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2008.07.20 (Sun)

15. たったそれだけの重さ (押しつぶされてしまう) (前編)

 俺のアパートに着いたとき、哲也は若干躊躇ったけれど、諦めたように俺の後を付いてきた。

「とにかく着替えよ。みんな風邪引いちゃう」

 何だかんだで、雨の中ずっと外にいたから、3人ともずぶ濡れ状態。俺は啓ちゃんと哲也にタオルを放った。

「なぁ貴久、お前んちのことだから別に何も言いたくないけど、お前、靴下脱いでからウロウロしたほうがいいんじゃね?」

 啓ちゃんに言われてふと足元を見れば、玄関とタンスとを行き来した俺の靴下の跡が、転々と…。

「あ、」

 もう、先に言ってよ。
 今更遅い気もしたけど、これ以上被害を拡大させないためにも、俺は靴下を脱いで足を拭いた。あーあ、結局靴までビショビショだ。

「哲也、早く拭いて上がって。今、着替え出すし」

 けれど哲也は下を向いたまま、フルフルと首を横に振った。

「そのままだったら風邪引くだろ? いいから上がれって」

 タオルを頭に掛けたまま、哲也はただ首を振っていて。啓ちゃんが、自分の使ってたタオルで、哲也の体とか拭いてあげてる。

「テツ、今は貴久の言うこと聞いとけって。風邪引いたら困るだろ?」
「も……俺のこと、ほっといて…」

 かすかに震えた声。
 啓ちゃんの手が止まった。

「お前、そんなこと言うなよ、心配したんだぞ?」
「心配って、何が? もう俺のことなんか構わないでよ…」
「おいっ!」

 啓ちゃんが大きな声を出したけれど、哲也はそれに怯まず、勢いよく啓ちゃんの手を振り払った。

「うるさいよ、もう! 迷惑なんだよ! ほっといてよ!」
「テツ!」

 哲也は泣きながら、キツク啓ちゃんを睨んだ。啓ちゃんは啓ちゃんで、哲也の態度に頭に来たのか、声を張り上げるし。

「ちょっ……もぉ、ケンカしないでよ!」

 せっかく会えたのに。
 何でこんなことでケンカなんてしないといけないわけ?

「今はケンカとかしてる場合じゃないじゃん。早く着替えよ? みんなで風邪引いたら、シャレになんな…」
「……いい、俺もう帰るし」
「テツ!」
「哲也!」

 俺らに背を向ける哲也に、俺は慌てて裸足のまま玄関ポーチに下りて、ドアノブを掴んだ。

「貴久、そこどいて」
「嫌だ」

 じっと視線を絡み合わせて。
 堪え切れず、先に目を逸らしたのは哲也だった。



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