だったが、そもそも人間と吸血鬼では腕力に大きな差があるうえ、酔って力加減の出来なくなった一伽の腕は、少しも解けなかったのである。
 余計な体力を消費するのが面倒くさくなった航平は、途中からその脱出を諦め、ふてて1人で酒を煽っていたのだ。

「何でこんなことになってんの!? 意味分かんないっ」
「お前のせいじゃ、ボケ」

 騒ぎ立てる侑仁をとりあえず座らせ、航平は今に至るまでを説明してやる。
 面倒くさいとは思ったが、これを省略すると、余計に面倒くさいことになるのは、長い付き合いの中でよく分かっているのだ。

「んなこと言ったってしょうがないじゃん。俺だって、接待より一伽と一緒にいたかったよ…」
「そんなの、俺に言うな。コイツに言え」
「だって寝てんじゃん…。もー航平、どんだけ飲ませたの!? 航平強いんだから、同じペースで飲ませないでよ!」

 一伽も結構酒に強いことは侑仁も知っているが、同時に、航平が底なしだということも知っている。
 そんな彼が付いていたところで、飲み過ぎないように、なんてことが無理なのは、百も承知と言えば百も承知なのだが。

「もういいから、お前は会計して、コイツ起こして、さっさと連れて帰れ!」
「え、ちょ、待って。どさくさに紛れて航平、何言ってんの? 何で俺が会計しなきゃなんないの?」

 非常に鬱陶しげに航平に言われ、しかしそのセリフの中に引っ掛かりを覚えて、侑仁は素直に頷くことが出来なかった。
 侑仁はここに来てから、お冷の1杯も飲んでいないのだ。
 それなのに、どうしてお会計?

「俺がコイツと飲みに来たのも、コイツが潰れたのも、今こうしてこうなってんのも、みんなお前のせいだからじゃ、アホんだら!」
「そんなぁ~…」

 不機嫌さも手伝って、どんどん口の悪くなってくる航平に、侑仁は情けなく眉を下げる。
 航平は整った顔立ちのイケメンだが、どことなくVシネマに出てくるヤクザのような雰囲気が漂っているので、本人にその気がなくても、ちょっと凄むだけで、与える印象はだいぶ恐ろしい。
 それは、長い付き合いの侑仁ですら思うのだから、知らない人が見たら、いかほどかと思う。

 とにかく。
 意味は分からないけれど、侑仁はこの場の会計を済ませ(本当に2人で飲んだの!? という金額だった…)、一伽を起こしに掛かる。

「一伽、一伽、起きて。それ航平だから」
「ぅ…ん~ん~…」
「一伽、」

 肩を揺さぶると、多少は反応があるものの、一伽はなかなか目を覚まさない。
 これは相当飲んでいるに違いない。



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ラブゲームには程遠い (5)


「ねぇ航平。こうなったら、このまま帰ろう」
「アホか、嫌だ!」
「航平ちに行こうとは言わないから。俺んちでいいから」
「嫌だ! 何でコイツに抱き付かれたまま帰らなきゃなんねぇんだ。絶対に嫌だ!」
「だって、潰したのは航平じゃん!」

 侑仁だって、いつまでも恋人が他の男に抱き付いていてほしくはないが、起きないのだから、仕方がない。
 もう会計もしてしまったし、ここに居続けるのはマズイだろうから、このまま帰るしかないと思うだのが、そう思うのは、侑仁も酔っ払っているからだろうか。

「一伽、起きんかいっ、侑仁が来たぞっ!」
「うにゃっ!?」
「ちょっ航平!」

 いい加減、鬱陶しくなって、イライラがピークに達したのか、航平は一伽を腰にくっ付けたまま、無理やり立ち上がった。
 そうすると当然、一伽の体はコロリと反転し、ベンチの上から落ちるわけで。

「う、ん…? あれ…?」

 床に座り込む形となった一伽は、状況がまったく掴めていないのか、ゆっくりと周囲を見回している。

「一伽、大丈夫? 航平、乱暴すぎ!」
「自業自得だ、バカ」

 大憤慨の航平は、侑仁の非難の言葉にも素っ気ない。
 こんなことなら、最初からこうしていればよかった。

「侑仁…」

 一伽の前にしゃがみ込んで心配する侑仁を見つけると、一伽はへにゃりと表情を崩し、そのまま侑仁へと抱き付いた。
 先ほどまで航平に散々侑仁の文句を言ったり愚痴ったりしていたくせに、やはり本物の侑仁を前にすると、そんなことはまったくどうでもよくなるようだ。

「よかった! よし、帰ろう!」

 酔い潰れた男を連れて帰る方法としては、肩を貸すか、ダメなら負ぶうのが一般的だと思うのだが、抱き付いた一伽の腕がまた解けなくなったのか、単に2人がバカップルなのか、侑仁は一伽をお姫様抱っこして立ち上がった。
 航平は、その点について突っ込むべきかどうか迷ったが、何だかすべてがどうでもよくなってきて、何も言わずに侑仁の後に続いた。

 途中、一伽が酔い潰れたのだと気付いた店員が声を掛けてきたが、侑仁はそれを笑顔でかわして店を出ると、素早くタクシーを捕まえて、それに乗り込んだ。

「じゃあね、航平。明日一伽が仕事休んだら、よろしく」
「はあっ? アホか、おま…」
「正月休み、正月休み」
「明後日まで仕事だボケェ!」

 勝手なことを言う侑仁に、今度こそ航平はブチ切れて、それこそ本物のそちらの世界の人のごとく凄んだものの、それを無視してタクシーのドアは閉まり、航平の前から去って行った。

「……………………。アホか、お前ら~~~~!!!!」

 そして。
 師走の寒空の下、航平の怒鳴り声が空しく響くのだった。



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*END*




タイトルはoperettaさまからお借りしました。ありがとう!
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ハートのエースは誰のもの? (1)


