恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

2015年01月

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大なり小なり150のBL質問


 いつもご訪問してくださるみなさまを始め、拍手・コメント・ランキングクリックしてくださるみなさまのおかげで、本日1月1日、「恋三昧」は7周年を迎えました。
 本当にありがとうございます。

 昨年は、「恋の女神は~」の更新に明け暮れた1年でしたが、結局それも完結しないまま年を越してしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 夏のお話とか、クリスマスのお話とか、ネタとしてはあったんですが…。
 それは今年への持ち越しです。

 また、1年前の今日にも同じことを書いたのですが、今年もまた1月から3月に仕事が劇的に忙しくなるだけでなく、去年はサブだったその仕事を、今年はメインでやることになるため、思ったような更新が出来なくなるかもしれません。
 新年の決意がこんなことで情けない気持ちでいっぱいなのですが、出来るだけ途切れることなくお話をアップしていけるようがんばりますので、今年もよろしくお願いいたします。


 それでは恒例の、誰も知りたくないだろうし、そろそろネタも尽きて来ている、私のことバトン。
 もうマンネリだろ、やめちゃえよ、ともう1人の私が言いはしたんですが、まぁ毎年やってることだし、新年1発目の更新が挨拶だけなのも何なので、今年もやっちゃいます。

 「studioCHAOS. -腐った総合配布所-」様からお借りした、「大なり小なり150のBL質問」です。

 興味のあるかたは、どうぞー!


個人的に過激目の質問を詰め込んでみました。

今は懐かしの大なり(>)小なり(<)、たまにイコール(=)で、どちらが好物(マシ)か回答してください。
一部、過激表現が含まれていますが、あくまでフィクションです。物語の中だけのお話です。
現実では犯罪です。捕まります。
不快に感じる方もいらっしゃるでしょうから、ご理解いただける方のみご利用ください。

真ん中の部分に記号を書いてください。


1. BL > ノーマル
 BL > NLのドエロ > GL >>>(越えられない壁)>>> NLのエロなし て感じ。

2. オリジナル = パロディ
 一次創作も二次創作も好き。
 その昔、ジャンプ系にめっちゃはまってた。

3. 作家買い > レーター買い(挿画)
 そもそもレーター買いの意味が分からないんだが、その後ろに(挿絵)てあるから、例えばCDのジャケ写買いみたいなもんかと思って、そういうつもりで答えた。
 レーター買いて、ググってもヒットしなかったよ!

4. 漫画 = 小説
 どっちも好きだけど、最近頭悪くなってきて、文字読むのがしんどいから、マンガのほうがいいというときもある。

5. ハッピーエンド > バッドエンド
 わざわざバッドエンドである必要もないかな、と。

6. 泣ける話 = 笑える話
 泣けても最後はハッピーエンドならいいし、笑えるのも自分の苦手な感じの笑いだったら無理。

7. 出会い > 別れ
 すっごい話が上手なら別れもありだけど、基本的には出会いのほうが。
 別れならそこで話は終わりだけど、出会いなら、そこから話が膨らむしね。

8. 入学式 > 卒業式
 まぁ、どっちでもいいっちゃーどっちでもいいんだけど。
 そんなに特別なイベントでもない。
 でも問7のとおり、出会いのほうが話が膨らむし。

9. 暗い過去 ? 重い過去
 暗い過去と思い過去の違いが分かんない、そもそも。

10. 偶然 ? 必然
 何が?

11. 義務 ? 権利
 この150の質問て、BLについて聞いてるんじゃないの?

12. 事件 = 平和
 よく意味分かんないけど、何か事件的なものが起こんないと話が進まない気もするし、何もないただただ平和な日常でも、まぁ書きようによってはおもしろいかと。

13. 理性的 < 感情的
 実際に周りにいたら面倒くせぇな、とは思うだろうけど、お話の中のキャラとしてはかわいいかな、と。

14. 日本 > 外国
 外国は分かんない。日本がいい。

15. 自由 > 束縛
 自由ていうか、奔放がいい。

16. 抵抗 > 征服
 この両者をどう比べればいいのか分かんないけどね。
 大人しく征服されるのと、抵抗しまくるのだったら、やっぱり抵抗かな。

17. クール < 愛嬌
 クールは別にいい。
 やっぱり愛嬌があったほうが。そんでもって、ちょっとバカがいい。

18. 綺麗 < 可愛い
 これ、想像すると、綺麗 = クール、可愛い = 愛嬌、て感じだな、と思って。
 ちなみに私は、綺麗も可愛いもひらがなで書く派だけどね。

19. 軟派 = 硬派
 どっちも好きなんじゃなくて、どっちも無理。
 言葉から想像する軟派と硬派なら、どっちも無理。
 私の中で硬派は、昔のマンガの番長てイメージなんだけど。長ランで下駄。学生帽被ってて、ガタイよくて、口に小枝とか銜えてんの。
 軟派ていうと、いわゆるチャラいみたいな? それもマジで無理。

20. 短髪 = 長髪
 短すぎず長すぎずがいいけれど、似合ってれば何でも。

21. 黒髪 > 茶髪
 何だかんだで黒髪萌え。
 生身の人間も、黒髪のほうがいい。

22. ヒゲ有 < ヒゲ無
 ヒゲが生えない男はいないけどね。それでもやっぱり。
 でもこの間リアルで、すっごいすてきなヒゲメガネに出会ったー!

23. 眼鏡 > 裸眼
 眼鏡の反対語て裸眼か?
 でもまぁ、言うまでもなくメガネラブですけどね! メガネ男子ラブ!

24. 釣り目 = 垂れ目
 どっちでもいいわー。

25. 金持ち < 貧乏
 貧乏! 貧乏!! 直央くん!

26. 和装 = 洋装
 どっちでもいいかな。
 和装はめったにしないという意味で、洋装よりはテンションが上がらないでもないけど、特別な萌えもない。
 和装が一般的な世界観(時代物とか)が特別好きなわけでもないし。

27. 天然 > 鈍感
 鈍感も好きだけどね。天然には敵わない。で、本人は自分がしっかり者と思ってるのがいい。

28. 地味 = 派手
 どうでもいい。考えたこともない。

29. 多弁 = 寡黙
 軟派と硬派のときと同じで、言葉の響きが硬すぎて、どっちがいいか考えらんない。
 お喋りと無口なら、お喋りのほうが好きかな。

30. 悪魔 = 天使
 どっちをメインにお話を書いてもおもしろい。
 どっちも悪魔なのに・天使なのに、クセがあるのがいい。

31. ワイルド = マッチョ
 ワイルドとマッチョて、比べるものかな。
 どっちもちょっと無理だけど。

32. ブレザー < 学ラン
 制服萌え皆無なんだけど、どっちかなら学ランかな。

33. マイナス思考 = プラス思考
 カズちゃんとむっちゃん。そんな感じ。

34. 受け = 攻め
 どっちが、てことはない。

35. 受け視点 = 攻め視点
 本当のことを言えば、三人称が好き。

36. 受けからの告白 < 攻めからの告白
 基本、受けがめっちゃ愛されてるのが好きだから、攻めの片想いに萌える、そもそも。

37. 元々ゲイ・バイ 元々ノンケ
 受け……元々ゲイ・バイ > 元々ノンケ
 攻め……元々ゲイ・バイ < 元々ノンケ

 結構この設定で書いてる。

38.擬人化 > 人外
 例えば、むっちゃんが携帯電話だったら、すぐに充電切れて寝ちゃうだろうなぁ、とか考えるの好き。

39. 身代わり・代用品 > 裏切り・復讐
 身代わりで付き合ってたけど、いつの間にか本気で好きになってた、みたいのが好き。

40. 手元に置いて若紫計画 = 遠くから見守る足長おじさん
 どっちもそれなりに気持ち悪い。

41. S = M
 攻めがSで、受けがMです。私自身はMです。

42. 迫られる = 迫る
 迫られる攻め、迫る受け。

43. 愛情 > 憎悪
 憎悪からのハッピーエンドだとしても、だったら冒頭から愛情いっぱいの話のほうがいい。

44. 嫉妬 > 独占欲
 まぁ、面倒くささで言ったら、どっちもどっちなんだけど。
 カズちゃんみたいに、嫉妬深い自分を何とかしようとがんばるのがかわいい。

45. 飢える ? 飽きる
 飢えると飽きるをどう比べたらよいのやら。

46. 子供扱い < 年寄り扱い
 年上が年下を子ども扱いして、年下の子が「もー、また子ども扱いして!」とか言って拗ねたり怒ったりしても萌えないけど、年下が年上をおちょくって年寄り扱いするのはおもしろい。

47. ベタ甘 = 辛辣
 攻めが受けをベタベタに甘やかす。受けは無意識に辛辣。これ鉄板。

48. カップルだらけの男子校 < 一応普通の共学校
 女の子萌え。
 むしろ、腐女子だらけの共学校がいいです。

49. ベッド < ソファ
 これはあれですよね? 別に私の好きな家具について聞いてるわけじゃないですよね?
 キャラにセックスさせるなら、どっちがいいかってことですよね?

50. 生徒会室 = 生徒指導室
 どっちでもいいです。高校生以下にはそんなに興味ないし、生徒会長とかもどうでもいい。

51. 部室 < 体育倉庫
 どっちでもいいっちゃあ、どっちでもいいけど。
 学生のころ部活入ってなかったから、部室がどんな雰囲気なのかよく分かんない。

52. トイレ > 屋上
 これもやっぱりあれですよね? 私の好きなひと気のない場所について聞いてるわけじゃないですよね?
 屋上と比較するということは、学生設定・学校が舞台、てことなんですかね。そういう意味ではどっちでもいいんだけど、飲み屋のトイレとかは萌え。

53. 社長室 = 会議室
 全然どっちでもいい。どっちも萌えない。

54. ナルシスト = 俺様
 どっちでもいい。
 というか、どっちも面倒くさそう。

55. 亭主関白 < 嬶天下
 受けが女王様。私の鉄板。

56. 異世界トリップ = 過去・未来トリップ
 こういう、現実には起こり得ないことは、結構苦手。

57. 親友 = 幼馴染
 どっちも嫌いじゃないけど、それがカップルだと考えると、その関係性自体に萌えはない。

58. 同僚 = 上司
 リーマンていう設定自体に萌えがない。

59. 執事 > 秘書
 BLにおいて、秘書に萌えはないから、やっぱり執事かな。
 AVなら、執事より秘書ですが。やっぱり秘書はミニスカ女子でしょ! スカートの下がいやらしい…(自重します)。

60. 可愛い・美人先輩 > カッコいい先輩
 キャラは「かわいい」が基本です。

61. 可愛い・美人後輩 > カッコいい後輩
 キャラは「かわいい」が基本です。大事なことなので、2回言いました。

62. 美人秘書 = 男らしい秘書
 まぁ、秘書の時点で萌えがないからね。
 もし秘書が女性なら、男らしい秘書かな。桜子お姉さん!
 てか、「ひしょ」を変換したら、「秘所」になった…。さっきも秘書て打ってたのに。バカ!

63. 美人社長 = 男らしい社長
 社長ということ自体には萌えがないんですってば。

64. 強引 = 健気
 攻め……強引(だけどヘタレ)
 受け……健気(だけど強気)

65. 初心 < 経験豊富
 初心も好きですけどね。でもやっぱり経験豊富で!

66. おしおき = ご褒美
 お仕置きもご褒美も、それ自体は嫌いじゃないけど、セリフでわざわざ「お仕置きするよ?」とか、「ご褒美を上げる」とか言われると、恥ずかしくてむず痒くなる。

67. 八方美人 = 猫かぶり
 どっちもあんまり好きじゃない。
 好きな人の前でよく見られたくてがんばるのはありだけど、猫を被るほどになるとちょっと無理。

68. 同い年 = 年の差
 これもどっちでもいいです。すみません。
 年齢差があっても、それをうまく活かしてお話が書けない私。年齢差があるのに、同い年のような関係性になる。

69. 実兄弟 = 義兄弟
 近親相姦的な感じなら実兄弟がいいですけど(背徳感…!)、ラブイチャ的な感じなら義兄弟かな。

70. 実父 = 義父・養父
 というか、父親が無理。そういう近親相姦は無理。
 BLに登場する父親は、空気。

71. 弁護士 = 検事
 どっちでもいいです。BLにおいて、想像したこともないジャンルだった。

72. 病弱 < 健康
 健康第一。

73. 野心家 < 腹黒
 明るい腹黒が好き。策士とか。

74. 健気 < 我侭
 健気なら、健気過ぎない健気ならいいけど、ワガママには敵わない!
 受けのワガママに、攻めが振り回されっ放しなのがいい!

