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2008.05.16 (Fri)

pray (8)

 あれから何度か真琴に電話を掛けて、そのたびに留守電の女の声を聞いて、ようやく朝が来て、しかし遥斗はまだ気持ちを仕事モードに切り替えられなかった。

「どうしたの、その顔」

 現場に到着すれば、メイク担当のアキが、開口一番、そう言った。

「寝不足?」
「あー…まぁ、」

 遥斗は曖昧に言葉を濁した。
 今朝、鏡を見たとき、自分でも思ったことだ。

「遥斗くん、いつも自己管理しっかりしてるから、あんま何も言わないけど、今日はひどいわよ? 目の下もクマが出来てるし」
「メイクで、ごまかせそう?」
「プロですから」

 アキの言葉に、余計に自己嫌悪が増した。



*****

 あまりにひどい天候のせいで、撮影が中止になったことは、遥斗にとっては幸いなことだった。
 この時間なら、真琴はまだ大学にいる。
 アキには早く帰って寝ろと言われたが、真琴と会って話すまでは、そんなことも出来そうになかった。


 大学の来客用の駐車場に車を停めて、校内に入ろうとしたとき、見覚えのある顔が出てきた。
 拓海とその隣には、友人らしい男性。

「あれ、遥斗くん」

 拓海も遥斗の存在に気が付いたらしく、向こうから声を掛けてきた。

「どうしたの? 何? 真琴のお迎え?」
「あー…えっと、まぁ…。一緒じゃないの?」

 学年が違うから、とっている授業も違って、同じ時間には帰らないのかもしれない。
 それでも遥斗は、今頼れるのは拓海しかいないと、尋ねてみた。

「真琴? アイツ、もう帰ったんじゃね?」

 そう言ったのは、拓海の隣、智紀だった。
 拓海も遥斗も、何でそんなこと知ってるの? という顔で、智紀のことを見た。

「慶太からメール来たんだよ。真琴送ってくから、一緒に帰れないって」
「送ってくって? あー…何か最近、疲れてる感じだったしね、真琴。何、遥斗くん、まだ仲直りしてないの?」
「え、」

 まさか真琴から何か聞いているのだろうか。
 そう思ったが、拓海は、「そんな雰囲気だったから」と、言葉を続けた。

「真琴って能天気なくせに、ときどき考え込みすぎちゃうことあるからさぁ。ケンカしたとかは言ってなかったけど、真琴があれだけ落ち込むって、アンタが絡んだときくらいっしょ?」

 拓海の言葉に、何も言い返せなかった。
 自分では、真琴のことを1番に分かっているつもりだったけれど、これでは拓海のほうがよっぽど理解している。

「大丈夫、ちゃんとするから…」
「あっそ。頼んだからね」

 もうそれ以上は何も言わず、拓海は智紀と一緒に帰っていった。

「大丈夫……大丈夫、か…」



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07:34  |  遥斗×真琴  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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