 最近新しく出来た、ちょっとお高めの焼肉屋で、バクバクとカルビを口に運んでいた千尋は、向かいに座る南條の言葉に、『うん?』と眉を寄せた。

「いや…、だから、小野田くんの様子、どう? 最近」

 千尋は、ただちょっと南條の言っていることが分からなかっただけなのだが、その聞き返した様子が不機嫌そうな仕草に見えたのか、南條はおどおどと言い直した。

「ハルちゃんの様子? んなもん、俺が知ってるわけねぇじゃん。水落に聞けよ」

 ハルちゃんこと小野田遥希は、千尋の親友ではあるけれど、別に2人は一緒に暮らしているわけでもなければ、毎日会っているわけでもない。
 たまに、気持ち悪いほどの頻度で一緒にいることはあるけれど、今はそういうこともなく、時々メールをやり取りするくらいで、そういえば最後に遥希に会ったのは2週間くらい前のことだった。

 それよりは、(千尋にしたら鬱陶しいくらい)いつでも一緒にいる、遥希の恋人である水落に聞くのが筋だろう。
 何しろ南條は、水落琉と一ノ瀬大和からなる超人気アイドルユニット「FATE」のマネージャーなのだから、水落に話を聞くなど、たやすいことのはずだ。

「いや、だからそれが…」

 何となく奥歯に物が挟まったような言い方をする南條に構うことなく、千尋は新たに届いたハラミの皿に手を付ける。

「つかお前、話聞く気あんのか!? てか、俺の肉ー!!」
「南條、うっさい」

 千尋は食べるのが速いので、焼肉のように1つの皿のものを2人で分け合って食べるときは、ちょっと他のことに気を取られていると、あっという間に千尋にみんな食べられてしまう。
 こういうときは、相手の分を残しておくのが普通だと思うのだが、それが通用しないのが千尋なのである。

「ったく、肉ごときで。小せぇ男だな」
「そういう問題か!?」

 高校のとき以来、こんな千尋と友人でいられる南條は、決して器の小さな男ではないはずなのだが…。
 とにかく、千尋と食事をするときは、何かと要注意なのである。

「それよりも! 小野田くんの…」
「だから、知らねぇっつの。何で俺に聞くんだよ」

 また話が最初に戻って、千尋は嫌そうに言い返した。

「………………。水落とハルちゃん、何かあったの?」

 千尋と南條は高校来の友人ではあるが、南條は仕事柄、千尋よりも水落と一緒にいることのほうが多く、その水落がベラベラと惚気るものだから、特に知りたいわけでもないのに、南條は時に、千尋以上に遥希情報を有していることがあるのだ。
 それなのに、南條がわざわざ千尋に遥希について聞くのは、水落の様子に何かあり、原因が遥希にあるかもしれないのに、水落が口を割らないからなのだろう。



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ハートのエースは誰のもの? (2)


「…水落が今、超絶凹んでる」
「へぇ」
「なぜなら、ここしばらく、小野田くんと会えていないから」
「くだらねぇ」

 深刻な表情で打ち明けた南條に、千尋はあっさりバッサリ一言でそう片付けた。
 いくら遥希が時間に余裕のある大学生とはいえ、水落は、押しも押されもせぬスーパーアイドルで、忙しいのは当たり前。なかなか会えないこともあるのは百も承知で付き合ったのではないのか。
 大体そんなこと、南條だって、十二分に分かっているはずだ。

「いや、それが…」
「んだよ」
「水落が小野田くんに会おうとしても、拒否られてる。もう3週間くらい」
「はぁ~~~~~???」

 千尋に『くだらねぇ』と切り捨てられ、南條は思い詰めた表情で、ようやく肝心のことを打ち明ければ、途端、千尋は周囲を顧みずに大きな声を張り上げた。

「バカッ、シッ、シーッ!」

 千尋の大声に周囲の視線が集まり、南條は慌てて千尋を宥める。

「ちょっ…、は? 何? ハルちゃんが水落に会うの、拒否ってんの?」

 驚きのあまり声を大きくしてしまった千尋だが、水落の名前を出すことに関しては、周囲に気を遣って、一呼吸おいて声を潜めて南條に聞き返した。
 最初は、芸能人である水落と付き合うなんて…と、水落と距離を置こうとしていた遥希だったが、恋人同士となってからは、まだ多少の遠慮はあるものの、水落の誘いを何よりも最優先するようになったのに。

「水落の話だとな。でも、それが冗談じゃない証拠に、水落がめっちゃ凹んでる」
「水落が何かしたんじゃねぇの? ハルちゃんに。会いたくねぇ、つーことは、そういうことだろ」
「俺もそう思ったけど、水落は何もしてねぇ、て言うし」
「自覚してねぇだけだろ」

 会いたがらない理由としては、その辺りが妥当なところだ。いくら水落が遥希のことを大好きでも、気付かないうちに、怒らせるようなことをしていないとは限らない。
 ただ遥希は、水落と付き合う前、水落からの告白を断ったにもかかわらず、ファンだから、とか言って、FATEのCDを買うような子だから、そのくらいのことで会うことを拒否するとも思えないが。

「ったく、面倒くせぇ男だな」
「俺だってそう思うよ! でも何とかするには、小野田くんが水落に会ってくんないと…。だから理由を知りたいんだよ。小野田くんが水落に会わない理由」
「で、俺にハルちゃんの様子を聞きたかったわけね」

 そうは言っても、千尋も遥希とは2週間くらい会っていないのだ。
 メールをする限りでは、遥希は普段と何も変わらない感じだし、ましてや水落に会うことを拒否しているなど、一言も書いていなかったし。