75. 離婚 = 再婚
 婚姻関係を、BLにおいて、どうしたらいいものか…。
 でも、バツイチ子持ちとかな。萌えるんだけど、この場合、どっちになるの?

76. 不倫 < 略奪愛
 人妻萌えがないから、不倫はあんまり萌えないな。AVでも、人妻モノ見ないし。
 略奪愛は、お話書いたことあります。

77. 同棲 < 同居
 BLで、何がどう違うんだ、て気もするけど…。
 でも、同居より居候のほうが萌える。

78. 情人 < 愛人
 同じ意味じゃねぇの?
 でも、情人て言うと、任侠物の雰囲気があるよね。私の中だけかもだけど。そういう意味で、愛人にした。

79. 新妻 = 花嫁
 BLにおいてなのに、この質問?
 もし女子なんだとしても、どっちも萌えないけど。AVでも、人妻モノとか興味ない。

80. 女王様 > お姫様
 受け的な意味でね。
 ファンタジー的な意味なら、どっちも興味がない。

81. 騎士 = 王様
 そういう世界観に興味がない。

82. 鬼畜 < ヘタレ
 鬼畜て、いまだに意味がよく分かんない(言葉の意味でなく)。
 でも鬼畜ていうと、話がすごく暗くなりそうだから、嫌かな。
 まぁ、何だかんだ言っても、ヘタレ攻めには勝てないけどね!

83. ダメっ子 = ドジッ子
 どっちも言葉の響きはかわいいけど、ダメっ子は、性的な意味でダメで愚図な攻め、ドジッ子は、その言葉どおりかわいい感じの受け、てのがいい。

84. 甘え上手 < ツンデレ
 甘え上手も好きだけど、ツンデレには敵わない。ツンデレ大好物なんで。
 甘え上手より、素直に甘えられない甘え下手が好き。

85. ペット < 下僕
 どっちでもいいんだけど、言葉の響きが下僕のほうが好き。

86. 貞淑 = 奔放
 性的な意味で言ったら貞淑のほうがいいけど、そうでない意味なら奔放のほうがいい。
 でも、性的な意味で奔放なのも、結構好物だけど。

87. 敵同士 = 味方同士
 どっちでもいいです。そんなんばっかですみません。守備範囲狭いです。

88. 一人称・俺 > 一人称・私
 仕事上とか、TPOに合わせて「私」て言うならいいけど、そうでないのに自分を「私」呼びする男はちょっと…。
 いや、ちょっとていうか、かなり嫌…。

89. 二人称・君 < 二人称・お前
 これは、誰か相手のことを「君」と呼ぶか、「お前」と呼ぶか、てことだよね?
 つか、「君」て呼ぶ人、いるのか?

90. 過去のトラウマから素直になれない = 恋人と未来への不安から距離ができる
 むっちゃんとハルちゃん。

91. 羊の皮をかぶった狼 = 狼の皮をかぶった羊
 どっちでもいい。
 どっちも全然ピンと来ない。

92. 性癖が周囲にバレてドロドロ < 性癖が周囲から受け入れられる
 自分がお話を書く中で、わざわざ性癖が周囲にバレてドロドロの状況を書く場面がない。
 バレてドロドロなのかもしんないけど、そんな状況を書くより、2人のいちゃいちゃを書いてるほうが楽しいし。
 周囲は空気。

93. 家族にカミングアウト済み > 家族にひたすら隠し通す
 カミングアウトしてるつもりはないんだけど、いつの間にかバレてる、ていうのがいい。
 え、隠してるつもりだったの? ていう。
 マコちゃんは、自分からカミングアウトしてるけどね。

94. 体から始まる恋 = 心から始まる恋
 どっちも萌える…!
 体から始まるのはベタで王道だけれど、廃れないよな。

95. 攻めに痴漢から助けられる = 攻めに痴漢される
 痴漢モノは外せない。

96. 転生したら同じ人と ? 転生したら違う人と
 転生?

97. 10年越しの恋 > 一夜限りの恋
 長く付き合い過ぎちゃって、すっかり夫婦、みたいのがいい。
 色気のないセックスとかしてるの。

98. 弱っている相手に付け込む = 弱っている相手に寄り添う
 どっちもありっちゃーありだけど、そこから何かが始まってほしい。

99. リーマンモノ = 学園モノ
 BL界において、これほどの王道設定に対して、まったく何の萌えもないです、すみません。嫌いなわけじゃないんですけどね。
 つか私、「学園」ていう言い方が恥ずかしい。
 学園て言うと、すごいお金持ちのお坊ちゃまが通ってるような、一般とはかけ離れた場所、て雰囲気がある気がする。言葉の響き的に。
 別にそれはそれでいいんだけど、そういう学園に萌えはない。

100. 極道モノ ? お砂モノ
 お砂モノが分かんない。
 ググってみたけど、答えはなかった。

101. 現代モノ > 時代モノ
 BLにおいては、現代日本が私のデフォルト。

102. 医者モノ < 刑事モノ
 もともとミステリも好きですしね。
 でも刑事より探偵のほうが好きだけど。

103. 年下攻め = 年上攻め
 さっきも言ったけど、年齢差はどうでもいいです。
 年齢差があっても、ないような関係の2人しか書けないし。
 ならば、うんと年の差がある2人ならどうか、と考えると、それこそ萌えがない。

104. 敬語攻め > 紳士攻め
 同級生にも敬語を使うような敬語クールキャラはゴメンだけど、単純に年下だから敬語、ていうなら、萌えはないけどオッケー。敬語言葉責めは萌えないけどね。
 紳士は別にどうでもいい。

105. オヤジ攻め = オヤジ受け
 どっちも無理。てか、オヤジが無理。
 オヤジていう言葉がよくないのかな…。オヤジていうと、私の中で、薄汚い太って脂ぎったオッサンしか想像できない…。ひどい。

106. 極道攻め = 極道受け
 極道ということに萌えがない。

107. 遊び人攻め > 純情攻め
 女癖とかめっちゃ悪くて、遊びまくってる攻めに萌える。
 でもここで受けが、健気にそれに耐えてるとかだったら萌えないの。そっちがその気なら…て、自分も浮気しちゃうとか、そんなのがいい。目には目を。

108. 遊び人受け < 純情受け
 かといって、受けは純情でいてほしい。
 やられたらやり返すけど、そうでなければ純情。

109. 乙男攻め > 乙男受け
 乙男て、乙女みたいな男って意味であってる?
 まぁ、そういう男が好きなわけではないけど、受けはより男らしいほうが好きだから、どっちかを選ぶんだとすれば。

110. ヘタレわんこ攻め > ヘタレわんこ受け
 ヘタレわんこ攻め…!
 何てすてきなジャンル…!! 何て願ったり叶ったり…!

111. 性格男前受け > 見た目男前受け
 もちろん、見た目男前なのも大好きなんですけど、性格が男前な受けはもっと好きなわけです。

112. 包容力のある攻め > 冷淡な攻め
 特に、包容力のある攻めがいい! て思ってるわけじゃないけど、私の書く受けが受けだから、つい、攻めは包容力がある子になる。

113. 家事ができる攻め > 家事ができない攻め
 受けより料理が上手な攻めがいい。

114. 家事ができる受け < 家事ができない受け
 出来てもいいんだけど、全然出来なくて、全部攻めにやってもらうののほうが萌える…。むっちゃん…。

115. 恋人と死別した攻め = 恋人と死別した受け
 死別てことが嫌なんだけど、そういう過去を持つ人と出会って……みたいな話だったら、読めるかな。

116. 先輩×後輩 = 後輩×先輩
 もう何度も言ってるけど、年齢差とかそういうの、どうでもいいです。すみません。

117. 優等生×問題児 = 問題児×優等生
 問題児なんだけど、攻めの優等生には敵わないとかでもいいし、優等生が絡まれてんのを問題児が助けてやって、惚れられちゃうのでもいい。
 てか、優等生でなくていいです。普通の人でいい。

118. 先生×生徒 > 生徒×先生
 萌えってほど萌えでもないけど、この設定ならやっぱり先生攻めかな。

119. 主×従 = 従×主
 そもそも主従関係自体が好きじゃない。

120. 社長×秘書 = 秘書×社長
 萌えないなぁ、どっちも。
 どうせなら社長と平社員とかがいいな。

121. 上司×部下 = 部下×上司
 リーマン、萌えないです。

122. 医者×患者 = 患者×医者
 医者というのも萌えないのです。

123. 兄×弟 < 弟×兄
 どっちでもいいけど、どっちかといえば。

124. 受け×受け > 攻め×攻め
 にゃんにゃん。

125. 攻めの束縛 > 受けの束縛
 束縛自体、そんなに好きじゃないけど、どっちかといえば攻めかな。
 てか、束縛したいけど、嫌われたくないから束縛できない……てジレンマに悩んでるのがいい。

126. 女装 = ケモミミ
 女装は真大タンみたいにノリノリでもいいし、カズちゃんみたいに恥ずかしがってくれてもいい。
 ケモミミはフェイクでも、本物(?)でもいい。しっぽもお願いします。

127. 上半身パジャマ > 上半身Yシャツ
 女の子だったら、上半身Yシャツ(男物)に萌えるけど、男ならパジャマかな。
 てか、2人で1つパジャマを分け合ってるとか…!!

128. 服着たままシャワールーム > 真っ裸姫抱っこでシャワールーム
 断然、服を着たままシャワー。シャツが濡れて乳首とか透けてたら……ジュルリ。
 てか、真っ裸でお姫様抱っこって、何か間抜けじゃないか? その格好で、ベッドからシャワールームに行くの? それともシャワールームで抱き上げるのですか?

129. 監禁 < 緊縛
 監禁はちょっと暗くて重すぎる…。
 緊縛プレイは好きですよ。そういうAVばっかり見てる。BLじゃなくて、女の子の出てるヤツ。

130. 翻弄する = 翻弄される
 翻弄する受け、翻弄される攻め。
 基本、受けが優位。

131. 肉体的 ? 精神的
 エロかプラトニックか、てこと?
 意味が分かんない。

132. 再会 < 腐れ縁
 再会よりは初対面。
 それよりも腐れ縁。
 幼馴染は萌えないて答えっちゃったけど、腐れ縁て言われると、何かいい。言葉の問題だけど。

133. ショタ = オヤジ
 キャラにもよるけど、昔ほどショタは嫌いじゃなくなった。でも中学生くらいね。小学生は無理。
 オヤジについては、さっきも言ったとおり。言葉の響きがよくない。

134. 快楽 = 苦痛
 性的な意味ですかね。
 快楽ばっかりでもいいけれど、やっぱりMな感じも捨てがたいですよ。

135. 積極的 = 流されやすい
 性的な意味ですかね。
 これはどっちも好物ですねー。受けでも攻めでも。 

136. 従順 < 抵抗
 性的な意味ですかね。
 この2つが対比されるということは、無理やりされて、従順か抵抗か、ということでしょうかね。
 ならばやっぱり抵抗でしょうね。

137. 押し倒す = 押し倒される
 押し倒す受け、押し倒される攻めです、予想どおりと思いますが。

138. 野外 < 室内
 どこまで、何をするかにもよりますが。
 性的な意味で最後までするなら、やっぱり室内ですかね。

139. 調教 = SM
 これはどっちも捨てがたい。変態だから。

140. 和姦 = 強姦
 基本は和姦がいいんだけど、強姦でもいい。強姦でもいい、て……言い方がよくないけど。
 でも、強姦の場合、設定もあると思うんですよ。
 誰か知らない人から強姦されて、攻めに慰めてもらうとかでもいいし、攻めの我慢が効かなくなるというのもいいよね。

141. 自慰 = 他慰
 他慰て、初めて聞きましたけど。
 わざわざのプレイだとしたら、そんなに萌えないけど、まぁどっちも同じくらい好きです。

142. 抜く = 嵌める
 すっごい赤裸々な質問! ハレンチ! どっちも好き!

143. 正常位 < 後背位
 悩むなぁ…。でもバックで! 受けがバック好きだったら萌えないですか?

