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4. いい匂いにつられてフラフラと消えるところ (2)
2012.03.17 Sat
慌てる亮たちをよそに(祐介は慌てているというより呆れているが)、睦月は女の子のグループの後ろでちょっと背伸びをして、クレープを作っているところを覗いている。
あの様子からして、やはり睦月は、クレープを食べる気のようだ。
「むっちゃんっ」
「ん? あ、カズちゃん、何?」
「何、じゃなくて」
急いで戻って来た3人に、睦月は『どうしたの?』と言わんばかりに、キョトンと小首を傾げている。
どうやら事の次第を、本当に分かっていないらしい。
「何してんの?」
クレープ屋さんの列に並んでいる以上、それを買うのだということは、聞かなくなって本当は分かるんだけれど、それが俄かに信じられなくて、和衣は突っ込みもかねて聞いてみた。
だって睦月は、今日のお昼、デザートにプリンが付いた日替わりランチを食べて、甘いものがそんなに好きでない亮からも、そのプリンを貰って食べたのだ。
なのに、今からさらにクレープ?
「いい匂い」
「え…うん、分かるけど。食うの?」
「カズちゃんも食う?」
「いい…」
やはり睦月は、この期に及んでクレープを食べる気らしい。
和衣にも勧めてくれるが、和衣も、お昼には睦月と同じプリンを食べたのだ。甘いものは好きだけれど、1日にそんなにたくさんは…。
「睦月、お昼に俺のプリンも上げたでしょ? なのにまだ食う気?」
和衣に続いて、亮も怪訝そうな顔をするが(祐介は、言うまでもなく、ずっと呆れ顔だ)、睦月は気にすることなく、クレープの出来上がる様子を見つめている――――本気だ。
だが、そんな睦月の前に立ち塞がったのは、和衣だった。
「むっちゃん、そんなに甘い物ばっか食べてちゃダメだよ」
「ぅ? そう? 食べ過ぎ? ダメ?」
「ダーメ!」
亮や祐介の言うことには、つい反論してしまう睦月だが、お小言を言ってくる相手が和衣や翔真の場合、わりと素直に言うことを聞くタチのようで、このたびも少し考えたふうではあったが「分かった」と納得した。
「てか、むっちゃん、急にいなくなっちゃうから、ビックリしたんだからね」
「えへへ」
基本、亮も祐介も睦月に対して過保護だが、和衣の場合、単に過保護というより、祐介以上に父親…というか母親要素が強いので、最近、睦月をちゃんと叱ってあげる役目は和衣のことが多い。
和衣に叱られて、睦月は笑って眉を下げた。
(そういえば、同じような光景を、こないだ見た…)
和衣相手とはいえ、相変わらず、怒られてもあんまり悪びれた様子のない睦月を見ながら、ふと亮は、先日一緒に映画を見に行ったときのことを思い出した。
女の子とのデートで見るような、甘ったるいロマンチックな映画でなくて、子どもから大人まで人気のアニメ。見たいと言い出したのは睦月で、亮も二つ返事でOKしたときのこと。
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あの様子からして、やはり睦月は、クレープを食べる気のようだ。
「むっちゃんっ」
「ん? あ、カズちゃん、何?」
「何、じゃなくて」
急いで戻って来た3人に、睦月は『どうしたの?』と言わんばかりに、キョトンと小首を傾げている。
どうやら事の次第を、本当に分かっていないらしい。
「何してんの?」
クレープ屋さんの列に並んでいる以上、それを買うのだということは、聞かなくなって本当は分かるんだけれど、それが俄かに信じられなくて、和衣は突っ込みもかねて聞いてみた。
だって睦月は、今日のお昼、デザートにプリンが付いた日替わりランチを食べて、甘いものがそんなに好きでない亮からも、そのプリンを貰って食べたのだ。
なのに、今からさらにクレープ?
「いい匂い」
「え…うん、分かるけど。食うの?」
「カズちゃんも食う?」
「いい…」
やはり睦月は、この期に及んでクレープを食べる気らしい。
和衣にも勧めてくれるが、和衣も、お昼には睦月と同じプリンを食べたのだ。甘いものは好きだけれど、1日にそんなにたくさんは…。
「睦月、お昼に俺のプリンも上げたでしょ? なのにまだ食う気?」
和衣に続いて、亮も怪訝そうな顔をするが(祐介は、言うまでもなく、ずっと呆れ顔だ)、睦月は気にすることなく、クレープの出来上がる様子を見つめている――――本気だ。
だが、そんな睦月の前に立ち塞がったのは、和衣だった。
「むっちゃん、そんなに甘い物ばっか食べてちゃダメだよ」
「ぅ? そう? 食べ過ぎ? ダメ?」
「ダーメ!」
亮や祐介の言うことには、つい反論してしまう睦月だが、お小言を言ってくる相手が和衣や翔真の場合、わりと素直に言うことを聞くタチのようで、このたびも少し考えたふうではあったが「分かった」と納得した。
「てか、むっちゃん、急にいなくなっちゃうから、ビックリしたんだからね」
「えへへ」
基本、亮も祐介も睦月に対して過保護だが、和衣の場合、単に過保護というより、祐介以上に父親…というか母親要素が強いので、最近、睦月をちゃんと叱ってあげる役目は和衣のことが多い。
和衣に叱られて、睦月は笑って眉を下げた。
(そういえば、同じような光景を、こないだ見た…)
和衣相手とはいえ、相変わらず、怒られてもあんまり悪びれた様子のない睦月を見ながら、ふと亮は、先日一緒に映画を見に行ったときのことを思い出した。
女の子とのデートで見るような、甘ったるいロマンチックな映画でなくて、子どもから大人まで人気のアニメ。見たいと言い出したのは睦月で、亮も二つ返事でOKしたときのこと。
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