「………………。南條、お前、今日ここ奢れよ」

 最後の1枚となったハラミを口に入れた千尋は、少し何かを考えてから、徐に口を開いた。

「はぁ? 何だよ急に。ほぼお前が食ってんのに、何で」
「そしたら、ハルちゃんに、何があったのか、聞いてやるよ」

 ニヤリと笑った千尋は、店員を呼び止めると、新たな肉を幾皿も注文したのだった。



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ハートのエースは誰のもの? (3)


 ここしばらく遥希と会っていないのは千尋も同じだったが、それは『会いたい』と言ったのを断られたからではなく、会おうという話の流れにならなかっただけのことだ。
 千尋はショップでの仕事のほかにデザインの仕事もしているのだが、ちょうどそちらが忙しかったこともあって、食事に誘うことさえ出来なかったのだ。
 しかしその仕事も一段落したし、昨日の南條との約束もあるから、千尋は様子を窺う意味も込めて、遥希に夕飯を食べに行かないかとメールを送ってみた。
 するとどうだろう、遥希からは、あっさりとOKの返事が来たのである。

「え、マジ…?」

 南條の話だと、水落が最後に遥希を誘ったのが3日ほど前のことらしいが、この3日間で何か心境の変化があったのか、それとも今でも水落の誘いだけは断りたいのか。
 誘ってオッケーが貰えたというのに、千尋は何だか複雑な気持ちになってしまった。

 しかも遥希は、『いつにする?』という問い掛けに、『今日でもいいよ』などと返してくる。
 誘っておいて何だが、今日でいいなら、千尋の誘いに乗らず、水落に声を掛けてやればいいのに。そうしないということは、やはり水落を避けているのだろうか。

(…いや、違うな)

 遥希の性格だ。
 水落の誘いには乗っても、自分からは遠慮して水落を遊びや食事に誘ったりなど、積極的になんかしないだろう。

 ひとまず千尋は、遥希と会う場所と時間を決め、その内容を南條にメールしてやった。まったく、どうして千尋が、遥希と水落の間を取り持つようなことをしているのだろう。
 まぁ、遥希が水落を拒否している件については、千尋も興味があるからいいんだけど。

 それにしても、南條はこの事実を水落にどう伝えるのか、それも気になるところだ。
 今まではたまたま都合が悪くて水落の誘いを断っていたが、今日なら予定が空いていて、水落が誘ってもオッケーしたのか、やはり水落限定で、今日も拒否したのか、南條や水落は、どう捉えるのだろう。

 まぁそれも、今日、千尋が遥希に会って話を聞けば、すべてがはっきりすることだ。
 水落は、遥希が自分と会うことを拒否する理由を知らないようだから、遥希は明確な理由を言わず、何となくごまかして断っていたのだろうけど、そんなこと、千尋には通用しない。
 何が何でも聞き出してやるのだ。

 千尋は改めて気合を入れ直すと、立ち上がってコートを掴んだ。



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ハートのエースは誰のもの? (4)


 待ち合わせの場所に行くと、遥希は2週間前に会ったときと特に変わらず、いつもの遥希だった。外見ももちろんそうだし、話しているときの雰囲気も、何も変わらない。
 はっきり言って、千尋は少し拍子抜けした。

 遥希はすごく分かりやすいから、水落と会うのを拒否するくらいのことが起こったら、絶対に精神的に参って、実際に会ったら、千尋はすぐに分かると思っていたのだ。
 それなのに、遥希はいつもどおり。
 なら、一体どうして水落に会うのを拒んでいたのだろう。

「ちーちゃんに会うの、久しぶりだねー」
「まぁね」

 千尋に会うのも久しぶりかもしれないが、水落にだってずっと会ってないんでしょ? と思うものの、千尋はそれを言い出せない。
 一体どのタイミングで話を切り出すべきなのだろう。

「でもさ、ハルちゃんが鍋とか言い出すなんて、珍しいじゃん。超小食のくせに」

 何を食べるかという話の中で、鍋を提案してきたのは、遥希だった。
 お店で食べる鍋は何人前かを指定できるけれど、若者らしくなく小食の遥希は、一人前を1人で食べ切れないから、鍋をするなら2人でなく、もっと大勢でないとダメなのだ。
 それは遥希が一番よく分かっているはずなのに、一体どういう風の吹き回しだろう。

「せっかくだからさ、栄養つけないと! て思って」
「栄養? だったら肉とかのほうがいいじゃね?」
「んー…でも、まだそんな油っこいもの、食べたい感じじゃないんだよね」

 珍しく健康に気を遣うような発言をする遥希を不思議に思いつつ、肉はこの間、南條と行ったばっかだし、まぁいっか、なんて気楽に考えて、お店ののれんをくぐった。

 店内にはすでに何人かのお客の姿があったが、千尋と遥希は奥のテーブル席に通された。

「何にしよっか。海鮮? 水炊き? カレー鍋とかあるね」
「あ、コラーゲン鍋は?」
「はぁ? ハルちゃん、何女の子みたいなこと言ってんの」

 別にコラーゲンは女子限定のものではないけれど、男2人で鍋に来ていて、わざわざコラーゲン鍋を選ぶあたり…。

「ハルちゃん、さっき栄養がどうとか言ってたじゃん。お肌の心配より、そっち優先してよね」
「だって、お肌も気になる…」
「バッカじゃないの」
「バカじゃないよー。ずっと風邪引いてたからさぁ、肌ガサガサなんだもん」

 女の子のごとくお肌の調子を気にする遥希に呆れていたら、どうやら気にするにはそれなりの原因があったらしい。そうだとしても、遥希の女子力といったら…。

「じゃ、もつ鍋にしとく? 栄養もあるし、コラーゲンもあるとか言うじゃん?」

 コラーゲンは分子構造が大きくて、食品から採っても、美容効果はないとか聞いたことあるけど、遥希がそれでいいなら、いいことにしようと思い、千尋はもつ鍋と飲み物を注文した。



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ハートのエースは誰のもの? (5)