144. 他者からの性的暴行 ? 他者からの性的暴行未遂
 よく分かんない…。
 どっちも萌えない! じゃなくて、どう萌えていいのか分かんない…。

145. 受けを庇い刺される = 攻めを庇い刺される
 刺されるような行いはしない設定でお願いします。

146. 「好き」と伝える < 「好き」と言えない
 だからこそのツンデレだし。

147. 激しく燃え上がる愛 ? 優しく包み込む愛
 具体的にどんななのか例がないと、よく分かんないです、すみません。
 どっちもそんなに…かもしれない。
 淡々としてるか、キャッキャしてるのがいい。

148. 「好き」=「愛してる」
 どっちでもいい。
 特別なこだわりはなくて、そのキャラとその場の雰囲気によって使ってる。

149. BLは大好き > BLは大嫌い
 でも最初に言ったとおり、GLもドエロなNL好きですよ。
 ちなみに、BLはプラトニックでもいいけど、GLは、がっつりエロがいいです。NLもね。男性向けのAVとかエロマンガとか、結構いっぱい持ってる…。

150. この質問、私にはかなり恥ずかしかったよ! < この質問、私のヤバさからしたらまだまだだね★
 恥ずかしがる部分は特になかったです。




今年もよろしくお願いいたします。
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カテゴリー:notes

恋の女神は微笑まない (230)


「…ちーちゃん、ダメだよ、簡単にそんなこと言っちゃ。勘違いする男、いるよ?」

 大和が苦笑している。
 勘違いする男、か…。これまで千尋が出会って来た男の中には、もしかしたらそういう人もいたかもしれないけれど、これから先は当分、そんな人もいないだろう。
 だって、そんな勘違い男が現れるのは、千尋がそういう発言をすることが、そもそもの条件だ。

「いないよ、そんな人」
「何でそんなこと言い切れるの?」
「だって、こんなこと、他の誰かに言わないし。俺、超枯れてるから」
「…………」

 あまりにも千尋がきっぱりと言ったからだろうか、大和は驚いているようだ。
 これで大和とお別れして、千尋がすぐに次の男に、次の恋に向かうと思っているのだろうか、大和は。…そこまで大和のことを、どうでもいいとは思ってないよ。

「えっと、ちーちゃん…、突っ込みたいところが2つあるんだけど…」
「え、2つも!?」

 今、かなりの正論を述べたつもりだったのに、2つも突っ込みどころがあったなんて…。

「あのさ…、他の誰かには言わない、て…………それって相手が俺だから言ったみたいじゃん」
「え? あ…」
「しかも、勘違いする男はいないなら、言われた俺は、言葉どおりの意味で受け取っていいってこと? それとも俺なら、言葉どおりに受け取っても、勘違いするようなことはない、てこと?」
「えっと…」

 思わず『上がってく?』なんて言ってしまって、それを取り繕おうとしたら、かえっておかしなことになってしまった。
 でも確かに、突っ込みたいところがある、と言った大和の言うとおり、千尋の発言は、突っ込みどころ満載だ。

「それと…、枯れてる……て何?」
「あ、それは言葉どおりの意味」

 2つ目の突っ込みの答えは、すぐに出た。
 答えやすそうなほうから、答えておく。

「だってさ、合コン誘われたのに、全然行く気になんないの」
「!!?? ごっ…」
「もうすぐクリスマスでさ、俺、1人なのに。別に大和くんに気を遣ってるわけじゃないんだよ? 全然そんなじゃないのに、何か面倒くせぇな、て思っちゃって」
「へ…へぇー……」



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カテゴリー:映画のような恋がしたい。(だって最後は決まってハッピーエンドだ。)

恋の女神は微笑まない (231)


 ちゃんと説明したのに、大和がちょっと困ったような顔をしている。
 気を遣っているわけではない、とか言ったのがまずかったのだろうか。気を遣っていないんではなく、そういうことを気にしなければならないほど、別れたばかりではない、という意味だっただけれど。
 そうだとしても、大和に対して言うには、適切でなかったか。

「あの…、一応言っておくと、別に大和くんのことを蔑にしてるわけじゃないからね? うまい言葉が出て来なかっただけで」

 おかしいな、最後の最後だから、ちゃんとしようと思ったのに、何だかどんどんグダグダになっていく。
 最初に千尋が、『上がってく?』なんて言っちゃったのが悪かったし、大和が突っ込みたくなるのも無理はないが、ふと思ったんだけれど、大和の突っ込みにだって、ちょっと物申したい。

 大和は、千尋が『上がってく?』と言ったことに対して、勘違いする男がいると言ったけれど、だとしたら大和の発言だって大概だ。
 千尋のことを大切な人だと言い、傷付けたから謝りたかったと言い、果ては、千尋のことを嫌いになっていないし、嫌いになる努力もしなくていいんだよね? なんて言ってきて。
 こんなこと言われたら、普通は勘違いしちゃうと思う。

 だって、別れた2人。
 そんなことを言われたら、やり直したいんだと思うに決まっている。

 別に千尋は勘違いしないけど。
 大和の言葉を勘違いして、ちょっと期待して、でもそういうことでなかったから、期待を裏切られたのが悔しくて、こんなことを思っているわけじゃないけれど。
 でも、相手が千尋じゃなかったら、きっと勘違いしちゃうよ、バカ。

「ちーちゃん、どうしたの?」
「何が?」
「泣きそうな顔してる」
「何で? してないよ」

 どうして千尋が泣かないといけないのか。
 大和に顔を覗き込まれそうになって、別に泣いていないし、泣きそうでもないし、何でもないのに千尋は顔を背けた。

「もう帰る。じゃあね大和くん、送ってくれてありがとう」
「待って、ちーちゃん」

 急に逃げるような態度を取ったように見えたかもしれないけれど、もうこんな時間だし、家に着いたのにずっとこうしているのも変だから、千尋は早口でそう言って、ノブに手を掛けた。
 それなのに、ドアが開きかかったのに、大和が千尋の腕を引くから、半ドアみたいになってしまった。



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恋の女神は微笑まない (232)


「…何?」

 抵抗するのも何だか狼狽えているみたいなので、千尋は特に声色を変えるでもなく、普通に大和に聞き返した。
 先ほど大和が、泣きそうな顔をしていると言って、千尋は顔を隠したけれど、そんなことないって見せつけるために、千尋はわざと大和のことをまっすぐに見つめた。

「待って、ちーちゃん」
「待ってるよ、何」
「もうちょっと…………もうちょっとでいいから、ちーちゃんと話したい」
「…………」

 何で、とは言葉が続かなかった。
 さっき明日は普通に仕事だって言ったじゃん。もう忘れたの? と言ってやろうと思ったけれど、千尋は何も言えなかった。

 千尋は頷きもしなかったけれど、首を横にも振らなかった。何を話したいのかは知らないが、大和の次の言葉を待った。
 大和が、半ドアになっていた助手席のドアを閉め直したから、ルームライトが消えて、車内が暗くなる。

「…最後に教えて? 結局のところ、ちーちゃんは俺のこと嫌い? 好き?」
「え…」
「まぁ、週刊誌のことともあったし、好意を持たれてるとは思ってないけど…、ものすごく大嫌いなのか、そこまで嫌いじゃないけど付き合うほどじゃないとか…………どのくらい?」
「そんなの…」

 大和の突然の質問に、千尋は激しく動揺した。
 自分で自分の顔は見えないから分からないけれど、きっと表情だけで、その戸惑いが大和にばれてしまうくらいには、動揺している。

 だってそんな。
 そんなこと聞いて、どうするの? これで大和と会うのは最後なのに。これでもう、大和と千尋が会うことはないのに、千尋の気持ちを知ってどうするの?

 この状況で『嫌い』と言ったら気まずい空気になるだろうに、最後の最後にそんな別れ方するの? ここまで、別れてしまった2人とはいえ、ここまで何となくいい流れで来たのに。
 それとも、そういう状況だから聞いてきたとか? 嫌いとは言いづらい雰囲気だから、わざと聞いて来たの?

 だからって、好きだと言われたって困るでしょう? 縒りを戻したいわけじゃない、と言った手前、今さら千尋に好きだと言われたって。
 いや、それ以前に、大和は千尋のことを嫌いになっていないと言っただけで、別に好きだとも言っていないんだから、そういう意味でも、好きと言われたら困るだろう。
 大体、『週刊誌のことともあったし、好意を持たれてるとは思ってないけど…』とか、千尋の気持ちを勝手に決め付けないでほしい。



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恋の女神は微笑まない (233)


 ――――千尋の気持ち?

 そもそも、千尋の気持ちって何だ?
 例えばこの場の空気とか、大和への配慮とか、そういうものを一切抜きにして、千尋の気持ちって…………本心て?

 嫌いではないけれど付き合いたいほどではない、という気持ちから始まって、しかし週刊誌の件で、大和とは付き合いたくないと思うようになったわけで。
 ならば、週刊誌のことがなかったら、そのまま大和のことを好きになっていたんだろうか。お付き合いしたいと思えるほどに。

 確かに、大和と一緒にいるのが嫌だったことはないし、楽しかったと思う。
 あの週刊誌の件がなかったら、お試しでなく、ちゃんとお付き合いしたい、と思えるようになっていたかもしれない――――けれどそれは、飽くまで可能性の話だ。
 週刊誌の件は実際にあったことで、それを抜きにして考えるなんて出来はしない。どうしたって、そのことを踏まえて考えてしまうに決まっている。

 今だって、別に大和のことをすごく大嫌いなわけじゃないし、恋愛感情云々はともかく、これでもう会えなくなると思ったら、寂しさを感じるくらいには好きだけれど。
 けれど、大和とお付き合いをしたら、また、あの週刊誌のときのような思いをするかもしれないと思ったら、大和とは付き合えない。
 まだ起こってもいないことを気にしたり、心配したりするのはバカげているし、確かそんなことを遥希に言ったこともあるけれど、千尋の場合、1度は経験しているのだから、仕方がない。

 千尋は、自分らしく生きられないのが、一番嫌だと思う。
 自分のセクシャリティを否定されるのは嫌だし、髪型を変えたのはあの週刊誌のせいではないけれど、そんなふうに見た目も気にしなければならないとか、絶対に嫌だ。

 だから、やっぱり大和とは付き合えないのだろう。
 大体、1度は『お付き合いしない』と断言しているのだ。今さらなかったことになんて出来ないし。

 いや…、今大和は、好きか嫌いかを聞いているだけで、付き合うかどうかの話なんてしていないから、そこまでは考えなくていいのか。
 好きなら、その後には付き合うかどうかの問題が出て来ると思ったけれど、そもそも大和は、千尋と縒りを戻したいわけではないと言っていたのだから、そこは考えずに、単純に好きかどうかだけを言えばいいのかな。

「…ゴメン、最後に困らせた。いいよ、答えなくても。分かったから」
「……」

 千尋がなかなか答えなかったから、大和は困ったように笑って、そう言って来た。
 答えなくていいのはいいけれど、『分かったから』て何だろう。千尋の気持ちが分かったってこと? 今、こんなにいろいろ考えて、悩んだことみんな分かったの?



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恋の女神は微笑まない (234)


「じゃあ、言って」
「え?」

 急に頭の中がすっきりしたような、でも心の中がヒンヤリするような、そんな気持ちになって。
 ずっと何の言葉も出ないでいたのに、千尋は大和の目を見つめ、きっぱりと言った。

「何が分かったのか言って。大和くん今、『分かったから』て言ったじゃん。何が分かったのか、ゆってよ!」

 自分では何も答えなかったくせに、千尋はそんなことを言って、大和のことを困らせる。
 でもいい、千尋のことをこんなに悩ませたんだから、最後にうんと困らせてやる。
 それで千尋のこと、すごく嫌いになってくれたらいい。これでもう会わないんだし、付き合うわけでもないんだから、あんな嫌なヤツがいたんだって、それでいいから、ずっと大和の心の中にいてくれたらいい。
 嫌いになんかなってないとか言わないで、好きでもないんだったら、嫌いになってよ。

「ちーちゃん、」
「ふぇ…うわぁーんっ!」

 さっきは、泣いてないし、泣きそうでもないと思ったけれど、我慢できずに千尋は声を上げて泣き出した――――大和の腕の中で。
 どうしてなのか、千尋は大和に抱き締められていた。こんなの変だ、2人は付き合っているわけでもないのに、こんなことをしているなんて、おかしいよ。
 でも、何だよ離せ、て言いたいのに、涙が止まらなくて喋れない。

「ちーちゃん、ゴメン。ゴメンね」

 ホラ、また。
 また大和が謝っている。
 別に、謝ってほしいわけじゃないのに。

 大体、大和はすごく勝手だ。千尋だって十分に勝手なヤツかもしれないけれど、大和だってそうだ。
 謝りたいから会いたいなんて、たまたま千尋がそこまで怒ってなくて、そこまで大和のことを嫌いになってなかったからよかったようなものを、そうでなかったら迷惑千万な話だ。
 しかも、会って、謝って、それでもういいだなんて。