「…つか、」
「ぅん?」
「ハルちゃん、風邪引いてたの?」

 今日は、ただ遥希とご飯を食べているだけではダメなのだ。
 遥希が水落に会うことを拒否している理由を聞き出す……まぁそれが無理でも、遥希の最近の様子を聞いて、何か手がかりを得なければならないのである。
 そう思っていたら、さっそく千尋の知らなかった情報が飛び出した。
 会わないでいた間も、遥希とはメールのやり取りをしていたけれど、風邪を引いていたなんて、知らなかった。

「うん。最初さ、熱出ちゃって、インフルだったらどうしようとか思ってたんだけど、インフルじゃなかったよ」
「へぇ」
「でもさぁ、今の風邪、超しつこいの! 俺、3週間くらい咳止まんなくて。一昨日かな、ようやく治まったんだよ」
「ふぅん………………え、3週間?」

 確かに、風邪やインフルエンザの流行する季節だし、千尋も引かないように気を付けてはいるけれど、そっか、今の風邪は長引くのか…………じゃなくて!
 その3週間という期間、千尋には聞き覚えがあるぞ。

「あ、でももう大丈夫だよ、咳も止まったし。だから今日ちーちゃんが誘ってくれたの、オッケーしたんだから。まだ治ってなかったら、来なかったよ。うつしたら悪いしね」
「う…うん、そうだよね…」

 遥希の話を聞いた千尋は、一瞬のうちにすべての状況を理解した気がした。

 風邪を引いて、3週間ほど咳が止まらなかった遥希。
 その風邪がようやく治ったから、今日の千尋の誘いにも乗ったけれど、そうでなければ断っていた――――うつすと悪いから。自分の体調云々ではなく、うつすと悪いから。
 千尋に対してでもそうである遥希だ。相手が水落だったらなど、考えるまでもない。

「ねぇハルちゃん…、その、風邪引いてる間……3週間くらいさ、もしかして、水落に会わないようにしてた…?」

 そうだ。
 3週間というのは、遥希が水落に会うのを拒否していた期間じゃないか。

「あー…うん。だって、琉に風邪うつしちゃったら大変だもん。特に咳なんてさ、うつしやすそうじゃん」
「で、ハルちゃん、その理由……会わない理由、水落に話した? 風邪引いてるから会えない、て言った?」
「言ってない。風邪引いたなんて言ったら、余計な心配掛けちゃいそうだし」
「やっぱり…!」

 とうとう真相を知った千尋は、大きく天を仰いだ。
 すべては、遥希の水落への気遣いが原因だったのだ。

 別に遥希は、水落のことを嫌になったわけでもなければ、怒っているわけでもなかったのだ。
 水落に風邪をうつさないため、そして余計な心配をかけためにやったことが、結果として水落を落ち込ませることになったのである。



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ハートのエースは誰のもの? (6)


「はぁ~~~~~…………」

 すっかり脱力して、千尋はテーブルに突っ伏した。
 理由を話さなかった遥希も遥希だが、そこまで凹むなら、水落ももっと問い質せばよかったものを。
 南條と千尋を振り回した結果が、これだなんて…。

「でもちーちゃん、どうしたの? 琉のこと気にするなんて、珍しいね?」
「いや、だから……水落が…」

 こうなったら、南條から聞いていた水落のことを、みんな遥希に話してやろう。
 自分のしたことが、かえって琉を落ち込ませていただなんて、遥希が聞いたらショックを受けるかもしれないけれど、構うもんか。こっちはこっちで、いろいろと大変だったんだ。

 千尋がそう決意し、言葉を続けようとした、次の瞬間だった。

「ハルちゃん! そうだったの!?」

 千尋の背後から突然聞こえた声と現れた姿に、千尋も遥希もビクッと肩を震わせた。
 みんなお酒も入って賑やかだから、わざわざ大きな声を上げるか、すごく耳を澄ますかしない限り、他のテーブルの話は聞こえないだろうけど、それでも水落のことを話題に上らせてからは、声を潜めていたはずだ。

 それなのに、何なんだ、この男は。
 千尋ですら気を遣ってやったというのに、それをぶち壊すように堂々と登場したのは、まさしく水落本人だった。一緒にいた南條が、慌てて水落を押さえている。

 千尋はギョッとして振り返ったが、そこに水落の姿を見つけると、キッと睨み付けてやった。このタイミングとセリフからして、水落が千尋たちの話を聞いていたのは間違いない。
 しかも、水落と南條がいたのは、千尋たちの1つ奥の席。千尋たちが席に着いてから、誰も奥に案内されていないから、水落と南條は、千尋たちより先に来て、待ち伏せていたことになる。
 確かに千尋は、遥希と食事に行く場所と時間を南條に教えたが、それは遥希が誘いを断らなかったことを伝えたかっただけで、こんなことに利用されるためではないのに。

「バカ、静かにしてろっ…!」
「何すんだ、南條…!」

 今にも遥希に飛び掛からんばかりの水落を、南條が必死に取り押さえている。
 きっと南條は、ここに来ようとする水落を止め切れず、だったら一緒に行く! と言って決着したに違いない。

「え、琉……!? え? え?」

 まさかこんなところで水落に会うなんて、千尋も想像していなかったが、会ってしまえば、水落がここにいる理由が見当の付く千尋と違って、遥希はまったく何が何だか分からないので、ポカンと口を開けて固まっている。

「あー…えっと、俺たち一緒で。こっちのテーブルに移るんで!」

 幸いどのテーブルのグループも盛り上がっていて、俄かに騒がしくなった千尋たちのほうを気にする者をはいなかったが、飲み物と鍋の用意を持って来た店員が驚き戸惑っていたので、慌てて千尋が提案する。
 こういうことは、普段だったら南條あたりが気が付くところなのだが、今は水落のことで精いっぱいで、それどころではないようだ。



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ハートのエースは誰のもの? (7)


「あっ!」

 4人掛けのテーブル席、先に遥希が奥に座り、その隣に水落を座らせないよう、さっと千尋が座った。
 当然水落は、何で!? と非難がましい視線を千尋に向けたが、千尋はそんなこと物ともせず、フン、と鼻で笑ってやった。

「ホラ、水落、座れ」

 南條に促され、水落は渋々と向かいの席に座った。
 それでも、千尋の前でなく遥希の前に座らせてくれたのは、南條なりの優しさなのか、これ以上、面倒くさいことになりたくなかっただけのことなのかは分からない。

「え…えと…、何で琉が…?」

 まだ何も状況が掴めていない遥希は、目の前に水落がいることが現実のことなのかどうかも分からない様子で、呆然としている。

「水落はねぇー」

 こうなったら、何もかも洗いざらい話してやる!
 遥希が水落に気を遣って会わないでいたのが、かえって水落を落ち込ませていたことも、千尋が遥希の様子を窺うために今日誘ったことも、それを南條に伝えたら、水落と一緒になって、ここで千尋と遥希が来るのを待ち伏せていたことも、みーんなみんな喋ってやるんだから!

 千尋はコンロの火を点けると、アワアワしている南條を無視して、一気に捲し立ててやった。

「はぁ~~~~~っっっ」

 すべてを話し終えた千尋は、その喉の渇きを潤すため、来ていた中ジョッキのビールを半分ほど飲み干した。

「え? え? じゃあ琉…」

 話を聞き終えた遥希は、ポカンとしたまま、向かいの琉を見れば、琉はバツが悪そうに視線を逸らした。
 その隣では、南條が頭を抱えて項垂れていた。

「水落はさ、ハルちゃんが会えないって言った理由を聞き出すことも出来ないヘタレなうえに、こうやってコソコソとハルちゃんのこと待ち伏せとかしちゃう、ストーカーみたいなヤツなんだよっ」

 ガブガブとビールを煽り、バクバクとお通しを食べ、千尋は不機嫌さを隠すこともなく、水落のことを貶めてやる。
 今回の件、遥希に非がないとも言い切れないが、それは飽くまで水落に心配を掛けまいとしてやったことだ。それに対して水落は、自分で理由を聞けなかったくせに、勝手に落ち込んで、周りに迷惑を掛けるなんて、とんでもないヤツだ!

「ハルちゃん、食べるの頼も? 風邪治ったばっかなんだから、栄養つけないと」
「う、うん…」
「大丈夫。全部水落の奢りだから!」

 必要以上に遥希にくっ付き、勝手なことを言い出す千尋に、水落は「ちょっ…!」と慌てて突っ込もうとしたが、千尋に一睨みされて、大人しく引き下がった。
 今回、一番振り回されたのはマネージャーの南條であり、千尋は南條から相談を受け、遥希を食事に誘ったくらいでしかないのだが、オチのあまりのくだらなさに、千尋は大変ご立腹なのだ。



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ハートのエースは誰のもの? (8)


「すいませーん、これとこれとこれとこれとこれ、お願いしまーす」
「おいっ…!」

 店員を呼び止めた千尋は、メニューを広げて、次々と注文をする。
 このまま4人で食事をすることになれば、2人前のもつ鍋ではもちろん足りないけれど、今の千尋の調子からすると、一体どのくらい頼むのか計り知れず、水落の背中を冷や汗が伝う。

「ホラ、もうお鍋食べれるよ?」
「ありがとう、ちーちゃん…」

 ただ単に千尋は苛立ちから行動しているだけなのだが、遥希にしたら、テキパキと動く千尋が何だかすごく格好よく見えて、よそってくれたお椀を笑顔で受け取る。
 もちろん、千尋のそんなサービスは、遥希オンリー。
 千尋の眼中には南條も、ましてや水落なんて、これっぽちも入っていないのだ。

「あうぅ…」

 ハルちゃんのその笑顔は俺のものなのに…、俺のものなのに…。
 大体、3週間も会えずにいた恋人たちが、今こうして久々に会うことが出来たのだから、普通は気を利かせて席を離れてくれるものなのではないのか。
 一人鍋が空しいなら南條だっているのだし、そもそもどうして2つテーブルを予約していたのを、1つにまとめる必要がある!?

 水落は恨めしげに千尋を睨むが、まったく相手にされない。
 悔しくて、隣の南條の足を蹴っ飛ばせば、仕返しに足を踏まれる始末。南條には南條なりの苦労があったのだから、感謝されこそしても、恨まれる筋合いはないのだ。

「…ビール、お代わり」

 大量の料理の皿を持ってきた店員に、琉がビールのお代わりをオーダーすれば、冷ややかな千尋の視線に気が付いた。
 何だ? と聞き返すのも嫌で、視線だけで問い掛ける。

「水落、ビールなんかお代わりしちゃって、ますますお腹ぷよったらどうすんだろうね」
「ッ…!!」

 サラッと毒づく千尋に、今度こそ水落はブチ切れようとしたが、その直前に、酔ってほわほわになった遥希が、「ぷよっててもいいよ、琉のこと好きだよ」なんて言うものだから、それだけで水落の苛立ちは収まり、癒されてしまった。

「ホンット、単純なんだから」

 千尋は水落を睨んでから、「琉、カッコいい」なんて言っている遥希の頭をよしよししてやった。



*****

 そして、それから2時間後。
 あれだけあった料理がすべて空になり、数杯のグラスも空いたころ。

「よし、南條、次行くぞぉっ!」
「えぇっ!?」

 酔って、すっかり気分の良くなった千尋が、バシンとテーブルを叩いて立ち上がった。
 隣の遥希は、もうお腹いっぱい、次なんて無理…と、困ったように千尋を見ている。もちろん南條だって満腹で、このまま家に直行する気満々だったのに。