「もう…嫌いだ、てゆってよ! 俺のことなんか嫌いだ、て!」

 もう謝らなくていいし、何が分かったのかも言わなくていいし、だから一言、嫌いだって言って。
 そうしたら千尋は、明日からも生きていける。



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恋の女神は微笑まない (235)


「…ゴメン、無理。ちーちゃんのこと、嫌いになんかなれないよ」
「何で!」

 何度も千尋に謝ってくれるくせに、千尋のお願いは全然聞いてくれないなんて。
 何で嫌いになってくれないの? 嫌いになってくれたら、もう会えなくても、これで離れ離れになっても、平気でいられるのに。

「何で、て…。ちーちゃんこそ、何で? 何でそんなに、嫌いになれって言うの? 確かに最初のときからそう言ってたけど」
「ッ…」
「答えられないならいいんだけど、でも、さっきも言ったけど、ちーちゃんのこと嫌いになるなんて無理だから。前のときみたいに、嫌いになる努力をしろって言われても、それは無理。ちーちゃんのこと忘れる努力はするけど、でも…」

 どうして大和は、千尋の思っているのとは違うふうに話を進めて行ってしまうんだろう、と思ったけれど、それは言うまでもなく、千尋が自分の思っていることすべてを、大和に言わないからだ。
 大和は千尋ではないから、伝えないことは分からない。分かったような気になることはあっても、正確にすべてが分かるわけではなくて、思い違いだってする。
 今日まで2人が、互いの気持ちを誤解していたように。

「忘れないでよっ!」
「え…」

 大和が1人で話を進めて行ってしまいそうだったから、千尋は何とか間に口を挟んだけれど、うまく言葉を纏められず、感情のままに言ったものだから、何だか変なセリフになったかもしれない。
 体を離して、大和の顔を見れば…………ホラ、大和も戸惑っている。
 けれど、もういい。大和だって、自分のしたいようにしたんだから、千尋だってそうする。言いたいことを言う。

「何で忘れるとか言うの、大和くんのバカっ…」
「だって…………好きなのに、もう会えないんだよ? 忘れなかったら、ツラいじゃん」
「………………え?」

 千尋は、感情のままに変なことを言っていたかもしれないけれど、それに対する大和の返答も変…というか、千尋にとって意外なものだったので、驚いて、高ぶった気持ちも収まってしまった。

「え?」
「ん?」

 千尋がきょとんとなったからか、大和もつられてきょとんとなった。
 つい数秒前まで、一見しただけでは修羅場かと思えるような雰囲気だったのに、2人とも相手が何に疑問を感じているのかが分からないせいで、頭の中を「?」でいっぱいにしてしまって、それどころではなくなってしまった。



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恋の女神は微笑まない (236)


「え、何、ちーちゃん」
「いや…、『何?』とかこっちのセリフだし。何言ってんの、大和くん」
「え、俺? いや、ちーちゃんが急に『え?』とか言うから、何かと思って」
「だって大和くんが変なこと言うから」
「変なこと?? え? 俺が?」

 千尋的には、本当に、『大和くん何言ってんの?』という心境なのに、大和は何をとぼけたことを言っているのだ。
 しかし、しらばくれているのではなく、千尋の言っていることが本気で分かっていない様子だ。

「えと…、俺、何か変なこと言ったっけ?」
「ゆったよ! 好き、てゆった!」
「それって……好きなのにもう会えないから、忘れなかったらツラい、て言ったアレ?」
「そーだよ! 何だよ、好き、て!」

 大和に念を押すように聞かれて、千尋はやけになって答えた。
 どうしてこんなこと、千尋の口から言わせるの。
 すごく格好悪い。

「…ゴメン。ホントは言うつもりはなかったんだけど、ちーちゃんが『何で忘れるとか言うの?』て聞くから、つい…。最後に嘘つきたくないし」
「………………。ちょ待って。は? 意味分かんない。嘘つきたくない、てどういうこと? 本気で言ったってこと? 言うつもりはなかったって? は??」

 ただでさえ、頭の中がこんがらがって来ているのに、大和の説明を聞いたら、ますますわけが分からなくなった。
 今大和が言ったことがすべて本当だったのだとすると、大和は千尋のことが好きだということになるわけで………………はぁ~~~????

「ちーちゃん…? え? あの…、大丈夫…?」
「大丈夫なわけないじゃん! マジで何言ってんの、大和くん!」
「ごゴメン…! あの、ゴメン、やっぱ忘れて! ナシ! さっき言ったことはナシで!」
「はぁ~~~!? ナシ~~!? どういうこと、やっぱ好きじゃないってこと? 何なの!? マジで意味分かんないっ!」

 好きだと言われたり、やっぱりナシと言われたり、嘘はつきたくないと言われたり、一体何を信じたらいいのか、さっぱり分からない。最後の最後に、どうしてそんな惑わすようなことをするのだ。
 千尋は頭を掻き毟りながら、どさりとシートに身を投げた。



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恋の女神は微笑まない (237)


yamato

 千尋が泣き出したのは、大和が、千尋の気持ちを分かったと言ったことが原因だった。
 しかし、分かってしまったものは仕方がない。
 大和のことをどう思っているのか尋ねられた千尋が、なかなか答えられなかったのは、大和のことは好きではないけれど、面と向かっては言いにくいから。そういうことなのだ。
 だから大和は、分かった、と言ったのだが…………千尋を泣かせてしまった以上、それは正しい答えではなかったようだ。

 泣きながら千尋は、またしても大和に、嫌いになって、と言って来た。
 けれど、どんなに千尋にそう言われても、やっぱり好きとか嫌いというのは理屈ではないし、千尋を好きという気持ちを無理に捻じ曲げることは出来ないから、正直に、無理だと答えた。
 最後くらい、千尋の望みを叶えてあげたかったけれど、好きなのに、嫌いだと言って別れることは出来なかった。

 その代わり、千尋のことは嫌いになれないけれど、忘れる努力はする。
 千尋としても、好きでもないヤツにいつまでも想われているのは気持ち悪いだろうし、大和も、もう会えない相手をずっと忘れられないのはツラいから。

 なのに、それを告げると千尋は、忘れないでと言い、どうして忘れると言うのかと尋ねて来る。
 嫌いになってくれと言うくらいなのだから、大和に忘れられるのは、千尋にとって有り難いことだろうに、一体どうしたことかと思いつつ、大和はありのままに胸の内を明かした。
 千尋のことが好きでも、もう会えないのだ。それなのに、忘れられないなんてツラいから――――いくら千尋でも、その気持ちは分かると思ったのだ。

 しかし、感情を高ぶらせていた千尋の反応は、黙る、だった。
 しばらく黙った後、『………………え?』と漏らして、首を少し傾けただけだった。
 恐らくは、何かを考えたけれども、意味が分からなかったということなのだろうが、何を悩むことがあったのか大和には分からず、逆に『え?』と聞き返してしまった。
 千尋が何を疑問に思ったのかは、首を倒したタイミングからしても、その直前の大和の発言なのだろうが、別にそんなおかしなことは言っていないはずだ。

「え、何、ちーちゃん」
「いや…、『何?』とかこっちのセリフだし。何言ってんの、大和くん」
「え、俺? いや、ちーちゃんが急に『え?』とか言うから、何かと思って」
「だって大和くんが変なこと言うから」
「変なこと?? え? 俺が?」

 いや、大和は変なことなど言っていない。
 少なくとも、千尋をそこまでキョトンとさせるようなことは。

「えと…、俺、何か変なこと言ったっけ?」
「ゆったよ! 好き、てゆった!」
「それって……好きなのにもう会えないから、忘れなかったらツラい、て言ったアレ?」
「そーだよ! 何だよ、好き、て!」



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恋の女神は微笑まない (238)


 大和にはそんな覚えがないけれど、千尋があまりにも変だと言うから、機嫌を損ねるとは思いつつ何のことなのか尋ねれば、先の大和の発言のことを言っているのだった。
 理屈としては、別におかしなところはないと思うのだが…。
 しかし、好きでもない相手から、今さら好きだと言われるのは、やはりいい気はしないだろうから、無理もないことか。

「…ゴメン。ホントは言うつもりはなかったんだけど、ちーちゃんが『何で忘れるとか言うの?』て聞くから、つい…。最後に嘘つきたくないし」
「………………。ちょ待って。は? 意味分かんない。嘘つきたくない、てどういうこと? 本気で言ったってこと? 言うつもりはなかったって? は??」

 大和が説明すればするほど、千尋を困惑の淵に追い遣ってしまうようで、矢継ぎ早に聞き返された。
 意味が分からないと言われても、千尋と会うのはこれが最後だから、自分の気持ちに嘘をつきたくなかったのであって、もちろん本気で言ったに決まっている。
 言うつもりがなかったのは千尋を困らせたくなかったからで、大和が千尋のことを忘れると言ったことに対して、千尋があんなに食い付いて来なかったら、わざわざ明かさなかった。
 それに、相手が自分に好意を持っていないと分かっているのに、あえてそこで好きであることを告げる気力はない。

「ちーちゃん…? え? あの…、大丈夫…?」

 しかし、千尋にそれを伝えようにも、あまりにも千尋が狼狽しているので、大和の口を衝いて出たのはそんな言葉だった。

「大丈夫なわけないじゃん! マジで何言ってんの、大和くん!」
「ごゴメン…! あの、ゴメン、やっぱ忘れて! ナシ! さっき言ったことはナシで!」
「はぁ~~~!? ナシ~~!? どういうこと、やっぱ好きじゃないってこと? 何なの!? マジで意味分かんないっ!」

 どうやら千尋は全然大丈夫ではなかったようで、すごい勢いで反論され、それに気圧されて大和が先の発言を撤回しようとしたら、ますます千尋をヒートアップさせてしまった。
 千尋は頭を掻き毟りながら、どさりとシートに身を投げた。

「もういいよっ、もういいじゃん、俺のこと嫌いってことで。何、嫌いにはなれない、て。嫌いでいいよ、俺も大和くんのこと嫌いになるし。それでいいじゃん、これでバイバイできる」
「ちょっ…そんな勝手に決めないでよ。俺がちーちゃんのこと嫌いみたいな感じで終わりにしないでよ」
「でも嫌いなんだから、いいじゃん、それで」
「嫌いじゃないよ、好きだよっ」
「ナシて言った!」
「あわわわ」

 千尋が勝手に大和の気持ちを決め付けるから、大和はすかさずそれを否定したけれど、先ほどの『ナシ』発言を持ち出されると、一気に立場が弱くなる。
 いや、あれは千尋の勢いに押されて、ついそう言ってしまっただけで、本心ではない。千尋に好きと言ったことをナシにするつもりはないんだ。



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恋の女神は微笑まない (239)


「違う、そうじゃない、ナシじゃない!」
「もうどっちでもいいよ。どっちだって同じだし。どうせもう会わないんだし」
「待ってちーちゃん、ゴメン、ちゃんと説明するから。いや、ちゃんと話そう」
「………………」

 大和は千尋の腕を掴んで引き止めた。
 振り払われると思ったその手は、しかしそうはならなかった。

 ちゃんと話をしようとか、そんなこともう何度も、千尋の家に着くまでの間に、もう何度も繰り返したというのに、それでもまだ、こんなふうに互いの気持ちを分かり合えないでいて。
 それなのに、まだ話をする必要などあるんだろうか。
 千尋の言葉ではないけれど、もう会わない2人なのだ、大和の気持ちを分かってもらえなくても、互いに誤解したままでも、もういいような気もするけれど、でも。

「あの…、さっきの、『ナシ』て言ったのは違うから。ゴメン、ちーちゃんがすごい怒るから、テンパって思わず言っただけで、ナシじゃないから、ちーちゃんのこと好きなの」
「…そんなに怒ってない」
「そうだっけ? 『何言ってんの!?』て結構な剣幕だった気もしたけど…」
「だって、何言ってんの? て思ったんだもん。好きとか何とか…」

 怒っていない、とは言ったものの、それなりに感情を高ぶらせた自覚はあるようで、千尋の反論の声は小さい。
 こういう、素直になり切れないところが、かわいいと思う。

「それはまぁ…………うん、だって好きだから、ちーちゃんのこと。言うつもりはなかったんだけどね」
「そこの意味が分かんない!」
「え?」
「言うつもりがなかったって何? その一言が俺を惑わすんだけど! 何で言うつもりがなかったの? 言うつもりがなかったのにうっかり言っちゃったのは、大和くんがうっかり八兵衛だからいいとして、」
「うっかり八兵衛…」

 大和の言うことの意味が、どうして分からないんだろう。大和にしたら、こういう場面で『うっかり八兵衛』とか思い付いて、しかも口にしちゃう千尋のほうが謎なんだけれど…。