「ちーちゃん、俺、もう次なんて行けないよぉ…」
「は? 何言ってんの、ハルちゃん。ハルちゃんは水落んち行くんでしょ?」
「え!?」
「何、違うの?」

 千尋が冷たい口調で、冷たい視線を向けた先は、遥希ではなく、水落だ。
 素直になれない千尋なりの、配慮だったらしい。



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ハートのエースは誰のもの? (9)


「じゃーね、水落、ゴチー」
「ちょっ…千尋、待て、待てって…!」

 まだ上着を羽織っていない南條の腕を掴んで、千尋はズンズンと進んでいく。
 店員にも陽気に挨拶をして、南條を連れた千尋は店を出て行った。

「ちーちゃん…」
「はぁ~~~~…」

 嵐のように千尋が去ったテーブルには、唖然とする遥希と、グッタリとした琉だけが取り残された。

「琉、あの…」
「ハルちゃん、風邪、もう大丈夫なの?」
「うん、あの…ゴメンなさい…。何かかえって琉に迷惑掛けた、ていうか…」

 自分ではよかれと思ってしていたことが、逆に水落を落ち込ませていただなんて、先ほど千尋に聞かされるまで、遥希は微塵にも思っていなかったのだ。

「もういいよ。アイツの言うとおり、俺も勝手に凹んでないで、もっとハルちゃんにちゃんと聞けばよかった」

 シュンとしている遥希の頭を、ソッと撫でてやる。
 酔いも手伝ってか、遥希はふにゃりと表情を崩す。

「ッ…!」

 か、かわいい…!
 もう3週間も遥希に会わなかったうえに、今日も会ってからずっとお預けを食わされていたのだ。そんな顔をされたら、場所柄をわきまえずに、遥希に襲い掛かってしまいそうになる。

 けれど、帰り際、千尋に無理やり引っ張られながらも、水落に釘を刺すような視線を向けて来た南條を思い出し、水落は我に返る。
 ひとまず千尋のお許しも出たことだし、続きは家に帰ってからということで。

「ハルちゃん。お家行こっか」
「うん」

 あぁ、でもやっぱり、家まで理性が保てるかな。
 そう思いつつ、水落は遥希の肩を抱いた。



*****

 ちなみに、千尋に二次会へと引っ張って行かれた南條は、水落に対する愚痴を散々聞かされた挙げ句、酔い潰れた千尋の介抱をしてやるはめになったわけで。
 どこまでも報われない自分を憐れみつつ、2度と水落の心配などするものかと、心に誓ったのだった。



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*END*




タイトルはoperettaさまからお借りしました。ありがとう!
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チェックメイトで逃げられない (前編)


 まったく、最悪な1日だった。
 何から何までツイていない。

 譲は電車を待ちながら、もう何度目になるか分からない溜め息を零した。

 そもそもの発端は、普段は雪の降らないこの地域で、珍しく雪が降ったことだった。
 ニュースでは『交通機関の乱れにご注意ください』などと言っていたが、何をどう注意しろと言うのだ。譲がどんなに注意したところで、電車は停まるし、代行のバスは出ないし、タクシーは大行列だ。

 せめてもの救いは、これが出勤時ではなく、仕事帰りだということだろうか。
 もちろん疲れてはいるから、いつまでもこんなところにいないで、さっさと帰りたいけれど、もしこれが朝だったら仕事に遅れていたし、それを思えば、まだマシか。

「はぁ…」

 大体からして、譲が、今日を最悪な1日だと思うのは、何も、この電車の運休のせいだけではない。
 今日は朝から亜沙美が絶好調だったのだ。

 もちろん亜沙美はいい子だ。テンポとテンションは妙だが、仕事は真面目に丁寧にこなすし、お客にも気に入られている。それは、譲も分かっている。
 しかし、それでも譲は亜沙美が苦手なのだ。主に、朋文との関係という意味で(誤解のないように言っておくと、亜沙美と朋文の関係ではない。譲と朋文との関係だ)。

 そんなわけもあって、今日はいつも以上に疲れていたから、早く帰って休みたい気持ちが強かったのに。
 ここに来て、この仕打ち…。

「ったく…」

 ここから譲の家までには、電車を1つ乗り継がなければならない。ここでこの状態なら、乗り継ぎの駅でも同じことが起きているだろうから、家に着くのは何時になることやら。
 電車の運行再開を待つより、あのタクシーの行列に並んでいたほうがいいのだろうか。しかし家までタクシーとなれば、一体いくら掛かるのか、かといって歩いては帰れないし…。
 これで、もっと若いころなら、オールで遊ぶとか、ネットカフェで一晩過ごすとかあるんだろうけど、さすがにこの年で、それはない。

「――――譲!」

 混雑でざわめいている中、名前を呼ばれた気がして、譲はスマホから顔を上げ、辺りを見回した。
 しかし周囲には、譲と同じく、スマホの画面を覗き込んでいるか、駅の電光掲示板を見上げている人か、友人同士で話をしている人くらいしか見つけられない。
 聞き間違いか…と、再びスマホに視線を戻す。憎らしいことに、もうすぐ充電が切れそうだ。

「譲、譲っ!」
「…え?」

 やはり聞き間違いではない、その声、譲は改札のほうを見遣る。
 朋文だ。
 改札の向こうで、朋文がブンブンと手を振っている。譲は一瞬、他人の振りをして、そのままダッシュでこの場を去ってやろうかとも思ったが、そうは出来なかった。
 ゆっくりと、改札口へと向かう。



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チェックメイトで逃げられない (後編)


「おま……何してんだよ」

 改札の通り抜けの邪魔にならないところで、柵越しに朋文に声を掛ける。
 朋文とは、カフェSpicaを出て、この駅前で別れたのだ。電車で帰らなければならない譲と違って、朋文は徒歩で通勤しているのだ。足元に注意しなければならないが、この雪の影響で帰れない、という事態はないのに。