「いや、だって、言われても迷惑でしょ? ちーちゃんも」
「俺が? 迷惑? 何で?」
「え、それ俺に言わす?」
「うん、言って」

 大和に好きだと言われたら千尋が困る…というか、嫌がると思ったのは、もちろん千尋が大和のことを好きではないからで…………それはわざわざ大和が言わなくても千尋も分かると思ったのだが、千尋は大和に言えと言う。
 まぁ、これまで、言わなくても相手が分かると思っていたせいで、いろいろと誤解を生んできたところもあるから、はっきり言うしかないか。



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恋の女神は微笑まない (240)


「だって、普通嫌でしょ? 好きでもないヤツから好きだって言われたら」
「ん?」
「え? いや、だから、嫌いなヤツから好きだって言われたら、嫌でしょ? ちーちゃん」
「………………。えーっと…、ちょっと待って。えっと…………うん、確かに、嫌いなヤツから好きだって言われたら、ヤダっつーか、まぁ困るけど…、それと大和くんが好きだって言ったのと、何の繋がりがあんの?」
「は?」

 嫌いな人から好きだと言われたら困る、ということに関しては、千尋も理解し、自分もそうだと言ったのに、どうしてそこに大和が登場すると、その繋がりが分からなくなるのだ。
 まさかこの期に及んでとぼけているのかと一瞬勘繰ったが、しかしそうでもなさそうだ。

「嫌いなヤツから好きだって言われたら困るけど、だからって、大和くんから好きだって言われたら、何で俺が困るの?」
「えっと…………だってちーちゃん、俺のこと嫌いでしょ?」

 こんなこと、自分の口から言わなければならないなんて、切なさマックスだけれど、どうも千尋は分かっていないみたいだから、そこは堪えて説明してやる。
 これ、千尋が今の大和の立場だったら、何で分かんないの!? てブチ切れてそうな気もするけど…。

「ちーちゃん? え? ちーちゃん?」

 何も言って来ないな…と思って千尋を見れば、千尋は口をあんぐりと開けて固まっていた。
 どういう意味の反応なのか、分からない。

「え…………大和くんてさ、もしかして大和くんて、俺が大和くんのこと嫌いだと思ってたの…?」
「まぁ…。最後にこうやって会ってくれたくらいだから、ものすごく大嫌いってほどではないかもだけど、好きではないだろうな、とは思ってるけど…」

 そもそも最初から、あの週刊誌の件がある前から、千尋は大和のことを、嫌いではないけれど付き合いたいほどでもないと思っていたのだ。それからあんなことがあって…………好感度が上がっているとは思えない。
 だから、大和が推測する千尋の気持ちは、間違っていないと思うんだけれど、先ほど千尋を泣かせたという前科があるので、間違っているのかもしれない。

「…好きじゃないなんて、何で勝手に思うの?」
「え? いや、だって…」

 千尋は大和のほうを見ないまま、ちょっと唇を突き出して、そんなことを言って来る。
 拗ねているようにも見えたけれど、よく分からない。

「週刊誌のこと……そもそもそれが発端だし。あの後ちーちゃん電話で、お付き合いしたくないて言ってたから」
「そうだけど…。別に嫌いとか言った覚えないし。さっきだって大和くん、俺の気持ち聞いてきたくせに、答えようとしたら、もういいて言った! 分かったとか言って」
「それは…」



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恋の女神は微笑まない (241)


 …それは、千尋が泣き出してしまったときだ。大和が、千尋の気持ちを分かったと言って、何が分かったんだと千尋に詰め寄られたとき。
 あのとき千尋は自分の気持ちを打ち明けようとしていたのに、なかなか言わない千尋に、言いづらいこと――――つまり大和のことが嫌いなのだと勝手に解釈して、話を終わらせてしまったのだ。

「大和くんのほうこそ、俺のこと嫌いなんだと思ってた」
「嫌いじゃないって言ったじゃん。大切な人だって言った!」
「嫌いじゃないとは言ったけど、好きだとは言ってない」

 それは屁理屈のようにも思えたけれど、千尋は本気で言っているようだった。
 でも、よく考えたら、こうした些細な思い違いが積み重なっていって、今の2人の状態にあるわけだから、 千尋を突っ込んでいる場合でもない。大和だって、よく聞きもしないで、千尋の気持ちを推測して、思い込んでいた。

「大体、だったら最初からそんな言い方しなきゃよかったじゃん。嫌いじゃない、なんて」
「ちーちゃんは俺のこと好きじゃないと思ってたから…。だから、好きだなんて言えないな、て思ってたんだよ。でも、ちーちゃんは『嫌いになった?』て聞くし……嫌いになってない、て言うしかなかったんだよ」

 それが大和の、窮余の策だった。自分の気持ちに嘘をつかないでいるための、けれど、千尋にその想いを伝えないための。
 でも普通、嫌いじゃないと言ったら、好きなのだと思うような気もするが…………それを言えば、千尋が冷ややかな目で大和を見た。

「詭弁だね。好きと嫌いじゃないは一緒じゃない」
「まぁそうだけど…」
「俺は、大和くんは俺のことなんか嫌いになってると思ってたから、嫌いじゃないて言われたときもすごいビックリしたけど…、でも、好きじゃないんだったら、嫌いじゃないとか言わないで、うんと嫌いになってほしかったよ」
「何で?」

 それは、ずっと大和が疑問に思っていたことだ。
 お試しのお付き合いをする前にもそう言っていたけれど、今日車に乗ってからの千尋は、そのときとはまた違った雰囲気を持って、そう言い続けていた。
 千尋が大和のことを嫌いだから、好きでいてほしくない、という発想もあったが、千尋はそこまで大和のことを嫌ってはいないようだから、だとすると余計に意味が分からなかった。

「嫌いじゃないとか、そんな中途半端な気持ちじゃ、大和くん、俺のことなんてすぐに忘れちゃうだろうな、て思って」
「え?」
「好きなら覚えててくれるだろうけど、好きにはなってもらえないんだし、だったら、うんと嫌いになってもらうしかないな、て。そしたら、大和くんの心の中にずっと残ってるかな、て思ったの。傷みたいに」

 嫌いになれという反面、忘れないで、とも言っていた千尋を思い出す。
 そうか、忘れてほしくなかったからこそ、嫌いになれと言っていたのか――――けれど、その気持ちなら、少しは分かる。



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恋の女神は微笑まない (242)


「でも、俺がちーちゃんのこと好きかも、とか……好きになるかも、とは思わなかったの? いくら俺が『嫌いじゃない』て言ってたとしても」
「好かれるようなことしてないし。それに、わざわざこんなふうに会ったのに、大和くん、縒りを戻すつもりはないって言ったじゃん? あぁ、嫌いじゃないってそういうことなんだな、て思った」
「それは…、ちーちゃんが俺のこと嫌いだと思ってたから…………そんなこと言えないと思って。さっきだって、俺が好きだって言ったとき、すごい怒ったじゃん」
「怒ってないってば。大和くんは俺のこと好きじゃないと思ってたのに、好きだって言うからビックリしただけで」

 話を聞いて、大和はようやく千尋の気持ちを理解した、というか、不思議に感じていた言動やら行動の謎が解けた。
 大和はずっと、千尋は大和のことを嫌いだから、今さら好きだと言われて怒ったのだと思っていたが、そうではなくて、千尋は大和が千尋のことを好きではないと思っていたにもかかわらず、好きだなんて言われたものだから、動揺していたのだ。
 だから先ほどの、『だって、何言ってんの? て思ったんだもん。好きとか何とか…』とか言っていたのも、語気が弱かったというわけだ。

「で…、結局、ちーちゃんの気持ちは? まだちゃんと聞いてない。俺はちゃんと言ったよ? 好きだ、て」

 ここまでの会話で、千尋が大和のことを嫌いではないことは分かっている。
 けれど、それではダメなのだ。
 好きじゃないとか、嫌いじゃないとか、そんな言い回しばかりしていて、互いの気持ちを勝手に思い込んでいたのだ。だからもうここらでいい加減、腹を括ろうじゃないか。
 さっきは千尋の態度から、勝手に気持ちを推測してしまったけれど、今度はそうしない。言ってくれるまで、ちゃんと待つから。

「…もう大和くんに会えないと思ったら、ヤダな、て思う。寂しいし」
「うん」
「大和くんが俺のこと忘れたいとか言うのもヤダ。忘れてほしくない。………………好き」
「…うん」

 初めて聞いた、千尋の『好き』という言葉。
 それなのに大和は、ただ頷くしか出来なかった。それを、千尋は咎めなかった。懸命に言葉を選びながら、話を続けた。

「でも、付き合うとかなったら、あの週刊誌のこともあるし、別に週刊誌に載ったこと自体はどうでもいいんだけど、女に間違われたのはムカつくし…、俺、そういうのホント嫌だから、そういう思いはもうしたくないと思う…………て、別にまた付き合うわけじゃないから、付き合うとかのことは言わなくていいのか」

 話している途中で気が付いたのだろう、千尋は慌てて最後にそう付け加えた。
 互いに恋愛感情を以って好きだとしたら、その後には、付き合うとかいう話になるんだけれど――――2人には、それがない。お互いに相手のことが好きでも、これから先、付き合うことはない。
 千尋は大和と付き合いたくないと言ったし、大和は千尋と縒りを戻すつもりはないと言った。
 だから、付き合うことになったら、という話をする必要などなかった。



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恋の女神は微笑まない (243)


「…じゃ、お互いにちゃんと気持ちも言い合ったことだし、バイバイしよっか」
「あ…うん」

 一瞬の沈黙も許さずに、千尋はそう言った。
 少しでも車内が静寂に包まれたら、何かとてつもないものに押し潰されそうだったから、話を続けてくれたのは有り難かったけれど、それが別れの言葉だったから、大和は少し悲しくなった。
 けれど、終わりが来ることは分かっていたし、分かっていて、名残惜しくなるのも分かっていて、大和は終わりが来るのを長引かせていたのだ。

「大和くん、何か言い残したことない? これで最後だよ?」
「…ちーちゃんこそ」
「俺はないよ、言いたいことはみんな言ったからね! 言いたくないことも言ったけど」
「何それ」
「ぐへへ」

 大和が苦笑すれば、千尋も盛大に笑った。
 千尋は泣いたり怒ったりしたけれど、最後は笑っていた。

「じゃあね、大和くん。バイバイ」

 今度こそ千尋は、車を降りた。
 バイバイ――――またね、とでも言うように。

 千尋はマンションのエントランスまで駆けて行った後、クルリと振り返って、大和に手を振った。笑顔で。
 ずっと、手を振っていた。
 きっと大和がここを離れるまで、そうしているつもりなんだろう。

「…バイバイ、ちーちゃん」

 去り難い気持ちを振り切って、大和は車を発進させた。
 笑顔を向ける千尋が、その表情の下にどんな感情を隠しているのか、大和は考えるのをやめた。



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恋の女神は微笑まない (244)


chihiro

 朝、定刻に鳴り出したアラームによって目を覚ました千尋は、瞬間的に、ヤバい…! と感じた。
 ヤバい。これはヤバい。

 ――――完全に風邪を引いている。

 それも、ちょっと鼻水が…とか、のどが痛いかも…とかでなく、熱が出るタイプ。
 千尋の中の勝手なランキングだが、同じ風邪の症状でも、発熱は、くしゃみ・鼻水よりも重症な感じがする。鼻水がいつもより多めに出たところで特に気にしないのに、発熱となると、風邪以上の病気に罹った気にさえなる。

 原因なら、考えるまでもなかった。
 昨日、遥希の家を出てから大和の車に乗るまで、ずっと寒い思いをしたうえに、帰宅してから、頭からアルコールを浴びている以上、風呂に入らずに寝るわけにもいかない…とシャワーを浴びたまではよかったが、睡魔に負けて、ろくに髪を乾かさないまま寝てしまったのだ。
 これで風邪を引かないわけがない。

「ヤダァ~~~…………仕事休みたくなぁ~い……」

 千尋には、前科がある。
 熱があるのを隠して無理して仕事に行き、店内でぶっ倒れたことがあるのだ。具合が悪いのではないかと何度も尋ねて来た店長に、大丈夫だと答えた矢先のことだった。
 それ以来、店長は千尋に、具合が悪いときは絶対に無理をするなと厳命しているのだが、仕事大好きな千尋は、ちょっとくらいの無理ならしていて、ときどき店長に釘を刺されていた。

 それなのに、今こうして熱があるにもかかわらず、仕事に行ったら…………追い返されるかもしれない。
 具合が悪いのに出掛けて行って、何もせずにまた戻って来るぐらいなら、最初から休んで寝ていたほうがいいだろう。千尋だってバカではない、少しは学習するのだ。