「いや、譲は大丈夫て言ってたけど、電車停まってるみたいだったし…。ホントに大丈夫? てメールしたのに返事来ないから、戻って来ちゃった」
「メール? そんなの来てない…………あ、受信できてなかった」

 ずっとスマホを見ていたから、メールが来ればすぐ分かったはずなのに、電波の影響か何かで受信できていなかったらしく、問い合わせてみたら、今ごろ朋文からのメールを受信した。

「つか…、俺がここにいたからいいけど、もしいなかったらどうする気だったんだよ」

 電車が動いていないとしても、タクシーで帰ったとか、ここじゃなくてホームにいたとかだったら、朋文は譲を見つけることなんか出来なかったのに。

「いやぁ、いなかったらいなかったで、しょうがないかな、て思って。でもいたじゃん?」
「そうだけど…」
「やっぱり運命かな? 俺たちは、出会うべくして出会った……」
「ぶっ飛ばすぞ、てめぇ」

 ただでさえ譲は今日、いろいろとイラついているのだ。
 下手なことを言おうものなら、人前だろうと何だろうと、手を上げてしまいそうだ。

「ゴメンなさい…」

 いくら朋文がピントのずれた空気の読めない男でも、譲の苛立ちを感じ取ることは出来たのだろう、情けなく眉を下げて、素直に謝った。

「とりあえず譲、早く改札出て?」
「は?」
「あ、入った駅で出るには、駅員さんに言わないとダメなのかな?」
「おい、何言ってんだ」

 わけが分からずにいる譲を無視して、朋文は勝手にベラベラ喋っている。
 やはり、1発殴ってやろうか。

「だって、電車動かないんでしょ?」
「お、おぅ…」
「じゃ、ウチにおいでよ?」
「はぁ~?」

 まるで、そうすることが当然だとばかりに言ってくる朋文に、譲はポカンとなるが、朋文はただニコニコしているだけだ。

「俺んちなら、歩いて行けるし」
「そうだけど…」
「こんなトコで、いつ動くか分かんない電車待ってるより、そのほうが、よくない?」
「………………」

 そうだ。
 電車はいつ動くか分からないし、タクシーだって金が掛かるし。だから、朋文の家に行くんだ。それ以上の意味はない。朋文の家に行くことを嬉しいだなんて、思っちゃいない。
 誰も何も言っていないのに、譲は心の中でそう言い訳しながら、再び改札の外に出る。

 朋文の意のままに行動している自分に嫌気が差すより先に、譲は朋文の手を取った。



*END*



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ビターチョコレートに込めた甘い愛 (1)


s i d e : n a o


 やっぱり蓮沼さんて、変な人だなぁ。
 お尻触るのやめて、て言って以来、俺のお尻を触って来ることはなくなったけど、やっぱり変な人であることに、変わりはなかったみたい。

「何言ってんの? 蓮沼さん」

 仕事が終わって、私服に着替えてたら、蓮沼さんがまたおかしなことを言ってくるから、俺は首を傾げた。

「だからー、直央くん、徳永さんにどんなチョコ上げんの?」
「チョコて……バレンタインのチョコ?」

 うちのコンビニでも、バレンタイン用のチョコを売り出すため、特設コーナーを作ったのが今日のこと(俺にはそういうセンスがないから、やったのは殆ど蓮沼さんなんだけど)。
 そんなタイミングで、『徳永さんにどんなチョコ上げんの?』なんて言ってくれば、バレンタインのチョコのことかな、てバカな俺でも思っちゃうんだけど。
 でも、俺が徳永さんにチョコを上げる、みたいな感じで話してくるてことは、バレンタインの話じゃなかったのかな?

「そうそう、バレンタインのチョコ。徳永さんの趣味なんか知んないけど、さすがにコンビニのチョコてわけにはいかないと思って。直央くん、どうするの?」
「どうするの、て…」

 やっぱり蓮沼さんは、バレンタインのチョコのことを言ってたみたいだけど…………何で俺が徳永さんにバレンタインのチョコ上げないといけないの?
 蓮沼さんは、俺のこっ…恋人(はわわ…)が徳永さんだって知ってるけど、徳永さんが男だってことも知ってるはずなのに。いや、徳永さんのことを女だと思ってたとしても、男の俺が、どうして上げることになるわけ?

「何か…、よく分かんないけど…………別に上げないよ?」
「はぁ~?」
「え、」

 蓮沼さんの言いたいことがよく分かんなくて、でもバレンタインだからって徳永さんにチョコを上げるつもりもなかったから、素直にそのことを打ち明けたら、蓮沼さんはすっごい呆れたふうに俺を見た。
 え、俺、何か変なこと言った?

「あのね、俺は直央くんのことが大好きだし、徳永さんなんかやめて俺にしなよ、とか思わないでもないけど、直央くんの味方だから言っとくね?」
「は?」
「こういうイベントは欠かしちゃダメなんだよ?」
「はぁ?」

 蓮沼さんは、ひどく真面目な顔で言ってくるけど、ますます意味が分かんない。
 確かにバレンタインは、恋人同士だったり、これから愛を告白する人だったり、愛にまつわるイベントだけど、女性から男性にチョコを贈るわけでしょ?
 俺、男なんだけど。

「あ、直央くん、ちょっと待って」
「ぅ?」

 何で徳永さんにチョコを? て言おうとするより先、蓮沼さんが俺の顔の前に手のひらを見せ付けて来て……多分黙れ、て意味なんだと思って、俺は口を閉じた。



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ビターチョコレートに込めた甘い愛 (2)


「今直央くんが思ってること、当ててあげるね?」
「うん?」
「『俺男なのに、何で徳永さんにチョコ上げないといけないの?』でしょ?」
「うわっ」

 すごいな、蓮沼さん。俺の思ってること当てちゃうなんて。
 でも、そこまで分かってんのに、何で俺に、『どんなチョコ上げるの?』とか言って来たんだろ。

「恋人同士なんだから、チョコ上げないと! そういうはちゃんとしといたほうがいいと思う」
「だって……バレンタインて、女の子がチョコ上げる日でしょ? 俺、男だよ?」
「いや、直央くんが男なのは知ってるから。つか、女が男にチョコ上げる、なんて、日本だけのことでしょ。欧米じゃ女からとか男からとか関係なく贈るし」
「ここ、日本じゃん」

 外国のことはよく分かんないし…。蓮沼さんのことを疑うわけじゃないけど、知らないことは、すぐには信じらんないし。
 それに、外国じゃそうかもしんないけど、ここは日本だから、日本の風習に従うのがいいんじゃないの?