 千尋は早々に無理をすることを諦め、千尋はスマホを手繰り寄せると、朦朧としながら、発着信履歴から店長に電話を掛けた。

『――――もしもし?』
「店長~~~……すみませ~ん…、熱がぁ~……」

 仕事を休まなければならないことが、申し訳ないのもあるし、悲しすぎて泣いてしまいそうだ。
 クリスマス、年末、初売りと、今の時期はとにかく忙しいのだ。

『え、熱!? ちーちゃん風邪引いたの!?』
「はい……………………ん?」

 ここで意地を張っても仕方がないので、千尋は素直に風邪を引いたことを認めたが、熱に浮かされながらも、千尋はふと、電話の相手に違和感を覚えた。
 店長は千尋のことを、『ちーちゃん』なんて呼ばない。
 いい年をした千尋のことを、そんなふうにかわいらしく呼ぶ人間といえば、千尋は2人くらいしか心当たりがなくて、そのどちらに掛け間違えたのだとしても、最悪だと思った。



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恋の女神は微笑まない (245)


『ちーちゃん? もしもし? ちーちゃん、大丈夫?』

 黙り込んでしまった千尋の耳には、電話の向こうから心配する声が飛び込んでくる。
 この声は間違いなく、店長ではない。店長がお茶目を出して、千尋のことをちーちゃんと呼んでいるわけではなかった。

「…………大丈夫です、ゴメンなさい、さようなら」
『ちょっ…待って! 待ってよ、ちーちゃん! 昨日の今日で、こんなの、あの、ゴメンだけど、でも大丈夫なの? 熱あるんでしょ?』

 一刻も早く電話を切りたくて、千尋は必死に言葉を並べたというのに、電話の相手は――――大和は、そうはさせてくれなかった。
 無視して電話を切ることも出来たけれど、さすがにこれだけ心配されているのに、それも出来ず、千尋は「測ってないけど、熱っぽい」と正直に答えた。

『薬飲んだ? ご飯は?』
「…今起きたとこだから」

 確かに今はまだ起きたばかりで何もしていないが、仕事を休むにしても、ご飯を食べたり薬を飲んだりしなければ、体調は回復しないだろうから、することはたくさんあるのだと、千尋は気付かされた。

『薬とかあるの?』
「分かんない…」
『ご飯は?』
「…………ない」

 いや、米やら野菜ならありそうだが、とても自分で調理する気力も体力もない。
 あぁ…これからそれを買いに行かないといけないのか。どうせ外に出なければならないのだとしたら、いっそ仕事に行ってしまおうか。病は気からと言うし、何でもない振りで仕事をしていたら、何でもなかったことになるかもしれない。

 よし、そうしよう――――と、千尋が口を開こうとするより先、大和がとんでもないことを言ってのけた。

『すぐ行くから!』

 …………………………。

 スグイクカラ。
 すぐいくから。
 すぐ行くから。

「えっ!?」

 脳内で3回くらい変換して、ようやく大和の言葉の意味を理解したときには、もう電話は切れていた。



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恋の女神は微笑まない (246)


 え、大和が来る?
 昨日……いや、日付などとうに変わっていて、ほんの数時間前の話だ、2人は関係を終わらせたばかりではないか。
 互いに好きだという気持ちを確認し合って、けれど付き合うことは出来ないと、千尋は大和の車を降りたのに。

「えぇ~~~~っっっ…………ううぅ…」

 あまりの展開に驚いて千尋は声を張り上げたが、途端にめまいに襲われて、ベッドに倒れ込んだ。
 思った以上に、具合が悪いかもしれない。

 それはそうと、大和が来るって? あんなことがあった後に、間違えて電話をする千尋も千尋だが、いくら千尋に熱があるとはいえ、来ようとする大和も大和だ。
 でも、熱があって、薬も食べるものもない一人暮らしの男から電話が掛かって来たら、放っておくことも出来ないか…。
 だとすると、ただ単に千尋が、バカで間抜けで格好悪いだけか。

 いや、格好悪いくらいならいいけれど、本当に大和が来たらどうしよう。どんな顔をして会ったらいいのか。何を話せばいいのか。だって数時間前、もう会わないと言って別れた相手だ。
 大和が来たときのことを想像していたら、血の気が引いていくのを感じた。寝起きで、熱があって、仕事を休まなければならないというショックもあったとはいえ、とんでもないことを仕出かしてしまったものだ。
 血の気が引くついでに、熱も引いてくれればいいと思ったが、残念ながら、そうはならなかった。

「大和くん…、本気で来る気かな…」

 ベッドの上に倒れていた千尋は、のそのそと起き上った。寝るならふとんに入って……と思ったのだが、スマホが目に入った瞬間、よからぬことを考えてしまった。
 大和が来る前に、仕事に行ってしまおう。本当に大和が来るかどうか知らないが、その前に仕事に行ってしまえば、たとえ大和が来たところで、顔を合わせることはない。
 幸いにも、千尋はまだ店長に、仕事を休む電話をしていないのだ。

「よし、仕事に行こう」

 何でもない振りで仕事に行こうと1度は思ったことだし、その作戦で決まりだ。
 大体、熱だって測ったわけではないのだ。20年以上生きて来た経験から熱があると思っただけで、本当に熱があるかどうかは分からない。もしかしたら、千尋は今すごく健康かもしれない。

 千尋はベッドを降りると、着替えるためにふらふらとクローゼットへと向かった。
 大和に電話をしていて時間がだいぶ過ぎてしまったし、着替えたらすぐに仕事に行かないと。ご飯を食べている時間はないぞ。あ、そもそも食べるものもないんだった。
 クローゼットのドアに掴まりながら、千尋は着ていく服を探す。いや、別に掴まっていないと立っていられないわけじゃない。ちょっとガタが来ているんだ、このクローゼット。押さえていないと。



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恋の女神は微笑まない (247)


 何とか着替えを終えた千尋は、まだ顔も洗っていないことを思い出し、洗面所に向かう。
 女の子みたいに化粧をする必要はないけれど、客商売だし、顔くらい洗っていかないと。

「うわ…」

 洗面所に行って、顔を洗う前に鏡を覗き込んだら、思った以上に顔色が悪くてビックリした。寝不足なのもあるだろうけれど、ちょっと目が死んでいる。
 …いや、気のせいだ。顔を洗っていないせいだ。

 目を覚ますために、わざと冷たい水で顔を洗ったら、その冷たさに、背中がゾワッとした。
 まさかの悪寒か?

「うぅ…寒い…」

 あぁ、エアコンを点けていないから。
 部屋の中の空気が冷たいせいだ。熱のせいじゃない。千尋は風邪なんか引いていない。

 千尋は、風邪じゃない風邪じゃない、と呪文のように唱えながら、玄関へと向かった。
 とにかく早く仕事に行かなければ……そう思ったのに、靴を片方履いたところで、千尋は自分がまったくの手ぶらだということに気が付いた。
 スマホを忘れたとか、財布を忘れたとか、どれか1つだったら、1日くらいなくてもどうとでもなるが、まったく何にもないのはマズイ。電車にだって乗れやしない。
 仕方なく千尋は靴を脱いで、寝室へと戻った(片足跳びで行こうとも思ったけれど、体力を消耗しそうなのでやめた)。スマホならベッドの上だ。

 どうせ戻ったからには、スマホだけでなく、ちゃんと荷物をすべて持っていこう、と千尋はカバンを手に取る。
 また戻るはめになっては堪らないので、財布だとかIC乗車券だとかがちゃんと入っているか、確認する。あ、スマホの充電切れそう。充電器も持っていかないと。
 別に千尋は、1秒たりともスマホが手放せないほどのヘビーユーザーではないけれど、わざわざ取りに戻ったスマホが途中で電池切れになったのでは癪に障るので。

 玄関とリビング・寝室を何度か往復して、千尋はようやく支度を整えると、座って靴を履き始めた。立って履こうとするとふら付くのだ。おかしいな、どこに行った、俺のバランス感覚。

「…よしっ」

 千尋は気合を入れて立ち上がると、ドアを開けた――――と同時にチャイムが鳴り、開けたドアの向こうから「うわっ」という声がして、千尋が反射的にドアを閉めようとしたが、それより先、外から伸びてきた手がドアを掴んで、それを阻止した。
 大和が来る前に仕事に行こうとしていたのに、モタモタしているうちに、大和がやって来てしまった。一体どれだけの時間、モタモタしていたのだ、千尋は。仕事に遅刻してしまう。

「ちーちゃん、ちょっ…何で閉めるの? 開けてよ…!」

 チャイムを鳴らしたのと同じタイミングで、いきなりドアが開いたことにも驚いたようだが、そのまま招き入れてくれるのではなく、何も言わずにドアを閉められそうになって、大和は大変慌てている。



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恋の女神は微笑まない (248)


 しかし、千尋は自分が外に出るためにドアを開けようとしていたから、チェーンだって外れている。それに、熱があってふらふらの千尋より(風邪は引いていないけれど!)、大和のほうが腕力があるのは当然で。

「あぅ…」

 あっさりとドアは開いてしまった。

「ちーちゃん、何して……大丈夫? てか、何でそんな格好してんの? 寝てなかったの?」
「…………」 

 そんなにいろいろと聞かれても、頭が働かなくて、答えられない。
 ドアノブに掴まりながら、千尋は立っていることが精一杯なのだ。

「熱は? ちょっ…結構あるんじゃない? 測った? とにかくベッド行こ? 立ってるのしんどいでしょ? 横になろ?」

 千尋の額に手を当て、熱の有無を確認した大和が、千尋の腕を取る。
 千尋は時々思うのだが、額を触ることによって、本当に熱があるかどうか分かるものなのだろうか。千尋が、熱があるとか言ったから、そんな気がしているだけなんじゃないの?

 部屋の中に連れ戻されそうになって、千尋はがんばって抵抗する。
 千尋はこれから、仕事に行くのだ。寝ている場合ではない。

「ちーちゃん?」
「ん…仕事、行く…」
「いや、無理でしょ。そんな状態で仕事なんて」
「無理じゃないもん…」

 千尋はそう言ったのだけれど、大和は聞く耳を持たずに、千尋の足から靴を脱がせて、寝室へと連れて行ってしまう。
 冷静に考えると、大和の行動は、不審者というか、押し込み強盗というか、とんでもない所業だ。でも今の千尋は、冷静に物事を考えられる状況ではないので、大和にされるがまま。
 大人しく寝室まで行き、ベッドに座らされる。

「ちーちゃん、本気で仕事行く気だったの?」
「今だって行く気だし…」
「でも、仕事休むつもりで店長さんに電話しようとしてたんじゃないの?」
「…………」

 そう言われても、千尋はすぐには何も答えられなかった。
 そうだと答えれば、仕事に行くと言っていたのが嘘になるし、そんなことないと言えば、何のために大和に電話をしたのか、という話になる。店長に電話しようとして、間違えて掛けてしまったから、大和に電話が繋がったというのに。



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恋の女神は微笑まない (249)


「とにかく着替えて。はい」

 千尋が何も答えないでいることをどう受け取ったのか、単に喋るのがしんどくて黙っているだけと思ったのか知らないが、大和はベッドに投げっ放しになっていたパジャマを、千尋に差し出した。
 仕方なく千尋はそれを受け取る。
 せっかくがんばって着替えたのに、また着替え直さないといけないのかと思ったら、何だか一気に疲れが押し寄せて来た。

「それで、店長さんには電話したの? 結局」
「…してない」
「する?」
「………………ん」

 諦めて、千尋は頷いた。
 何でもないのだと、千尋はずっと自分に暗示を掛けていたけれど、あいにく千尋は自己暗示すらも効かないタチのようで、体調がよくなった様子はさっぱりない。
 これは大人しく大和の言うことを聞いていたほうがよさそうだ。

 千尋はカバンから充電のなくなりそうなスマホを取り出して、今度こそ間違えないように、店長に電話をする。
 もともとそんなに電話を掛けたり受けたりするほうではないので、仕事上の間柄でしかない店長の電話番号も、発着信履歴の上のほうにある。けれど、その上に大和の番号があったのだ。昨日、電話をした。

「病院は? 行くなら送ってくけど…」

 その問いには、千尋は首を振った。
 病院に行くほどの病状かどうかは判断しかねるが、大和に送ってもらうなど……大和との関係性を抜きにしても、そこまで迷惑は掛けられない。昨日の話では、彼は今日、昼から仕事なのだ。

「ご飯食べてないよね? おかゆ――――コンビニのレトルトのだけど……温めてくるね?」

 病院に行きたがらない千尋をそれ以上は追及せず、大和は持っていたコンビニの袋を掲げてから、寝室を出て行った。
 千尋は片手にスマホ、片手にパジャマの状態で、着替えと電話の両立が難しいのは熱があるせいか? なんてどうでもいいことを考えていたら、電話が繋がった。

「てんちょ~……仕事休みたくないです~……」
『え、村瀬くん?』

 相手がもしもしを言う前に話を始めてしまったが、千尋のことをいつもどおり村瀬くんと呼ぶし、声も間違いなく店長のものだ。

『どうしたの?』
「店長ぉ~~~…、仕事休みたくないぃ~~~……」
『…もしかして、風邪引いた? 熱あるの?』
「うぅ…」

 まだ本題を話していないのに、店長は千尋の言葉から状況を把握したらしく、千尋が一番認めたくないことをあっさりと言って来た。



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恋の女神は微笑まない (250)


『じゃあ、今日はゆっくり休んで…………あまりひどいようなら病院にも行くんだよ?』
「ううぅ…、やっぱり休まないとダメですかぁ…?」
『仕事に来れるような体力があるの?』

 店長は、はっきりと『ダメ』とは言わなかったが、しかしそれは、言わなくても分かるだろう、ということであって、千尋が無理して仕事に来ることを許しているわけではなかった。

「ゴメンなさいぃ~……」

 千尋は自分が情けなくて仕方なかった。
 仕事上、様々な人間と接することが多いため、そこからウィルスやらを貰うことは少なくないが、このたび千尋が風邪を引いたのは、完全に自分の責任だ。
 千尋は、いい年をした大人としては、若干社会性に欠ける部分はあるものの、仕事に関しては責任とプライドを大いに持っているので、こうした形で仕事を休むことになるのが、堪らなく嫌だった。
 しかし、無理をして仕事に行けば、逆に周りに迷惑を掛けることも分かっているので、『仕事を休む』という選択肢を選ぶしかない。

「店長、ゴメンなさい~…、こんなときに~…」
『大丈夫だから。こっちは何とか回すから。今は風邪を治すことだけ考えて』
「ううぅ…」

 優しい言葉が身に染みた。
 千尋は、泣きながら電話を切った。

「ちーちゃん、おかゆ温まったよ? ちーちゃん?」

 ベソベソしながら千尋がベッドに突っ伏していたら、大和が戻って来た。
 そういえば、先ほど大和からパジャマを受け取ったきり、着替えてもいなかった。店長に電話をして、仕事に行かないことが決まった以上、もう1度着替え直さなければ。

「……」

 千尋は無言で体を起こすと、のろのろと服を脱いで、パジャマに袖を通した。
 別に、大和を無視しているわけではない。喋るのがしんどいだけだ。

「食器とか勝手に使っちゃったけど…………はい」
「…ん」

 一人暮らしの男の家に、お盆のような気の利いたアイテムなどあるはずもなく、大和は直に、おかゆの入ったお椀を持っていた。
 素手で持っても平気そうにしているのは、恐らくおかゆはレンジで温めたのでなく、律儀にお湯で温めたからだろう。
 千尋は、そこにいるのが昨日別れた相手であることは分かっていたけれど、どんな態度が正解なのか分からなくて、結局素直にそれを受け取って、もそもそと食べ始めた。

「食べたら薬飲んでね? ここ置いとくから」

 大和はサイドテーブルに薬と水の入ったグラスを置いたが、ふと視線を向けた千尋は、その薬の箱がすでに開いているのに気付いた。
 まだ時間も時間だ。コンビニなら24時間営業だが、薬屋など、よほど探さなければ開いている店は見つけられまい。となると、もしかしたらその封の切られた風邪薬は、大和が自宅から持って来たのかもしれない。
 別れた男のためにそこまでしてくれるなんて、何て気のいい人間なんだろう。



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恋の女神は微笑まない (251)


「…大和くん、ゴメンなさい」
「ん?」

 買って来たの冷蔵庫に入れてくる、と大和が寝室を出ようとしたところで、千尋はその背中に謝った。
 昨日の今日で…というのはもちろんだが、それだけでなく、千尋が間違えて電話をしたせいで、大和に多大なる迷惑を掛けてしまったことが、申し訳なくて仕方ないのだ。

「…気にしなくていいから。食べたら薬飲んで、ゆっくり休んでね」

 気にするなと言われたって、気にせずにはいられないんだけれど、しかしこうなってしまった以上、余計なことを考えるのはやめて、早く風邪を治すことだけに専念しよう。
 もう会わないと言って別れた相手にここまでしてもらって、それで風邪を悪化させてしまった日には、目も当てられない。

「…ありがとう、大和くん」

 千尋は、今だけは素直になって、大和に礼を言った。

 大和が寝室を出て行った後、千尋はおかゆを平らげると、用意してもらった風邪薬に手を伸ばした。
 これ飲んで寝たら、明日は仕事行けるかな…と思いながら、千尋は口いっぱいに広がった苦味を、水と一緒に飲み干した。

「ちーちゃん、」

 千尋がベッドに横になり、大きく息をついたところで、ドアが開いて大和が顔を覗かせた。

「じゃあ俺、仕事あるから、もう行くね?」
「あ、うん…。あの、ホント、ゴメンなさいっ…。あの、」
「そんなに謝んないで、大丈夫だから。俺のほうこそ、押し掛けたりして…………ゴメン」
「…………」

 大和に改まられると、急に昨日のことが意識されて、どうしたらいいか分からなくなる。
 何も答えられずに顔を上げたら、大和と目が合った。

「とりあえず、」

 沈黙に陥り掛けたその場の空気を断ち切るように、大和が口を開く。

「俺、これ片付けたら、行くね?」
「…ん」
「冷蔵庫にご飯とか入ってるから……まぁ、コンビニで買ったヤツだけど、食べてね。それと、ツラかったら、病院に…」
「うん」

 サイドテーブルにスポーツドリンクを置いて、代わりに空になったお椀を手に取った大和の優しさが痛くて、千尋は大和が言い終わる前に返事をした。
 よくない態度に受け止められたかもしれないと、一瞬頭をよぎりはしたけれど、これ以上優しくされたらどうにかなってしまいそうだったから。

「…じゃあね、ちーちゃん。お大事に」

 大和は静かに寝室を出て行き、千尋はホロリと零れた涙をそっと拭った。



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恋の女神は微笑まない (252)


 明日はちゃんと仕事に行くためには、とにかく言うことを聞いて安静にしているしかないと、トイレとお昼以外は大人しく寝ていたが、さすがに夕方には目が冴えてしまった。
 それでも、しっかりと寝たり薬をちゃんと飲んだりしたおかげか、朝のような決定的な具合の悪さは解消されている。ここで調子に乗って、無理さえしなければ、明日には仕事に行けるだろう。
 寝てばかりだからお腹は空いていないけれど、こういうときは食事を疎かにしないほうがいい、と普段の不摂生な生活からは想像できない健全な発想で、千尋はキッチンに向かった。

 カウンターの上にはレトルトのおかゆやらインスタント系の食材が乗っているし、いつもはアルコールばかりの冷蔵庫の中には、スポーツドリンクだのビタミンC飲料だのが入っていて、それが大和の存在を思い起こさせて、千

尋は切なくなる。
 当たり前だが、食べるごとにそれらは減っていって、いつかはなくなってしまうわけで。そうしたら、大和の痕跡なんか、少しもなくなってしまうのだ。
 それを思ったら、急にとんでもない寂しさに襲われて、千尋は急いで冷蔵庫のドアを閉めた。

 お昼とは違う味のおかゆをお椀に空けて、レンジに突っ込む。大和がやってくれたように、丁寧に鍋で温めるなんて真似、面倒くさくて、千尋にはとても出来ないのだ。
 レンジで温めている最中、スマホの充電が切れそうだったことを思い出した千尋は、明日、今朝のようにバタバタと慌てないため、スマホを充電しに寝室に戻った。

「え…」

 枕元に投げっ放しになっていたスマホを手にした千尋は、それを充電器に繋ごうとしたところで、メッセージの受信に気が付いた。
 本来であればこの時間、千尋は仕事をしているはずで、メッセージなんか送られても見られないのに、一体誰なのかと不審に思って開けば、大和だった。
 驚いて何度も見直したけれど間違いない、具合がどうなったのかと尋ねる文面がそこにはあった。
 食事や薬の心配をしたとはいえ、熱のある千尋を1人置いていったのだ、気にはなるだろう。

「大和くん…」

 千尋が具合を悪くして、しかもそれを実際に目の当たりにしたからこそ、大和は連絡をくれたのだと分かっているが、それでも千尋はほのかな喜びを感じてしまう。
 今朝、間違えて大和に電話をしたときは、本当にどうなることかと思っていたが、ちょっとラッキーだったかも。

(…て、だからって、別にわざと間違えたわけじゃないけどっ…!)

 別に誰も聞いていないし、心の中で思っていただけなのに、千尋は1人で慌てて、言い訳をした。

「返事…」

 …したほうがいいんだろうか。
 向こうは千尋の容態を気にしているし、返事をしなかったら、悪化して返事も出来ないほどだと勘違いしてしまうかもしれない。
 仕事前にわざわざ来てくれて、食事や薬まで用意してくれたのに、少しも具合がよくなっていないどころか、悪化しているなんて思われたら、まずい。
 うん、こういうのを無視するのは、やっぱりよくない。
 千尋はまたも1人で言い訳をして、スマホの画面に向き合った。



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恋の女神は微笑まない (253)


(でも、余計なことは書けないよね…)

 そう考えたところで、『余計なこと』て何だ? と思い直した。
 大和は、千尋の具合がどうなったかを聞いて来ているのだ、それに答えるだけでいい。それ以外に、何を言う気だ。

「えっと…」

 考えすぎて、知恵熱的なものが出そうになったところで、『大分よくなったよ、心配してくれてありがとう』と無難な内容を思い付き、返信した。

「ふぅ…」

 スマホの充電をしに来ただけなのに、まったく大騒ぎだ。
 というか、当初の目的はスマホの充電だったのに、まだ充電器に繋いでもいないことに気が付き、千尋は息をついて気持ちを落ち着けると、ようやくスマホを充電して、キッチンに戻った。

「あーあー…」

 とっくの昔にレンジの温めは終わっていて、それなのに中身を取り出していないものだから、レンジがピーピーと催促の音を立てている。千尋は「はいはい」とレンジに返事をしながら、中から取り出した。
 それにしても、寂しがりとはいえ、遥希と違って千尋は1人ご飯の出来る子なのに、風邪を引いて気が弱くなっているからか、今は何だか1人で食事をするのがすごく寂しい。

「………………。クリスマス……合コン…」

 1人だから寂しいんだったら、彼氏を作ればいいのだ。
 遥希と一緒にいるのは楽しいけれど、それでは埋められない寂しさをどうにかしてくれる存在。
 どんなに好きでも、大和とはもう付き合えないんだし、枯れたとかそんなことを言っていないで、合コンにでも参加して、彼氏を作ればいいのだ。今からでも、間に合うかな。

「でもなぁ…」

 今、風邪を引いて仕事を休んでいるのに、治った直後に合コンに参加するというのも、ちょっとどうかという気もするし…。
 大和のことだって、忘れたわけでも、嫌いになったわけでもないのに、そんな状態で合コンなんかに参加して、果たして楽しめるものだろうか、という気持ちもある。

「…やめとくか、病み上がりだし」

 わざわざそう理由付けして、千尋は合コン参加をやめにした。
 合コンに行くというのも、ほんの数分前に思い付いただけで、誰に言ったわけでもないのに、いちいちこんなふうに言い訳するなんて、意識しすぎだ。

「もぉ~…、バカか俺は…」

 千尋はヘナヘナとテーブルに突っ伏した。
 1人で勝手にいろいろと考えては、1人で勝手に慌てたり言い訳したりして、本当、バカみたいだ。
 恋に振り回されるなんて、ゴメンなのに。



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恋の女神は微笑まない (254)


「…………」

 年末で忙しいのに、今日は仕事を休んでしまったのだ。年内は、いや、少なくともお正月の初売り期間が終わるまでは、恋だの何だのは忘れて、仕事に集中しよう。
 そして、それが一段落したら、気持ちを切り替えて、新しい恋へと向かう。
 新しい年が来ることだし、区切りをつけるにはちょうどいいと思う。