「じゃあ、バレンタインは女からしかチョコ上げらんないんだとしたら、男同士の場合はどうすんの?」
「うーん…」
「でしょ?」
「……」

 笑顔の蓮沼さんに、俺は心の中に浮かんだ答えを言うことが出来なかった。
 多分、俺の思った『チョコを上げない』ていう答えは、蓮沼さんには通じないから。



*****

 帰ると、家政婦の純子さんが夕食の支度を終えたところだった。

「直央さん、お帰りなさい」
「ただいまー」

 純子さんに挨拶すると、俺はすぐに手洗いとうがいをしに行く。
 ちゃんとしないと、純子さんに怒られちゃうからね。

「ねぇねぇ、純子さん」
「はい?」
「あのね、バレンタイン…」

 台所で後片付けをしていた純子さんのところに行く。
 今日、蓮沼さんに言われたこと、聞いてみようかな、て思って。
 純子さんは、もう73歳だけど、ケータイもパソコンもめっちゃ出来るし、ニュースとかもいろいろ知ってるから、バレンタインのことも分かるかな、て。

 …でも、何て聞いたらいいんだろ。
 俺、徳永さんにチョコ上げたほうがいい? とかだったら、おかしいよね。バレンタインて、女の人が男の人にチョコ上げるんだよね? て聞いたらいいのかな。

「バレンタイン? あぁ、仁さんに上げるチョコですか?」
「うぇっ!?」

 俺まだ、『バレンタイン』しか言ってないのに、純子さんがそんなこと言ってくるから、すごくビックリして固まっちゃった(後から気付いたけど、口も開けっ放しだった)。
 でも、純子さんも、俺が徳永さんにチョコ上げる、て思ってんの?



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ビターチョコレートに込めた甘い愛 (3)


「えっと、純子さん…」
「あら、違いました? でも、仁さんにもチョコ、上げるんでしょう?」
「や…やっぱりそうなの??」

 不思議だな。蓮沼さんが言っても、何言ってんの? としか思えなかったけど(ゴメンなさい…)、純子さんに言われると、そうするのが正解みたいに思えてくる。

「どうかされました?」
「…あのね、今日バイトでね、」

 こうなったら、今日蓮沼さんに言われたこと、みんな話しちゃおう。
 蓮沼さんに、バレンタインのチョコ、どんなの上げるの? て言われて、バレンタインのチョコて女の人から男の人に上げるものだと思ってたのに、それは日本だけのことだよ、とか言われて。
 こういうイベントは欠かしちゃダメだよ、なんてことまで言われちゃった。

「確かに、バレンタインに女性から男性にチョコを贈るのは、日本だけの風習て言いますものねぇ」
「やっぱりそうなんだ…。でもここ日本だし、それでいいんじゃないの? 無理して外国のことしなくてもいいよね??」

 別に、徳永さんにチョコを上げたくないわけじゃないんだけど。
 男なのに、バレンタインにチョコ上げるなんて、何か変じゃないかなぁ、と思って。

「でも今は、逆チョコとか友チョコとかいろいろありますから、いいんじゃありません?」
「逆チョコ?」
「男性から女性にチョコを贈るんです。友チョコは、お友だち同士で送り合うんですよ」
「ふぅん」

 でも、俺と徳永さんは男同士だから逆チョコにはなんないし、その…友だち、じゃないから…、友チョコにもなんないよね?

「あら、でも、自分チョコていうのもあるくらいですから、誰から誰に贈るなんて、今はあんまり関係ないかもしれませんよ?」
「じゃあ……俺は徳永さんに贈っても、変じゃない?」
「喜ばれるかと」

 そっかぁ。
 変じゃないなら、贈ることにしようかな。

「けれど、どんなチョコを贈るか、悩まれますね」
「んー…」

 コンビニでも売るくらいだから、スーパーとか、もっとおっきいお店に行けば、いろいろたくさん売ってるはずだ。
 でも、蓮沼さんも『コンビニのチョコてわけにはいかない』て言ってたし、純子さんも、どんなの贈るか悩む、なんて言ってるから、そう簡単に決められるもんじゃないのかな。

 そりゃそうだよね。
 徳永さんはあんまり甘いものを食べるほうじゃないけど、セレブだし、食べるとすれば、高いヤツの気がする。
 高いチョコてどんくらいか分かんないけど、徳永さんは、俺がすっごくビックリするような値段のものを、普通に使ったり食べたりしてるから、世の中にはうんと高いチョコがあるのかもしれない。

 困ったな。俺は一応貯金してるけど、それで足りるんだろうか。
 いや、さすがにいくら高くても、チョコだ。足りるとは思うけど、そんな調子でお金を使ってたら、あっという間になくなってしまいそうで怖い。俺の収入は、コンビニのバイトだけだし。

「直央さん、なら、手作りはどうですか?」
「ふぇ?」

 俺がよっぽど変な顔をしていたのか、純子さんは困ったような、でもちょっとおかしそうな顔で声を掛けて来た。



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