「よしっ」

 千尋はそう決意を固めると、しっかりと頭を起こして、残りのおかゆをキビキビと食べ始めた。
 もし誰かが千尋の今の行動を見ていたら、突然どうしたことかと訝しんだかもしれないが、千尋的には、『病は気から。こんなウダウダと食事をしていたのでは、治るものも治らない』との思いがあってのことだ。
 傍から見たら突拍子もない行動でも、ちゃんと意味があるのである。

「ごちそうさまでした!」

 いつもは言わないような挨拶までして、普段なら面倒くさがって食事の後すぐにはしないのに、食器を片付けるべくシンクに向かう。
 特に何かしたわけでもないのに、新しい自分に生まれ変わった気でいるのだ。千尋は、自己暗示には掛かりにくいタイプではあったが、思い込みは激しいほうなのだ。

「まだ寝るには早いけど、今日は寝とくか…………眠くないけど」

 食事を終えると、することもないし、ただ起きているだけなら寝ているほうがいいだろうと、千尋は仕方なく寝室に戻ることにする。
 これを機に、不摂生な生活を改めて、まっとうな人間になることにするか。お酒も控えめに……いや、やめる。遥希も前に禁酒だとか言っていたから、道連れにしよう。
 志高く勝手なことを思って、千尋はベッドに身を横たえた――――ちょうどそのタイミングで、玄関のチャイムが音を立てた。

「………………」

 新しい千尋に生まれ変わったというのに、思わず、今鳴るかよ、とイラッとしてしまった。
 相手は千尋が何をしているかなど知らないのだから、タイミングなど計りようがないので、仕方のないことなのだが、こんなふうに思ってしまうのが千尋なのだ。

 しかも、まっとうな人間になったのなら、ここはさっさと玄関に行くべきなのに、千尋はなかなか起き上がらない。早い話が、居留守を使おうというわけである。…まったく何も今までと変わっていない。

(だってパジャマだしー…、こんな格好で人に会えないしー…)

 と、勝手な理由を付けて、突然の来訪者が帰るのを待つ。
 いや、善良な千尋は理由を明かしたけれど、本当だったら千尋はただいま仕事中で、誰か来たとしても出てみようがないのだ。だから今、千尋は理由なく居留守を使ったって、問題ない。



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恋の女神は微笑まない (255)


 …と、本気で思いながら、千尋はふとんの中に潜り込んだが、なかなかチャイムは鳴りやまない。
 しつこく連打するというほどでもなく、そこそこの間隔を置いて鳴るチャイムに、千尋は、相手に帰る気がないのではないかと思い始める。
 荷物が届く予定はないから宅配便ではないだろうし…………もしかして千尋が家にいるのを分かっているから、ここまでチャイムを鳴らしているのではないだろうか。
 千尋が家にいることを知っているのは、店長と今日仕事に入っている同僚――――そして大和だ。

 まさか…と、千尋は期待と不安の入り交じった気持ちで起き上がり、ようやく玄関へと向かった。
 芸能人のお仕事の仕組みはよく分からないが、昼からだと言っていた仕事が、もう終わるなんてことがあるんだろうか。

(…いや、ないな)

 いくら何でも、そんなにあっさり終わるはずがない。名前の売れていないような芸能人ならともかく、大和は押しも押されもせぬスーパーアイドルなのだ。
 ということは、このしぶとい訪問者は、どうしても今荷物を置いていきたい宅配業者か、しつこい勧誘か何かなのだろう。
 こんなことなら居留守を使い続ければよかった。…いや、今からでも遅くはない。静かにベッドまで引き返せばいいだけの話だ。

(でも…)

 もし、そういうのでなくて、千尋のことを心配して…………その思いが、千尋の回れ右をしようとした足を引き止め、玄関のドアを開けさせた。

「何だ、いるんじゃないか」
「………………」
「千尋?」
「………………」

 ドアを開け、立っていた男を見た瞬間、千尋はドアノブを握り締めたまま固まった。
 どうせ宅配便か勧誘だろうと思いながらも、心のどこかで期待していた部分も少なからずあったようで、突然目の前に突き付けられた現実に、どう反応していいのか分からないのだ。
 だって、そこにいた人物が、あまりにも思い掛けないものだったから。

「おい、千尋、大丈夫か?」
「………………大丈夫に見えるか…………このヤロウ~~~~っっ」
「え? え? 何だよ? 何!? えぇっ!?」

 別に相手は何も悪くない、多少しつこかったかもしれないが、玄関のチャイムを鳴らし、千尋が出て来るのを待っていただけだ。そして、様子のおかしい千尋を心配しただけなのに。
 いきなり胸倉を掴み上げられた南條は、驚きのあまり、素っ頓狂な声を上げた。

「ちょっちょっ千尋!? 何だぁ~~~!!??」
「うるせぇっ、近所迷惑なんだよっ」
「イダッ」



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恋の女神は微笑まない (256)


 誰のせいで大きな声を上げるはめになったというのか、しかし千尋はそう吐き捨てて、乱暴に南條から手を離した。
 いきなりの先制パンチに、南條は突っ込むことも出来ず、ただ唖然と千尋を見つめた。しかし、それはそれで、千尋が『何見てんだよ』とでも言いたげに睨んで来るので、すぐに目を逸らすはめになる。

「何しに来たんだよ」

 千尋は、湧き上がったイライラを、理不尽にも南條にぶつける。
 というか、突然の南條に驚いて喚き散らしてしまったが、千尋自身も、何でそんなことをしたのかよく分からなかった。でも、何となく後には引けなくて、同じ態度を貫き通した。

「何しに、て……お前が風邪引いて寝込んでるとか言うから」
「えっ」
「ったく、何で俺がお前の世話しに来ないといけないんだよ」
「たっ…頼んでねぇし」

 千尋が風邪で寝込んでいることは、それこそ店の人間と大和しか知らないわけで、その中でFATEのマネージャーである南條と繋がりがあるのは、大和しかいない。
 南條のセリフに瞬時にそのことを悟った千尋は、思わず嬉しそうな声を出してしまったが、すぐにツンの返事を返した。けれど、言うとおり、別に千尋は南條に来てほしいだなんて頼んだ覚えはない。

「一ノ瀬に頼まれたんだよ。朝、めっちゃ具合悪そうだったから、様子見て来てほしい、て」
「…!」

 南條は面倒くさそうに言ったが、その言い方よりも、言った内容に千尋はついときめいてしまう。だって、スマホにメッセージもくれたけれど、心配して、南條を寄越してくれたのだ。
 どうしよう、さっき年が明けたら新しい人間に生まれ変わるつもりでいたけれど、いや、もう生まれ変わったつもりでいたけれど、すごく嬉しいし、やっぱり好きだという気持ちを再確認してしまった。

「それなのに、ドア開いた途端、殴られそうになるしな」
「あ、」
「チャイム鳴らしても全然反応ねぇから、具合悪すぎて倒れてんじゃねぇかとか思って、心配したのに」
「だってっ…………ゴメンなさい」

 確かに、あれはまずかった。南條は何も悪くないのに、勝手な思い込みでガッカリして、わざわざ来てくれた南條に、とんでもないことを仕出かしてしまった。
 さすがに千尋も申し訳なく思って、素直に謝る。あれはないわ。

「で、具合はどうなんだよ。見たところ、そんなに具合悪そうでもないけど、大丈夫じゃないのか?」
「いや……もう大分いいけど…」

 先ほど、大丈夫に見えるか、と南條に食って掛かったのは、体調とは関係のないことだったので、千尋はごにょごにょとごまかした。南條に余計なことは知られたくない。



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恋の女神は微笑まない (257)


「…上がる?」
「上がっていいなら」

 立ち話も何だし、一応南條は千尋のお世話をしに来たみたいだし…と、千尋は南條を中に通す。

「メシは? 食ったのか? まだなら作るけど」
「マジか! 食っちゃった。レトルトのヤツ、おかゆ。南條が作ってくれるんだったら、食べるの、もうちょっと待ってればよかった」
「いや、俺が作るとしても、おかゆくらいだよ。一応、薬とか食いもんとか買って来たけど」
「…ありがと」

 南條はドラッグストアの袋から、風邪薬やらスポーツドリンクやらゼリー飲料やらをやたらと取り出す。
 大和が買って来てくれた分もまだあるから、さすがにそこまでの量はなくても大丈夫だとは思うけれど、心配性の南條らしくて、何か言う気にはなれなかった。

「メシ食ったし、じゃあもう寝るだけか? 薬は?」
「忘れてた」
「おい」

 そういえば先ほどは、キビキビしゃきしゃきとご飯を食べて、後片付けをした後、すぐにベッドに潜り込んだだけで、薬を飲んでいなかった。普通に忘れていた。
 風邪薬は、大和が持ってきてくれたものが残っているから、とりあえずそちらを飲むことにする。

「でも、南條のチャイムの鳴らし方、怖いわ。何あのゆっくりなの」
「は?」

 まっとうな人間になる宣言(心の中限定)により、千尋は使ったグラスをすぐに洗って片付ける。
 振り返って南條に言うと、南條は買って来たものを冷蔵庫に入れたり、戸棚にしまったりしていた。

「何か超ゆっくり、ピンポン…………ピンポン…………て」
「いや、具合悪いのに、あんまうるさく鳴らすのもアレかな、て思って」
「でもずっと鳴ってたじゃん。超長い間ピンポン…………ピンポン…………ピンポン…………」
「寝てたらなかなか気付かねぇと思って。つか、気付いてたんなら出て来いよな」

 なるほど、南條なりの考えがあったらしい。
 それにしても、千尋的には南條の行動に突っ込みを入れて優位に立つはずが、逆に墓穴を掘ってしまった。玄関に行けないくらい具合が悪いわけでもない、というのは、もうすでに南條に知られている。

「何か鳴ってるなぁとは思ってたんだけど。でも誰か分かんないし、宅配便とか? 何かの勧誘とかだったら面倒くさいじゃん。だったらお前も電話とかしてくれたらいいじゃん」
「したよ。でも出なかっただろ」
「あれ?」

 確かスマホは枕元に置いておいたはずで、鳴ったら気付いただろうに…………もしかして千尋が玄関に向かおうと、寝室を出た後に鳴ったのかもしれない。
 つくづく南條とはタイミングが合わないようだ。



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恋の女神は微笑まない (258)


「でもお前も思ったより具合よさそうだし、俺、もう帰るな?」
「えー? 何でだよ、もっとお世話してけよ、俺のこと!」
「何の世話だよ。もう寝るだけだろ?」
「風呂入る」

 先ほどは忘れてもう寝ようとしていたけれど、そういえばまだ風呂に入っていなかった。
 明日は仕事に行くんだし、やっぱりお風呂入っていないのは、よくない。明日の朝に入ることも出来るけれど、病み上がりでそれは、風邪を悪化させそうだ。

「いや…、入りたきゃ入れよ。俺が何するんだよ」
「頭洗って、体洗って」
「アホだろ、お前」
「俺が風呂ん中で倒れて溺れて死んじゃったらどうすんだよー」
「…上がるまで待っててやっから、早く入って来いっ」

 すごく嫌そうな顔で南條に言われて、けれど千尋はニヤニヤと笑いながら風呂場に行こうとしたが、ふと気が付いた。

「そういえば、まだお湯溜めてないや、お風呂」
「おい」
「シャワーだけでいっか、まぁ」
「風邪引いてんだから、お湯溜めて入れよ。あったまれっ!」

 普段からわりとシャワーで済ませがちなので、今だってシャワーでもいいんだけれど、この状況でシャワーだけなのは風邪を悪化させるかな、と思ったら、南條にも釘を刺された。
 仕方なく千尋は、風呂のスイッチを入れに行く。こんなことなら、ご飯の前にスイッチを入れておけばよかった。

「南條ー」
「ん?」

 千尋が戻って来ると、南條はタブレットで何か確認していた。
 先ほど千尋は、昼から仕事の大和が、こんな時間に仕事が終わるわけがないと思ったけれど、その大和たちのマネージャーをしている南條だって、本当はまだ仕事中なのかもしれない。
 大和に頼まれたとはいえ、仕事中にこんなところに来ていていいのかな、と千尋は今さらながらに心配になって来る。

「…仕事は?」
「今さら聞くか」
「だって」

 千尋は南條の隣に座って、まったくの無遠慮に南條のタブレットを覗き込む。
 南條は『何だ?』という顔で千尋を見たものの、タブレットの画面を見る千尋にやめろとは言わなかった。見られても困らないものなのか、見たところで千尋には分からないと思ったのか、それは知らない。

「今、番組の収録中だけど、スタジオに事務所の人間がいるから、とりあえず抜けて来たんだよ」
「…大和くんに頼まれたの?」
「そうだけど…………お前、一ノ瀬と別れたんじゃねぇの?」
「別れたよ」



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